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誠也は株主総会の遅刻を皮切りに、ここ数日はツキから見放されたような生活を送っていた。
雑務を処理してくれていた秘書の斉藤は浅野付きになり、誠也から解放された。
総会の翌日から、会社での扱いががらりと変わった。普通に案件を振られ、雑用をしてくれる同僚もいなくなった。教育係だった課長は特別扱いしてくれなくなり、別の教育係りがつけられた。重要な案件の場に顔見せだけでもと、呼ばれることがなくなり、慣れない業務に追われて、辟易しているところへ郷司からの電話。
昼間に時間を作って、法理部へ電話をすれば、郷司に脅されたと供述している女性が数人居るという事実が突きつけられた。優里亜も関わっていたというのだ。
クリーンなイメージが必須の社のラグビーチームの選手。下手に複数いるであろう相手に騒がれてたら、マスコミが動く。こうなれば実名報道が出る恐れがある。
おとなしく行方を見守る他ない。
今シーズンは謹慎、出場停止。来季の更新はなしという甘い措置だと言われ、膝から崩れ落ちた。
謹慎と来シーズンの契約更新なしが甘い措置。
落胆する誠也に同期が追い討ちをかける。
「本来なら、即刻、契約打ち切りが妥当だよ。社のイメージが落ちる」
苦々しい言葉が胸に突き刺さる。
郷司とオレが仲が良いことへの嫌みだ。
優里亜は7日間の出勤停止。
社内メールの美馬グループ電子掲示板に通知文が載っていた。
賞罰
ラグビーチーム 選手 1名
今期出場停止 来季更新無し
恐喝 暴行
ate 本社 総務部 一般社員 受付担当 1名
7日間の出金停止
恐喝 暴行示唆
名前は伏せてはあるが、これで、誰が何をしでかしたかグループ会社の社員、皆が知ることになる。ete本社の受付担当なんて、三人しかいない。グループ名簿を見れば、三人の名前なんてすぐにわかる。
電話をかけて、7日間1回も出なかった人が出勤停止をくらった人物だ。
怖がる優里亜が、怯えない為に体格のいい郷司を連れて行ったことが完全に裏目に出た。
社での冷遇は、オレが綾と約束の日に結婚しなかったこせいもあると法務部の同期が言っていた。綾と婚姻届を出す日に、優里亜を迎えに行ったことを同僚達が見ていたと。
綾とオレが別れたことが社内、いや、グループ内で噂になっていると言っていた。
ドクドクと心音が部屋いっぱいに響いているようだ。
嘘だろ。
誠也は取り返しのつかない事態に頭を抱えた。
ミスをして、それの後処理の為の残業。慣れない事務処理とクレーム対応。精神的にも肉体的にも疲れ、ぐったりと自室のソファに倒れ込む。ネクタイを緩め、だらりと手足を投げ出した。
ルートから外れ、一社員と同じ扱い。雑用を積んでない分、処理方法がわからないものが多く気を使う。新たに付けて貰った教育係りには、こんなことも知らないの?はっ、ミスしたの?最悪、オレ残業したくないんだけど....。みたいな態度をとられる。
「あー、明日から、出社、したくねーなぁ」
無意識に溢れる。
優里亜は可愛いくて、一緒に居ると楽しいが、彼女との結婚なん考えれない。血が繋がっていないとはいえ、従姉妹。可哀想可愛いから面倒を見てやっているだけだ。やはり、結婚するなら綾だ。
大丈夫、父さん達が帰って来たら、綾も流石に気持ちが変わるだろう。
誠也はローテーブルの上の、あの雑誌に載っていたローズクォーツのブレスレットの箱へ視線を向けた。




