13話 それに触れる機会を得て⑤
ここでまた先に仕掛けるのは愚策。
けど、父上に剣術を認めさせるには。そう考え、再び攻めの択へと移る。
深く一歩踏み込み、剣を振るう。
というフェイント。剣速が乗り切る前に、ステップで脇に回り込む。
そして低所から斬り上げる形での一撃。
しかし、明確に逸らされた感触。流れの違和感。
反撃の予感。攻撃の速度をそのままに、再び距離を取る。
次の手を、そう思い視線を父上の方へ。
瞬間、見えたのは風の斬撃。反射的に対抗技を。
一瞬で剣に風を纏わせ、鋭く飛ばす。それが向かってきた風を巻き取り、自身の威力へと上乗せして貫いていく。
しかし開けた視界の先、既にそこに父上の姿は無く。
次の防御の方向はほぼ当て勘だった。しかし響く金属の衝突音。
実際の剣の重さ以上に衝撃が重い。剣に纏わせた風の炸裂によるものだ。
続く連撃。知ってるパターン、ガードへの当て方自体は問題無い。
だけど衝撃が重い。分かっているのに、剣を間に合わせるのがやっと。
初手を含めて10撃目。そこが技の切れ目。受けると同時に攻めに転じる。
受け流そうにも弾ける衝撃に耐えながら、地を蹴り強引に踏み込む。
素早く背後に回り込み、移動の曲線を回転に変え、剣を振り下ろす。
だが、結果は無情だった。
硬い感触の衝撃と共に剣は弾き落とされ、目の前には父上の鞘の先端。無言の決着宣言だった。
流石に父上には敵わなかった、下層行きへの挑戦はここまでか。そんな考えの中、宣告を待つ。
「…大きく動く技の選択が多い。ハルドレーンの影響を受けたか?」
意識したつもりはない。けど言われてみると、否定はできない。
消耗した上で大きい動きの技を選択してしまったのが最後の失敗の原因、という事も冷静になってみれば明白。
「…だがまぁ、見世物程度にはなれるだろう。
その悪癖を改善した上でだが、な。」
その言葉には、更に向こう側に向けての恨み言も感じた。
けど、ともあれ最初の関門の通過を認められたなら。
「分かりました。厳しいご教授、覚悟しておきます。」




