12話 それに触れる機会を得て④
静寂。
しかし既に手合わせは始まっている。
ロンドラーレ流剣術同士はそういうもの。相手の動きに対する対抗の手の選択と精度、後の先に特化した対人特化の剣術。それ故の互いに待ちの構え。
だからこそ「相手を動かさせる」為の技もある。
剣を垂直に立て、峰にあたる鞘を根元から指でなぞる。それに合わせ、剣が風を纏う。
だがそれは見せかけ。一瞬で行える技の準備を、あえて大げさに、ゆっくりやっているに過ぎない。
それを隙と見た相手に、
しかし当然ながら知っている父上は、未だに静寂。
やがて剣の先端まで風が包む。それをこれまた大袈裟に振りかぶり、横に広い風の斬撃として飛ばす。
対し、父上の剣の一振り。最低限の動きで、必要最低限の穴を斬撃に開けられる。隙と呼ぶに足らない、僅かな所作。
だが、そこに挟み込む派生連技の次の手。初撃は囮、その対処の間に距離を詰めての追撃。風を纏わせた直接の斬撃は、正面から受ければ大きな隙を晒す。
しかし剣は空を切った感触。強風にでも煽られたと錯覚する体勢の崩れ。
分かっていた。攻めに徹しきれないロンドラーレ流同士、先に攻めた方が圧倒的に不利。
返しの一撃が来る事も、見ずとも分かっている。
けど、同様に反撃が来る場所も分かってる。
崩された勢いに逆らわず、むしろ一歩踏み込む。
身を半回転させての剣の振りは、ロンドラーレ流にしては力技。
強い衝突音とともに手元への衝撃。さらに1回転分のステップで攻め込み、姿勢を落とした低所への一撃。
だが既に父上は射程外。少しの距離を挟んで、睨み合いに。
ここでまた先に仕掛けるのは愚策。
けど、父上に剣術を認めさせるには。そう考え、再び攻めの択へと移る。




