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Magia Lost in Nightmare  作者: 宇治村茶々
第5章 叛逆の賛歌
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第165話(5-4-10)

「じゃあまた今度なお姫様。お前の事、ただのエイトのおまけだと思ってたけど、認めてやるよ。エイトの言う通りだった。お前とエイトは確かにニコイチだ」

「にっ・・・・ニコイチ?」

「二人で一つって意味な」

「あっ、ああ!」

「ばいばい、エーデル。これから僕たちは祝勝会的なやつで一杯美味しいもの食べたり飲んだりして夜通し騒ぎまくると思うけど、エーデルは教会に帰らないとだもんね。アハっ」

「・・・・」

「君も傷だらけで心苦しいが、カーラくんに治療されると今日できた顔の傷と一緒にその最初から折れてた鼻や顔の青痣まで治ってしまうからな。すまないが、念のため君が今日アジトに行くのは諦めて欲しい」

「わっ、わかりました」

「シナリオはこうだ。君は無謀にも仲間の仇を討とうと1人で外に出た。そこでばったりナイトストームと遭遇してしまい戦うことになるが、弱すぎて殺さず弄ばれる。そこに偶々通りかかった私が登場し、君を救い出してナイトストームを倒す。多分、これが一番君にとっても『テンプル騎士団』にとっても丸い形だと思う。手柄を取られるのは癪かもしれないが、『テンプル騎士団』が倒した事にしないと、『テンプル騎士団』は延々ともう存在しない敵に警戒し続けないといけないからね。それじゃあ、あまりにもロンネが不憫だ」

「あっ」

「ん?どうしたのかな???」

「あっ、いや・・・・あのっ、結界の中で言ってた可愛い教え子って、やっぱり、ロンネだったんだって」

「あれ?君はロンネと同じクラスなのかい??」

「はい、一応朝食も彼女のチームメイトと一緒に同じテーブルで食べてます」

「そうか、それは良かった!!!あの子は、なんというか、ちょっと、分かるだろ?いつもあんな感じだから、うちの教会では少しと云うか、かなり避けられていて、そっちでも上手く行くか心配だったけど、そうかそうか!そっちでは上手く行ってるか!!」

「すっ、凄い、ロンネの事、そのっ、きっ、気にかけてくれるてるんですね」

「そうだね。君も人に教える立場になれば分かるよ。やんちゃだったり、出来が悪かったり、問題があったり、そういう子の方が返って愛着が湧いてしまうんだよ」

「・・・・そっ、そうなんですね」

「それで、ロンネの事なんだが、彼女のチームメイトは・・・・・」

「ねぇ、寒いし、もう立ち話はよくない??早く帰ってピザ食べたい」

「一理ある。姐さん、姐さんもそのまま教会帰る?」

「それは困る。分かったよ。悪いね、エーデルちゃん。まだ話したい事が沢山あるが、それはまた今度にしよう。それじゃあ、シナリオはさっき言った通りだから首尾よく頼むね」

「えっ、あっ、はい!じゃあ、フラン、行くから・・・・・フラン??」

「・・・・・駄目だ。死んでる・・・・・・・」

「は???」

「君、そういう冗談はよくないぞ。力を使い過ぎて気絶してるだけだろう」

「よっ、・・・・・・良かった。そっ、それじゃあ、お願いします」

私はそう言って背中におぶっていたフランをエドウィージュさんに託した。途中からやけに静かだと思っていたが、眠ってしまっていたらしい。無理もない。あんな激しい戦いをしたのだ。ありがとう。ありがとう、フラン


「またね、フラン」

私はそう言って眠っているフランの頬に軽くキスをした。





4人が黒い霧に包まれ消えていき、多目的トイレの裏に私だけが取り残された。


確かに寒い。1人になったら、急に生傷が、いや、ミーミルのお姉さんにつけられた傷まで痛み始めた。でも、私のせいじゃない。そもそも、『テンプル騎士団』がフランを、私の大切な人を傷つけようとするから・・・・・悪いのは、全ての『罹人』を『悪』と決めつける『世界』の方だ。変えないと、変えないといけないんだ。変えなければ、同じような事が、きっといつまでも繰り返されてしまう。




やっと、教会行きの送迎バスのバス停にたどり着いた。身体が重くて行きの3倍くらい時間が掛かった気がする。次のバスが来るのは、30分後か・・・・・随分、タイミングが悪い時間に着いてしまったみたいだ。他に誰も待っていないし、少し、椅子で横にな・・・

「うっ・・・・・ゲホ、ごっ!!えほっ、えほっ、あ゛あ゛あ゛ウ゛おえぇえ!」

椅子に座ろうとする直前急に咳が込み上げてきて、そのまま口から派手に血が噴き出した。胸が熱い。喉の奥に鉄の味が染みる。


「エホっ、エホ、ヴぇっ・・・・・・ガっ、ガっ」

尚、咳が止まらず、両腕を膝に乗せ前のめりになり、血を吐く。体が震える。苦しくてギュっと目を瞑る。酷い耳鳴りが響き街の音が全く聞こえなくなる。


そして、街の音の代わりに別の音が聞こえてくる。


何を言っているのかは分からない。でも、恨みの籠った声が、悲鳴が、頭に響くのだ。誰かのすすり泣く声が、沢山の怨嗟の呻きが、無限に頭の中で反響する。


頭が、頭が・・・・やめて。やめて。やめて、やめて、やめてやめて!!!ごめんなさい!!!ごめんなさい、ごめんなさい! 許してください!!!許して下さい!!!!嫌だ、嫌だ!!誰か、誰か、この声を止めて!!!何で、何で、私は、私も、頑張ったのに!!!!ああああああ!!!゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ! やめてぇえええ゛え゛え゛え゛え!!!




私は目を瞑ったまま心の中で叫び続けた。


すると、不意にその声が聞こえなくなった。

・・・・・・・・・おっ、収まった?


はぁ・・・・はぁ・・・・なっ、何だったんだ・・・・・・。とりあえず、目を開き、右手で口元の血を拭う。まだ心臓がばくばくする。その場で何度か深呼吸をして呼吸を整える。本当に、何だったんだ今のは。疲れから来た幻聴?誰かの魔法???分からない。とにかく、地獄の底から噴き出したような恐ろしい『声』だった。もう二度とあんな『声』は聞きたくない・・・・・・あれ? 何で、こんなところに海辺にあるような細かい砂が・・・・・はっ!! これは・・・・まだ終わってないんだ!!!そう確信し、バっと顔を上げた。



顔を上げ目に映ったのは、予想通りいつもの教会の下の街並みではなかった。灰色の空、灰色の海岸、黒い海。そこで、老若男女たくさんの人が私を囲うように立ち並び虚ろな目で私を指さしている。


そして、一斉に口を動かし、呪いの言葉を口にするのだ。


「ああああああ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

私は耳を塞ぎ、蹲り絶叫する。どうして、どうして、私は責められてるんだ!?!?何なんだこの人たちは!!!私が一体何をしたっていうんだ!!!誰か、誰か助けて!!!


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