想い
ある日、修行を終え、眠りについてからしばらくして
目が覚めると江戸時代になっての町のような場所にいた
そして自分の前には背の高い白髪の兄ちゃんが立っていた。
謎の男「目覚めたか、ここは君にとってはいわゆる異世界。君には今からこの世界に住み、邪悪な妖怪から無垢なる人々を守ってほしい」
健志「俺はもしかして夢を見ているのかな」
健志が自分の頬をつねるが、しっかり痛かった
にわかには信じられないが目の前の光景が夢ではなくて現実であることを理解する
健志「これは夢じゃないのか?」
謎の男「君が混乱するのも無理はない。無理矢理、君をこの世界に連れ込んでしまったことを心の底から謝罪する。
だがこの世界は今、本当にピンチなんだ。どうか俺の話を聞いてほしい。今、この世界にはかつてないほどたくさんの邪悪な妖怪であふかえっている、やつらから君の類稀なる剣術と体術で人々を守ってもらいたいんだけど頼めるかな?」
健志「はっきりいって今の状況を完全には受け入れられてはいませんが、事情はおおよそわかりました。前の世界にも特に未練はありません。その要求、引き受けましょう」
謎の男(やはりこの子を選んで正解だったようだ)
謎の男はもとの世界に未練がなく、強く、そして力を他人のために使えるような優しい人間を探していた
謎の男「俺の名前は雄二。これからよろしく」
健志「私の名前は黒井健志です。こちらこそよろしくお願いします。」
(ここなら師匠のように自分を受け入れてくれるような人たちにめぐり逢えるかもしれない)
健志は喧嘩に勝つために得た力と誰かを守るための剣術をベースにこれから多くの悪い妖怪を倒していくことになるのだった。
雄二は健志のために一軒家を用意していた
和風のなかなか大きな家だ
雄二が家の中を案内する
生活に必要なキッチン、自室、トイレ、リビング、風呂が
一通り揃っている
雄二「君には無理矢理、こっちの世界に来てもらったわけだからこれぐらいはしないとね。君には今日からここに住んでもらいながら町の人からの妖怪退治の依頼をこなしてもらう」
そして雄二が一本の日本刀を健志に渡す
健志「雄二さん。この日本刀は?」
雄二「これは退妖の名刀 宗近
伝説の名工 宗光の最高傑作だ。これで人々におそいかかる悪い妖怪を倒してほしい。もちろんいい妖怪もいるから彼らのことは斬らないでほしい。頼めるかな」
健志「わかりました」
雄二「そうか。じゃあ俺のあとについてきてくれ」
健志は雄二のあとについていく
健志はさっそく悪い妖怪が巣食う森に連れてこられた
森の奥に行くととてつもなく大きな人面蜘蛛が
糸でぐるぐる巻きにされている男性を食おうとしている。
男性「誰か助けてくれ」
健志まずい
健志は気配を断ちつつ、急いでで人面蜘蛛の後ろに移動すると人面蜘蛛の足のうち3本を刀ですばやく切断し、男性を助けた。
りゅうげつ
健志「森川流 龍月」
森川流剣術。居合からの抜刀術。刀を抜く際イッキに刀を加速させる森川流最速の一撃
ほとんどの人間や妖怪は斬られたことにすら気づかない程の圧倒的な速度を誇る
雄二「居合からの抜刀か!いいねえ!」
そして男性を縛る糸を刀で斬り、男性を解放した
男性「助けていただき本当にありがとうございます。あなたは私にとって命の恩人です。この恩は忘れません」
健志「俺が人面蜘蛛の相手をしますから、いますぐこの森から逃げてください。またいつあの人面蜘蛛が襲ってくるかわかりません」
男性は健志に深く感謝しながら去っていった
人面蜘蛛に目を戻すと足が再生していた。
獲物を逃がされた人面蜘蛛は激しく怒り
健志に向けて口から毒を吐いた、だが健志は卓越した動体視力でそれを交わす。幼少期から父親の拳を交わすために磨いた能力がここで役に立つ。
健志が人面蜘蛛をつたって体の上に登るとその体を足場にして跳躍し、空中で回転
