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綾は敦也の腕の中で目を覚ました。敦也の体温が心地良く冷え性の綾は気持ちよく眠れた。
ぐっすりと眠れたお陰で、すっきりとした気持ちで起き上がると、敦也が声をかけてきた。
「おはよう」
「あ、おはよう」
少し照れながら挨拶をする綾を敦也は少し眩しそうに見つめた。
「よく眠れた?」
「ええ、お陰様で」
「なら、ベッドとしては合格ってことだな」
楽しそうにそう言いながら起き上がる敦也を、顔を真っ赤にして綾が睨みつける。
「こんなことで照れないで早く慣れてくれよ、奥様。オレは早く子供を持つ関係になりたいんだから。お祖父様も俺たちの子を楽しみにしているはずさ」
「もう、バカ!」
綾のスマホが鳴る。画面にはまたしても知らない番号。
綾は誠也かも?とは思ったが、仕事の電話の可能性がある以上、出ないわけにもいかない。
「おい、郷司をどうしたんだ?」
綾が声を発する前に、誠也の棘のある若干焦ったような声がスピーカーから聞こえる。
「郷司がどうしたの?」
「え、何も知らないのかよ。郷司が今シーズン出演停止になった」
誠也の声は急に弱々しくなり、テンパっている様子が受話器越しに伝わる。
「何が原因なの?」
「わからない。今、法理部に呼び出されて行ってる」
「綾、先にシャワーを浴びてくる」
「お、おい、そこに男か居るのか!誰だ!」
スピーカーが拾った敦也の声が誠也に聞こえたのだろう。誠也の苛立ちと怒号が混じった声が耳を劈く。
「誰だろうと、貴方には関係ないでしょう?もう、婚約者でも、恋人でもないんだから、強いて言えば、お祖父様同士が仲良しの幼馴染ってところかしら?」
「そんなに婚姻届を出す日を延ばされたのが嫌だったのかよ。それは申しなかった」
誠也の駄々っ子を宥めるような言い方に、綾はカチンときた。
言い返そうとしたとき、敦也がスマホを取り上げる。
「別れたんだろ?もう、電話はかけてこなでくれ綾はオレのものなんだから」
「はあ、お前、誰だよ!!」
電話の向こうから、誠也の怒鳴り声が聞こえる。
「誰だっていいだろ?関係ないんだから、まあ、そのうちわかるさ」
そう言うと、敦也は電話を切った。
郷司は優里亜が好きだ。優里亜もそれをわかっていて、都合良く郷司を連れ歩き、人を威圧したり脅したりするのに利用していた。昨日、綾を待ち伏せしたとときみたいに。そのどれかがチームや会社、マスコミにでもリークされたのだろう。
敦也が出て行ったドアを見て、まさかね?と綾は思った。
昨日の今日、それも早朝。流石に早すぎる。




