第2幕 そして彼は途方に暮れる。④
ーーしかし彼の災難は、今更始まった事でも無い気がする。
彼の人生を振り返ると、実に試練の多い人生だった。
親族との確執、両親の早逝。
いつだってコツコツと真面目に地道に歩んでいるはずなのに、いつだって巻き込まれて振り回される。
それでも腐らず前に進む。
引き際を見極め、芯を曲げる事だけはせぬように。
愚痴も弱音もほとんど吐かずに、地道に乗り越えてきた。
──生きてさえいれば、幾らでもチャンスは巡る。
──芯を通して真面目にコツコツと。
『そうやって居れば、誰かがちゃんと見て助けてくれるよ』
そう言っていた両親の言葉を信じて。
けれど、清寿の人生は、積んでは誰かに壊される。
ーー賽の河原の石積みを思わずにはいられない。
終わりの見えない繰り返しだ。
それでも、生きているから。生かされて来たから。
そう思って、歯を食い縛って生きて来た。
ーーそうは言っても、立て続けの災いは精神を抉る。オーバーキルだ。
心の拠り所を失くすと言うのは、思った以上に辛かった。
心の拠り所に裏切られた惨劇は、清寿を再起不能に追いやるに相応しいダメージを与えていた。
清寿は完膚なきまでに叩き付けられ、無気力なまま佇んでいた。
乱暴に積み上げられた段ボール箱が十数個。
廃棄予定だったオンボロなリヤカー。
トランク二つ。
それが、今の彼の全てだった。