蜘蛛の首の上にくると垂直に人面蜘蛛の首に斬撃を落とす。
健志「森川流 滝」
その一撃によって人面蜘蛛の首が落ちた
人面蜘蛛の首から血が滝のように流れる
それで倒したかと思いきや切られた箇所から
白い煙が出て、人面蜘蛛の首が再生した
健志「首を斬っても死なないのか」
雄二「ならば刀に宿る妖怪の力を使え!名刀 宗近には伝説の大妖怪 九尾の力が込められてい
ごくえんそう
る。宗近 獄炎葬と唱えて、刀を人面蜘蛛に向けて振るんだ」
健志「わかりました。宗近 獄炎葬」
健志は言われた通りに唱え、力強く刀を振った
すると炎の斬撃が放たれ、人面蜘蛛を豪炎が飲み込み焼き尽くした。人面蜘蛛は苦しみながら恨めしそうな顔を健志に向けながら消滅していった
雄二「これが九尾の力 妖火だ。
これは対妖怪の火だから木とか、人とかは燃えないから安心していいよ
奥義である獄炎葬以外にも刀に妖火を纏わせ敵
せっかざん
を斬る 赤火斬という通常技にあたるものもある。君の剣術と九尾の妖術を融合させれば君は唯一無二の剣士になれるだろう。」
健志「なるほど」
森を出て町に戻ると健志は町中の人に大歓迎された
男性「彼が私を救ってくれたヒーローだ」
町の人たち「違う世界から俺たちを助けに来てくれてありがとう」
健志 (前の世界では誰にも感謝されてこなかった俺がこんなにも感謝されている。人に頼られたり感謝されるってこんなにも心を癒してくれるのか)
健志はこの世界の住人のために戦うことをあらためて誓った。
雄二「健志、今日ははじめての妖怪との戦いで疲れただろう。あとはゆっくり休むといい」
健志「ありがとうございます」
健志の家にて
健志「一人暮らし最高!あのDV親父と一緒の空間にいるだけでもきつかったからな。でも母さんはいまごろどうしているんだろ。」
夜になると雄二が用意した食材で健志は自分で料理を作り、食べて、風呂に入った。
風呂に入っている時も.健志は家から出て行った母がどうしているのかをずっと考えていた。
健志(ダメだ。俺はもうあの世界の黒井健志じゃないんだから
いい加減気持ちを切り替えないとダメだよな)
そう自分に言い聞かせながら風呂から上がり、健志は眠りについた
そのころ
もとの世界では
三池「まだ見つからないのか?」
風見「ええ、龍虎連合の構成員が総力を上げて
あの一年を探していますがまだ見つかっていません」
三池「あの一年、いや黒井健志ともう一度だけ
タイマンをしてみたい、どうにかして見つけてくれ。」
風見「了解しました」
三池「黒井健志いったいどこにいるんだ」
次の朝、健志は目覚めると
顔を洗い、ご飯を食べ、歯を磨き
筋トレをし
日課の素振りをしていた。すると雄二がやってきた
雄二「朝から精が出るね。ストイックなやつは好きだよ」
健志「雄二さんが来たってことはまた悪い妖怪が出たんですか?」
雄二「鋭いね。子どもが天狗に攫われたとの情報が入った。」
健志たちは天狗に子どもを攫われたという人の家に向かった
子どもの父親「息子と山登りをしていたら
天狗が出てきて子どもを攫ったんです」
子どもの母親「もうすぐお受験が控えているのにあなたが山になんて連れて行くから」
健志(子どもが消えたっていうのに子どもの命より受験の心配か。)
子どもの父親「どうか息子を救ってください」
健志は母親以上に父親に対してどこか違和感を感じたが依頼を引き受けた
どうやら攫われた子どもは寺子屋に通う子どもらしい。
健志は子どもが失踪した天狗を祀る祠のある山を登った。
健志「雄二さん、天狗って人間の言葉を喋れるんですか」
雄二「一部の人間には神様として扱われるぐらいだからねもちろん喋れるよ。ただ中には人間の悪事にも協力するゲスイ天狗もいるというかそっちの方が圧倒的に多いから気をつけてくれ。あと俺たちが今から会うのは天狗の中でも上位の存在 大天狗だ」
