14話 それに触れる機会を得て⑥
それから出発前までの数日間、期間の短さもあって、父上の指導は過去にも増して厳しかった。
しかしその厳しさは、完遂の見込みあっての事。そもそも話の発端は自分、意地で技を物にしていく。
その合間に行った参加申請は、すぐに通った。
指導側である以上、審査の時間は覚悟していた。しかし予想に反して、軽い確認を取るだけで、もう日程の話に移った。
これまでの活動での実績もあったのだろう。けど、恐らくそれ以上に効果があったのは「ロンドラーレ」という家名。向こう同士での確認作業の中、「ロンドラーレ」の名が出る前後で、明らかに様子が違っていた。
その家柄や名声で不利益が多かった中で、珍しく名声を有り難く思った瞬間だった。
家柄とかどうでもいいと思っていたし、存続の事とかは全く考えてこなかった。剣術の修練も、義務感からの側面が大きかった。
けど、今回の事は多少のモチベーションにはなってたのかもしれない。ただ「必要だから」だけには留まらない意欲が、無意識の内にあるのを感じた。
あるいは下層に行ける事への待ち遠しさを紛らわす無意識が働いたのかもしれない。けどそんな些細な事を気にするより、剣術向上に時間を費やした。精度の落ちた剣術を改めて研ぎ直すには、いい時間になった。
出発の前日夜になって、疲れた中で慌てて荷造りするくらいに。




