↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magia Lost in Nightmare  作者: 宇治村茶々
第4章 落日の哀歌
132/358

第128話(4-11-9)

『縺ソ縺ェ縺斐m縺励□!!!!!!』

黒いトカゲの魔女が、魔女の群れに向かって力強い咆哮を上げる。



思えば、チェーンソーも白いアームから展開される半透明なシールドも、あの滅茶苦茶な威力の機関銃も、全部あの黒いトカゲが使っていた武器だ。極めつけは、自由に付いたり、離れたり出来る上半身と下半身。メロエが、メロエこそが、私にトラウマを植え付けたあの恐ろしい魔女だったのだ・・・・そんな・・・・・・そんな事が・・・・何で、どうして・・・・・・圧倒的な力で次々と他の巨大な魔女を蹴散していくメロエの姿を見ながら考える。どうして、メロエが・・・・・・・・待てよ。あの魔女、最初は私たちに身振りで、ここから去るように促してなかったか???わざと武器だけ吹っ飛ばしたりしてなかったか???その気になれば、私たちなんて例の機関銃で瞬殺だったのでは????それに、最後にメロエは[事故だ]って言って、もしかして、いや、もしかしなくても、私があそこで無理に飛び込んでいなければ誰も怪我せずにすんでいたのでは!?!?そうだ。思い返せば、あの魔女の行動は全部おかしかった。あれは、全部私のためだったんだ。メロエはルミナスもミーミルも、誰も傷つけず、私たちに帰って欲しかったんだ。それなら、本当に、本当にただの『事故』じゃないか。


それなら、それなら・・・・私が、メロエを嫌いになる理由なんて何もないじゃないか。それに、出来るだけ隠したい気持ちも分かる。立場が逆ならきっと私も嫌われるのが怖くて同じ選択をしてしまっていただろう。メロエは悪くない。何も悪くない。自分の選択が招いた事とは云え右脚を喰われ、飛んでいるところを撃ち落とされ私を庇って無茶な墜落をして大怪我して、今も私のために、1人で、魔女と戦っている。そんな彼女を、私は高いところから見ているだけでいいのだろうか。いいわけない!!!!


私も、戦う。今なら、私も、飛べる!!! 気がする!!!

迷わない。私は、メロエを信じる!!!!!

私は腰の周りにもう一度魔力を込め例のエンジンが現れるのを確認するより先にビルから飛び出した。信じる、信じる、信じる!!!


一旦、落ちた体がうるさいエンジン音と共に浮かび上がる。

やった、出来た!!!これで私も戦える!!!!




「なああああああああああああああ!!!!!」


私はメロエの背後に迫る、人間の女の顔を持つティラノサウルスのうなじに空から急襲をしかける。うなじから血が噴水のように吹き出し、悲痛な声が上がる。そんな私を捉えようとする巨大ミイラの大きな手を華麗に避け、メロエとやり合っている顔なし巨人の股下に飛んでいき、右脚のアキレス腱あたりをエンジンの勢いに乗ったまま力一杯斬りつけた。目論見通り巨人は膝を付き、その一瞬の隙にメロエはチェーンソーで巨人のお腹を貫く。


『繧ィ繝シ縺ァ繧九、縺ゥ繧ヲ繧キ縺ヲ!?』

(エーデル、どうして!?)』

黒いトカゲの魔女が言う。でも、今なら彼女がメロエだと分かっているから彼女の言っている言葉が理解できる。


「だって、『友達』だから!!!」

私はそう答え、今度は身体から大量のカブトムシを送り出してメロエに嫌がらせをしている巨大な浮遊する人面積み木の方へ飛び立つ。


『繧上◆縺励o縺ゅ↑縺溘r縺阪★縺、縺代◆縺翫◎繧阪@繧、縺セ縺倥g縺ェ繧薙□繝ィ!?』(私はあなたを傷つけた恐ろしい魔女なんだよ!?)

