第7幕 赤と白のバラッド。④
──で、だ。結局、彼らは何者なんだ?
清寿の頭には、たくさんの疑問符が浮かぶ。
清寿は、目の前のやり取りを見て、彼らの為人はぼんやり見えてきた。
いや、その感想はもっともだと思う。
ーーだから誰なのか、と。
いきなり現れた、見たこともない人物。
いきなり殺されかけて、躊躇なく助けられて、疑問なく納得された。
流れは把握できたが、全く理解ができていない。
空気も気分も感情も、全ての挙動がジェットコースターなのだから。……しかも、知らない間に強制乗車させられた。
だったら、混乱するなと言われても、しない方がおかしいだろう。
そんな清寿の困惑を読み取ったのか、エヴァが慌てて口を開いた。
「えっと。この3人は、遠征に出てた方で……」
そう切り出して、3人の紹介を始める。
亜麻色の髪のロメオが、ユルヤナ。通称『ユル』
強面のヒールが、アレクサンドライト。通称『アーリー』
短髪の熊男が、アヴェリウス。通称『アヴィ』
と、言うそうだ。
ちなみに、3人とも普段は通称名で過ごしているらしい。
そして、揃いも揃っての恵体。
骨格や筋肉量は言わずもがな、178cmの清寿よりも身長が高く、サイズ的には特大・特大・超特大。と、言った感じである。
──そうか。スゥが言っていたな。
長期遠征に出ている組で、間も無く帰還する方。
アズとスゥとのお喋りを思い出し、清寿は小さく独り言ちた。
タイミングの悪さは致し方なくても、自身の行動に自責の念が積もる。
確かにそこは、清寿だって充分反省をしなければならない。
酒を置いている貯蔵庫。
知らない人物。
挙動不審で怪しげな風貌。
こんなもの、普通に考えたら完全にスリーアウト案件だ。
相手の出方が如何なものかと思ったとて、責められる立場ではない。ーーまぁ、もうワンクッション、あっても良い気は否めないが。
でも、冷静に考えると、日本で生活していた弊害でもあるのだろう。
向こうの世界だって、治安が悪い外国で同じ行動をとってしまえば、きっと清寿に風穴が開いても文句は言えない気もする。
結局、今の安穏な状況に浸ってしまった結果が、この事態を呼んだと言う事になるとも言える。ーーならば、自業自得の産物か。
異世界生活は難しい。
そう思っていた。
……が、向こうの世界と基本は変わらないのかもしれない。
価値観の違う国へ派遣されてしまった。
そう考えれば、どうにかなる気がするから面白い。
まぁ。今は、問えば答えてくれる便利な機械はないのだけれど。
それでも清寿は、僅かな光が見えてきた事に、ありがたく思うのだ。
そんな事を考えつつ。
腰の抜けて立てない清寿は、アヴィの肩に荷物のように担がれ、居住区に戻って行ったのであった。




