18話 再び見た姿に縋り②
「今回、実戦試験を担当するヴェリダール・ロンドラーレです。」
何度も繰り返し慣れた文言。ののち、相手に向き合う。
これで今日の仕事はおしまい。そんな気が緩んだ所で対峙する相手。
一方的に見知った相手、以前見た募兵の時の人だった。
「…実戦っつっても、喧嘩のひとつすらした事ないぞ?」
私情を挟みたいのをこらえつつ、これまで同様の話をした相手と同様に返答する。
「ほとんどの方はそうでしょうし、即戦力としての実力を問うものではありません。
名目上は試験と称してますが、戦闘に対する意欲や傾向を見るのが目的、だそうです。」
戸惑いの見えるところに、言葉を続ける。
「武器が必要であれば、あちらから選んでください。」
しばらく武器置きを見て悩んでいたが、何も持たずにこちらに向き直る。
「武器は要らない、素手で行く。」
そう言いながらも、明らかに慣れてない格闘の構え。
身体能力の高さは知ってはいるが、戦闘技術面はまぁ期待しない方がいい。そう思ってた。
一瞬、広がる魔力の感触。
空間を掌握する系統のもの。この手のは即時対処しないと手遅れになるものが多い。
模擬戦用にと渡された木刀に風を纏わせ、放つ。
しかし後隙なんて無かったようで、回避とともに接近される。
反撃を合わせるも、軽やかな回避。しかしその返しの蹴りには不慣れの甘さが見える。
避けた先で、相手が一度地面につく。
一旦の余裕。その間に、この空間掌握系への対策。
自分の周囲でゆるく風を回し続ける。それにより相手の魔力も少し歪む。
同時にその風が一帯にある薄い魔力を絡めとっていき、属性が合成され雷を帯びる。
それを束ね、雷撃として放つ。流石にこれは素人にかわせるような速度ではない。模擬戦用装具により見た目だけで威力は無いが、実戦を想定したら有効な一撃。
さらにその閃光を利用した接近からの連撃。当たりはしないが、壁際まで追い詰める。
大詰め、そう思った時だった。
壁を利用した大跳躍。後ろに回られ、攻め手を取られる。
足払い、からの回しけり上げ。回避と防御が辛うじて間に合う。
その後の追撃は余裕を持っての防御。しかし中々反撃のタイミングが見えない。
だが大振りの飛び蹴りを回避し折り返しの隙、次に来る先に剣を置いてそれが決着宣告になった。
「…本当に戦闘経験は無いのです?」
「全然。」