そして山の大天狗を神として祀っている祠にいくと
ちょうど大天狗が姿を現した
イメージ通り、山伏のような格好をした妖怪で
身長は2mぐらいあった
健志「本当にあなたが父親と登山にきていた子どもを攫ったんですか」
大天狗「たしかに昔は他の天狗のように人間の子どもをさらっていたが最近は心を入れ替えたんだ。子どもをさらわれて悲しむ両親の顔を見るのがだんだん辛くなってしまってな」
雄二「そんな話を信じられるか!昔からお前は子どもをよくさらって晴明にボコられてたじゃねえか。はやく子どもを返せ」
大天狗「九、、、いや人間よ、ワシは嘘などついておらん」
健志「雄二さん、落ち着いてください。この天狗が言っていることはたぶん本当です。なら嘘をつき、子どもを攫ったのは、、、」
健志と雄二は山を降り、子どもの両親のところに行った。
健志「子どもさんの居場所はたぶんわかりました。子どもさんをさらったのは天狗ではなくお父さんあなたですよね。おおかた子どもさんはあなたの実家にいるのでしょう」
子どもの母親「どういうことですか?」
健志「行ってみればわかります。」
父親の実家に行くと健志のいう通り、幼稚園生くらいの子どもが預けられていた
どうやらこの依頼人の子どもであるようだ
子どもの母親「あなた、これはどういうつもり。私を騙したの!」
子どもの母親が声を荒らげる
子どもの父親「玲子が最近、秀仁にあまりにも厳しすぎるから秀仁を俺の実家に預けてたんだ」
健志「やはりそうでしたか。妖怪の中でも上位の力をもつ天狗それも大天狗に攫われたってことにしたら警察も子どもさんの捜索はそう簡単にはできないし、一方の私たちは警察ではないので子どもさんを山以外から見つけられないと踏んだんですね」
子どもの父親「はい。おっしゃるとおりです。」
子どもの母親「あなた、なんて余計なことをしてくれたのあなたがたまには気分転換をさせてやらないと本番に響くっていうから行かせたのに
これじゃ本番での調子とか以前に他の子に差をつけられるじゃない」
子ども「ママ、僕は本当はお受験したくない
寺子屋のみんなと一緒の小学校に行って卒業したいよ。」
子どもの母親「秀仁!なんてことをいうのあなたは私やお父さんとは違っていい学校に行って、給料の高いお仕事に就くの!あなたがしようとしていることは最低なことよ。この親不孝もの!」
それを聞いた健志が怒る
健志「いい加減にしてください!子どもは親の
願いを叶える道具じゃない。子どもが親の奴隷になることを世間は親孝行とは言わない
いい歳してなんでそんなことがわからないんだ」
子どもの母親「赤の他人のあなたに何がわかるっていうんですか」
健志「あなたが自分勝手な考えを押し付け、それが原因で子どもが苦しんでいることはわかります」
雄二「健志…」
健志「すみません熱くなりすぎました。でもこれだけは忘れないでください親と子は血はつながっていても別の人間なんだってことを
別の人間なんだから考え方が違って当たり前なんです。お代は入りませんから子どもと一度冷静になって話しあってください」
その言葉が子どもの母親の心に響いた
子どもの母親「ごめんね秀仁。お母さんいままで秀仁の気持ちを考えたことなんてなかった、いい学校に入って、給料の高い仕事に就くことだけがいい人生だと思っていた。でもこの人のいう通りだよ。これからは秀仁のいうこともちゃんと聞くからこんなお母さんを許して」
子ども「ママ…」
子どもの父親「玲子、、、」
健志「雄二さん帰りましょうか」
雄二「ああ帰ろう」
健志は帰った後、自宅の風呂で考えていた。
健志(つい熱くなってしまった。依頼人と話す時は気をつけないと。でもこれであの母親と子どもは今よりは健全な親子関係を築けるはずだ)
次話 妖怪との闘いが激化




