表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレ召喚者Re:ライフ 〜異世界ほのぼの生活(仮)〜  作者: 四方末いそじ
第2章 ハズレ召喚者、拾われる。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/30

第4幕 君が知らない物語。①


ー◇ー◇ー◇ー

 

 目が覚めると、知らない天井が見えた。


 ──何だか、こんな感じの台詞がある物語がなかったか?


 そんな頓珍漢な事を考えながら目線を彷徨わせていると、不意に視線を感じた。

 気配の先を探せば、20センチほど空いた扉の隙間から、縦に4つ顔が並んでいる。

 そのうちの1人と目が合うと、他の者も一斉に目を見開いたのちに逃亡された。

 

 アッと言う間に、ドタドタと走る足音が遠ざかる。

 そして入れ違うように、先ほどとは違う顔ぶれの男性が3人現れた。


「お。起きたかぁ?」

 最初に声を掛けてきたのは、自分を助けるために剣を振るってくれた灰髪の男だった。

 少し間延びして、どこか気の抜けた喋り方をしながら笑う彼に、あの場所で見た姿とのギャップを感じて、思わず驚いてしまう。

 

「え……っと、あの……すみません」

 若干の焦りと緊張。

 そして、何処からともなく湧いてくる、途轍もない申し訳なさ。

 そんなゴチャゴチャした感情に振り回されながら、慌てて身を起こそうとするが、体には思った以上にガタが来ているようで、素早く姿勢を正す事は不可能らしい。


 だとしても、だ。

 寝そべったままで、恩人に挨拶するのも如何なものかと思い直す。

 

 その結果、清寿はぎこちなく滑稽な動きで、重く軋む身体をなんとかして起こし、彼らの方に身体を向けて座り直した。

 清寿の、そんな突拍子もない仕草がおかしかったのか、3人は苦笑を浮かべていた。

 だが、懸命さだけは汲み取ってくれたようだ。


「びっくりしたぜ。アンタ、あのまんま寝ちまうんだもんなぁ」

 彼は、そう言いながら軽く笑う。

 助けられた直後の行動も、今の清寿の行動も、彼らには想定外だったと言う事だ。

 

 そんな彼に清寿は「その節は、ご迷惑を」……と、頭を下げながら言い掛けたが、

「現在進行形でご迷惑掛けていますね。……誠に申し訳ありません」

 そう言い直して、さらに頭を深々と垂れた。


 案の定と言うか何と言うか。あの後、御多分に漏れず襲われかけた。

 本物を見た事がないので憶測ではあるが、あれが多分『山賊』とか『ならず者集団』とか言うヤツなのだと思う。

 馬車が見えなくなって暫く、黒い森からワラワラと人と馬が湧いてきた。


 保護先の関係者ではない。それは見た目で一目瞭然だった。

 ……いや、あの風貌で『小ミリヤド公国の役人です』と言われても、それはそれで別な意味での不安材料にしかならないのだが。

 とにかく、屈強で小汚い大男どもが『ヒャハー!』とか何とか、叫声(きょうせい)と共に押し寄せて来たのだ。


 ──あっという間に、ゲームオーバーか。


 清寿が、何処か他人行儀な思考で、その光景を眺めていた時だった。


 轟音と巨大な火の玉が清寿の目の端を通り抜け、あと数十メートルの所まで迫っていた男どもの先頭一団を、爆音と共に吹っ飛ばした。


 後続の阿鼻叫喚と、タンパク質が焦げた匂い。

 そして、黒く(えぐ)れた地面と、白い世界に散らばる赤の彩り。


 その光景は、あまりにも非現実的で、まるでファンタジー映画のワンシーンを見ているようだった。


 自分の死角から飛んで来る怒号と、馬の(いなな)き。

 風と共に駆け抜ける馬が2頭。

 その馬に跨っている男性は、剣を大きく振りかぶり、集団に臆せず突っ込んで行く。

 そして鈍色(にびいろ)に光る剣は、容赦なく振り下ろされた。


 ──ああ。飛び散る赤が、やけに鮮やかだ。


 それ以外に感想が出てこない。


 頭が正常に動かない。まさに、思考回路はショート寸前だ。

 

「兄さん。アンタ、こんな所で何しよるんな」

 突然降って来た声の方に顔を向け、何か返事を返さねば……と、思った瞬間に、世界が暗転した。

 

 ここから記憶は完全に途切れる。

 次に気がついた時には、知らない天井が広がっていたのだ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