22話 再び見た姿に縋り⑥
受けた助言のままに、やや早足で歩き進む。
迷路のような構造の廊下、途中で何度も切り替わる壁材。
この付近に来た事は無かったけど、情報としては資料で見て把握している。過去に行われた度重なる増築の結果だそうだ。
継ぎ接ぎの先、向かうのは隊員居住区画の方面。そこへの途中に位置する、隊舎食堂。
そうして着いたそこは、飾り気の無い無骨な大部屋だった。
無地の白い壁に囲まれた簡易的な卓と椅子。見栄を捨て必要最低限の設備機能としたその食堂は、自分の印象にある格を重視したものとは大きく異なる風景。
その奥に見える人の並びは待機列だろう。折角の体験の機会だ、とその最後尾につく。
列が半分過ぎ、窓口の声が聞こえ始める辺り。
ここに来てふと思う。
ここで下手すると、知らないところでよりもダメージが大きいのでは?
ううん、何事も無く済めばいいだけの話だ。
何事も経験。1つ前の人の手順を注視し真似る。
列に並ぶよう長く壁に空いた受付口、その端で注文と支払い。途中の壁に一覧は張ってあったが、気の惑わしになる情報は入れず注文したのは直前に耳にした「2番ランチ」。札を受け取り逆端付近の列の終わりで札と品を引き換える。
落ち着いて思考の余地が持てた時には、料理の乗せられたトレイを持って、空席を選別していた。
人は多いとはいえ、それ以上に広い。少し迷った後、辺りを見渡せる端の席を選ぶ。
トレイの上のメニューはパンに炒り卵、そして串焼き肉とスープ。シンプルだが量があり、安いという事を考慮に入れれば質素に見えて寧ろ豪快とすら言える。
味も見た目を裏切らない素直さ。工夫が見えるとすれば串焼き肉が塩気が強め、パンと併せる事を想定してのものだろう。
これまで借り部屋で頼んでた賓客食とは違い凝ったものではないし、際立って美味という訳でもない。けど、不思議と落ち着く味わいがある。
「前の席、いいか?」
食べ終わりに近付いたところで、かけられる声。
「どうぞ。」
別に気にしないし、もうすぐ席を立つ。そんな考えでの二つ返事。
しかしその相手を見たら、不干渉でいるわけにはいかなくなった。
「ってニメージュさんじゃないですか。」
「…今更だけど、何だよその呼び方。」




