17話 再び見た姿に縋り①
下層に来てから早数日。
まだ準備段階という事で、その間は自由時間だった。
なのに結局、未だ外食の店には入れず仕舞い。
下層の街自体にはちょっとずつ慣れてきた。出歩く時に、周囲の顔色は窺わなくていいくらいに。
けどまだ中の見えない店に入れるほどには至っていない。
最初に来た時は忙しさで疲れてたからというのもあって。そう分かってはいても、最初の印象が入り辛さを増長させている。
そうしている内に、来てしまった役目の日。
最初の内容は実技の試験官。目利きは得意ではない、とは言ったが、試験は形式的で戦闘傾向を見るのが目的との事。
だから普通に戦闘して、記録などは別途の担当がやるとの事だった。
事前の話で多少察してはいたが。
やっぱり現状として即戦力に足る人はいない。そもそも武器に触れ慣れてない人がほとんど。
1人だけ扱い慣れてそうな人はいたが、おそらく演劇の者だろう。取り回しと見栄えは良かったが、実戦を見据えると課題点は多かった。
これからの業務の事を考えると、この数日で足踏みしてたのを余計に後悔。
これからそんなに自由時間動ける余裕あるのかどうか。
と思いつつ、最後の担当相手。
「今回、実戦試験を担当するヴェリダール・ロンドラーレです。」
何度も繰り返し慣れた文言。ののち、相手に向き合う。
これで今日の仕事はおしまい。そんな気が緩んだ所で対峙する相手。
一方的に見知った相手、以前見た募兵の時の人だった。




