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好きな子を落とすために拾った黒ギャルに恋愛コンサルしてもらったら、なぜか俺にだけ激重で困っている件  作者: ちくわ食べます


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第40話 元旦

 どうやら、小さい子供たちがお正月ソングを合唱しているようだ。


 プロに比べてしまうと、お世辞にも上手いとは言えないが、一生懸命に歌う姿が微笑ましい。


 この時間なので生放送ではなく、事前に収録したものなのだろうが。なんだかほっこりする。


「はぁ~……子どもって、カワイイよね」


 となりを見ると、黒豹が画面を食い入るように見つめていた。


 その表情は、今までに見たことがないくらいに、優しくて柔らかい。


 ……こいつ、こんな顔もするのか。


「お前、子供好きなのか?」


「えっ? ……あーうん、好きだよ。子供ってさ、無邪気でいいよね。ニコニコしてて、あったかいっていうかさ。見てるだけでこっちまで幸せになるんだ~」


「意外だな……」


「ガッチーって子ども嫌いなタイプ?」


「いや、見てるとほっこりするぞ」


「ガッチーも『ほっこり』とか言うんだ。それこそ意外なんだけど!!」


「俺だってほっこりする時があってもいいだろ?」


「また言ってる~~!! ギャハハハwww」


 ぐぬぬ、涙を流しながら笑いやがって……


 言っとくけど、お前だって黒ギャルのくせに「子供好き」とか意外なんだからな!


 ◆


 迎えた元日の朝。


 俺は大晦日の夜更かしが響いたのか、いつもの時間に起きれなかった。


 だが、黒豹にそんなことは関係ないらしい。


「お~い、ガッチー! 起っきろぉー! 初詣行くよぉー!」


 いつも通りの陽気な声で、叩き起こされることになってしまったのだ。


 布団をひっぺがされ、半ば強制的に連れ出された先は、近所にある大きめの神社。


 元日ということもあってか、境内へ続く参道が初詣に訪れた参拝客で恐ろしいほどに溢れかえっている。


「まさかとは思うが、これに並ぶわけじゃないよな?」


「はあ? 並ぶに決まってんじゃん!」


「いいか黒豹。よく考えてみろ……神などという非科学的な存在がいるわけが無いだろう。だいたい確率論的に考えてもだな、個人の祈りが事象に影響を与えるというのは――」


「はい、ウザいウザい。そういう理屈っぽいのいいから!」


「いや、そう言うがな……」


「もうっ! わかってないなあ、ガッチ―は。そういうノリじゃん、正月だよ? アゲてこうよ」


「だがこの行列ではなぁ……アガるものもアガらんぞ」


「初詣ってのはね、イベントなの。 イ・ベ・ン・ト! 参加することに意義があんじゃん」


 黒豹はそう言って楽しそうに歩いているが、俺は人が多いところがあまり好きじゃない。


 ただでさえ神を信じていないのに、この人だかりに並ばなくてはならないなんて……なんの罰ゲームだ?


 くっ……この空虚な時間が勿体ない。

 

「きゃっ!」


 仕方なく列に並んでいると、ドンっという衝撃とともに、黒豹がぶつかってきた。


 俺の腕に抱きつくような形でこっちを見上げている。


「どうした、黒豹?」


 なんか……顔近いな。


 だが、何だその顔は。なにを驚いてるんだ?

 

「その……ごめん、ガッチー。ちょっと、転びそうになっちゃって……」


「ああ……気にするな。人が多いからな、気をつけろよ」


 俺は平静を装いながら答えたが、実は腕に感じる感触に全神経を集中させている。


 なぜならば、この2つの膨らみは……


 いやイカン! 息子が反応しそうになっている。


 落ち着け俺!!


 こんな時は素数だ、素数を数えろ。


 2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37……


「ガッチ―ってさ、意外と逞しいよね♡」


「…………」


 やめろぉぉぉ―――ッ!!


 素数が飛ぶだろうがぁ!!


「逞しい」とか、今だけはNGワードなんだよ!


 いや、腕だろ?

 腕を褒めたんだよな?

 そうだよなっ!?


 頭では分かっている。でもな、密着してそんな風に言われたら……色々と困るんだよ!


 ほら見ろっ!

 息子が反抗期に突入しちまったじゃねぇか!

 

 もう俺の言うことなど聞かんぞ!?


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