「違う、メロエは恐ろしい魔女なんかじゃない。あの時、メロエは、私も、私の仲間も誰も傷つけようとしてなかった。全部思い出したの!!あれは、メロエの言う通りただの事故だった!!!だから、恐くない!!!!」

『繧ィ繝シ縺ァ繧九、繧ィ繝シ縺ァ繧九、縺励s縺倥※縺上l縺ヲ縺ゅj縺後→繧ヲ』(エーデル、エーデル、信じてくれてありがとう)


メロエはそう言った直後、今日聞いた色んな魔女の咆哮の中で一番大きな咆哮上げた。あの時、あんなに恐ろしかった咆哮。でも、今は違う。体中から力が漲ってくるようだ。私は漲る力のまま次々とカブトムシの大群を斬り払い、積み木の魔女へ一直線に飛んでいく。


「うらあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!」

叫び、『天装』にメロエから貰った魔力をありったけ込める。

『天装』が蒸気と唸り声を上げ、禍々しい形のチャーンソーに変わる。

それをそのまま浮遊する巨大な積み木に向け振り下ろす。


チャーンソーの唸るエンジン音、木を削る鈍い高音、魔女の絶叫が鼓膜を揺らし、耳の奥まで響き渡る。


顔面を深く斬られた積み木の魔女はコントロールを失い、ゆらゆらと大通りに落ちて行く。それを追い急降下していると、例の巨大魚が庇うように私に突進をしてきて、慌てて身体を斜めに急回転させなんとかそれを避ける。


どうしようか考えようとした瞬間、低空飛行している私の頭上を大きな黒い影が跳び越えて行った。メロエだ!!!


『豁サ縺ュ縺医∴縺医∴縺医∴!!!』(死ねええええええ!!!)


メロエは叫び声を上げながら巨大魚の横腹を右腕の鉤爪のような手で突き刺し、そのままその巨体を墜落した積み木の魔女に叩き付ける。叩き付ける、何度も叩き付ける。積み木の魔女がコンクリートの道路にめり込むほど。そして、どちらも抵抗しなくなったところで不意に上半身と下半身を分離させた。何をするのかと思い分離した下半身の方に目を向けると、中はボウルのようになっていて互い違いに配置された刃が今まさに回転を始める所だった。それを見てメロエが味方で本当に良かったと思った。


これは、ミキサーだ。


フワフワと浮遊しているメロエの上半身は叩き付けられすぎて最早意識が朦朧としてそうな巨大魚の魔女を無理矢理持ち上げ、力一杯『ミキサー』に押し込む。



「「「「「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」」


色んな人の声が重なった絶叫が空間中に響き渡り、両サイドの灰色のビルにドス黒い赤を撒き散らす。そして、巨大魚の形がなくなると一切の躊躇なく、道路に埋まった積み木の魔女を両手の大きな鉤爪で鷲掴みにし、同じように下半身のミキサーに押し込む。


また絶叫が響き、積み木の魔女だった木片が当たりに広がる。



2体の魔女を完全に『粉』に変えると、メロエは上半身と下半身を元に戻し、通りの奥を見据える。巨大ミイラと女の顔のティラノサウルスは姿はもうない。私が積み木と戦っている内に倒したのだろう。しかし、まだまだ敵の『魔女』は残っている。体長5mくらいの二足歩行の黒猫のぬいぐるみ。数多のしましまのボールが合体してできた体長8mもありそうな明滅する芋虫。その更に奥に槍を持った巨大な二足歩行の亀がゆったりと構えている。



でも、正直、メロエが負けるヴィジョンが見えない。


あんなに絶望的だったのに。今は希望がはっきりと見える。

私はさっきの調子でちょっとだけサポートを。そうすれば。




メロエが咆哮を上げ、通りの先の魔女の集団に向け地響きを鳴らしながら駆けだす。

私も空からそれに続く。よし、このまま押し切ろう!!!


メロエに対抗するようにしましまボールの芋虫と黒猫のぬいぐるみがこちらに全速力で向かってくる。


『縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺!!!』 (ああああああああああ!!!)

メロエは両腕をチャーンソーに変え加速する。そして、腕をクロスさせ斜め前に大ジャンプをして、そのまま向かってきた2体の巨大な魔女を同時に斬り裂く。しましまのボールがバラバラに崩れメロエに襲い掛かる。


「させない!!」

私は急発進し、空を器用に飛びながらしましまのボールをとつひとつメロエの魔法で強化した『天装』で破壊して行く。その間にメロエはお腹を斬られうつ伏せで倒れている黒猫のぬいぐるみの頭を両手の鉤爪で無理矢理こじ開ける。





間もなく、当たりから大量の青い光が灰色の空に吸い込まれて行った。



気のせいじゃない。私たちなら出来る。

多分、メロエも同じことを思っているだろう。


あと少しだ。あとすこっ_____________刹那、目の前で一息ついていたメロエの巨体が細い通りから吹き出した色鮮やかな大量の花びらに押し流され横の廃ビルに叩き付けられた。巨体がぶつかった廃ビルはボロボロと上から崩れ込み、灰色の煙でメロエの姿が見えなくなる。



「は?」

私は目を丸くし、素っ頓狂な声を漏らした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。