23話 再び見た姿に縋り⑦
「ってニメージュさんじゃないですか。」
「…今更だけど、何だよその呼び方。」
かしゃり、という音と共に対岸側に置かれたランチのトレイ。自分のとは別のセット、肉が大半を占めるメニューだ。
「…自分でも薄々思い始めてましたが、やはりこの呼び方は変でしょうか?」
「だって上層住みのそっちの方が立場として上だろ。
…まぁ、上層の人との接し方分かんない私が言うのもそれはそれでだけどさ」
分からないはお互い様、か。
「それはもう癖なので、無理にやめようとすると違和感が出そうで。」
「…こっちはこっちで既に違和感なんだけど。」
「それに、この一件に関しては私の方が教わる側ですし。」
ニメージュの不服な様子はそのままながら、問い詰めよりも目の前の食事へと切り替えた。
「それで、何らかの用あっての事でしょうか。」
静寂の気まずさの中、改めて話を切り出す。
「いや、まぁ、変わった人だなって思ったのは実際そうなんだけどさ。
それはそれとして昼飯はいつもここの3番、でこの席が目に留まった。それだけだ。」
肉を2切れまとめてほおばる間を置いて、ニメージュが続ける。
「で、実際何か訳アリとかいうやつ? この際全部教えろ。それを仕事引き受ける条件とする。」
改めて事の連鎖を振り返ると、事情が連鎖していって。
「それは構いません。が、少々時間のかかる話になるかと。」
「…分かった。じゃあ今夜もここに来い。そこで聞かせてもらう。」




