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好きな子を落とすために拾った黒ギャルに恋愛コンサルしてもらったら、なぜか俺にだけ激重で困っている件  作者: ちくわ食べます


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第32話 俺の……せいなのか?

 明らかに相手は激昂していた。


 だが、俺だって引けないのだ。こんなことを言うようなヤツを……黒豹を侮辱するヤツを、俺は許せない。


「どうやら、殺られたいらしいな」


「ちょ……ちょっと待ってカズト!」


 ドブカスが凄んで近寄ろうとした来た時、黒豹が俺たちの間に割って入ってきた。


「どけよアゲハ。俺はコイツを殴らないと気がすまないんだよ」


「待ってよ! ガッチーは口は悪いけど、中身は良い奴なんだって!」


「はあ? んなわけねぇだろ!」


「ほ、ほらアタシ暇だから、今日なら相手してあげてもいいし。だから、この人のことは放っておいてよ」


「黒豹……下がっていろ」


「でも……このままじゃ、ガッチーが……」


「俺はッ! お前を安売りなんて絶対にさせん!」


「…………」


「なんだお前? 女の前だからって格好つけてんのか?」


「格好なんかどうでも良い。俺はこれが平常運転なんだよ」


「ますます気に入らねぇな、お前ぇ!!」


「俺を殴るか? 構わんが、お前は終わるぞ。あれを見ろ」


 俺は頭上を指さした。


 その先にあるのは防犯カメラだ。


「傷害罪は刑法第204条だ。お前の顔はもう映っている。どうだ、続けるか?」


 そう、先程からのやりとりはずっと記録されているのだ。


 嫌がる黒豹を無理やり掴んだこともな。


 相手は口をパクパクさせるだけで何も言い返せない。

 

「逃げたところで、黒豹はお前のことを知っている。証拠も写っている。これだけ情報があれば、どうやっても警察からは逃げられんぞ?」

 

「テメェ……」


「で、どうする? 俺を殴るか?」


「クソっ、おぼえてろよ」


 お決まりの捨て台詞を残して、茶髪男は足早に去っていった。


 覚えていてほしいなら、もう少し記憶に残るような知的な台詞を吐いてから去るべきだと思うが。


 無駄なメモリーを消費したくないので、覚える気もないからどうでもいいが。


 俺はため息をついて、黒豹の方を向いた。


「もう、ああいうやつとは付き合うなよ。なんかあったら俺を頼れ」


「…………映画みたい」


「は? え、映画……?」


 なにを言っているんだ。ココは現実だぞ?


「………………」


 黒豹は何も言わないで下を向いてしまった。


 肩が小さく小刻みに震えている。


「おい、黒豹?」


「グスッ…………」


 なに……もしかして泣いてるのか?


「だ、大丈夫か……?」


 黒豹がゆっくり顔を上げると、目が真っ赤になっている。

 

 赤い目からは、涙がぽろぽろとこぼれて落ちていた。


「ど、どうしたんだよ。泣くなって……俺は論理的に正当な反論をしただけで——」


「ガッチーの……バカっ……」


 えぇ……俺……バカなのか??


 黒豹が俺の胸に顔を押し付けてきた。


「うぉ…………っと」


 なにか言おうと思ったが、声を押し殺して泣いている黒豹に動揺してしまって、うまく言葉にできない。


「……ガッチーのせいじゃん」


「っ……なんだよ、なんか悪いことしたか?」


「バカ…………もっと……す……になっちゃう……じゃん」


「え……なんだ? 分からんぞ??」


「うぅ…………」


 俺はどうしたらいいかわからなくて、ただ突っ立ったまま黒豹に胸を貸していた。


 通りを歩く人がチラチラとこっちを見ている。


 女子を泣かせているせいか……視線が刺さって非常に居づらい状況だ。


 だけど、ここで黒豹を引き剥がすのは……なんとなく違う気がする。そして何か反論することも違う気がする。


 俺はわけが分からぬまま、黒豹が落ち着くまで無言でジッとしていた。


 ようやく黒豹の泣き声が少し落ち着いてきたので疑問をぶつけてみた。


「……あいつ、元カレか何かか?」


「…………うん、そんな感じ」


「ドブカスを絵に描いたような男だな」


「……うん」


「もう関わるなよ。あんな奴にお前の時間を使う必要はない」


「…………うん」


 黒豹が俺の胸から顔を離したが、まだ涙が止まらないのか目元を指で拭っている。


「少し……泣き過ぎじゃないか?」


「だって……ガッチーのせいじゃん……」


「やっぱり、俺の……せいなのか?」


「ガッチーのせいでしょ……アタシのために怒ってくれたから、だから……泣いてんじゃん……」


 黒豹がそっぽを向いて、鼻をすすった。


 そうか……俺のせいだったのか。俺がドブカス相手に怒ったから泣いたのか?


 うーん。因果関係がよくわからんぞ……


「少し落ち着いたら帰るか。泣いたまま歩くのも大変だしな」


「………うん」


 黒豹がまた少し黙って、それから小さく何かを呟いた。


「ん? なんか言ったか?」


「ううん……なんでもない」


 黒豹は俺の横で目元を拭い続けていた。


 俺には聞こえなかったが。


 黒豹は、こう言っていたらしい「ガッチー、かっこ良かった」と。


 ◆


 あの元彼との件以来、黒豹は俺の前で泣いた事を恥ずかしがっていた。


 たまに思い出したように「あの時泣いてなかったし!」と主張してくるが、どうみても号泣していたし、お前の涙は俺の服に染みを作っていたぞ。


 無意味な抵抗は止めることだな……!!

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