↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きな子を落とすために拾った黒ギャルに恋愛コンサルしてもらったら、なぜか俺にだけ激重で困っている件  作者: ちくわ食べます


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/57

第30話 俺たちは恋人じゃない

「おいっ、牛タン食わねぇのかよ!」


「わかってないなぁガッチーは。まずはカルビっしょ!」


 なんじゃそのドヤ顔。

 

 おまえが牛タン食べたいっていうから、わざわざスタンダードコースにしたんだぞ……


「何のためにスタンダートコースにしたのかかわからん……」


「あはは、大丈夫。これ『上カルビ』だから。スタンダートじゃないと食べられないやつだよ!」


「そうなのか?」


 なるほど。たしかにお手軽コースは「ファミリーカルビ」みたいなペラペラの肉しか頼めないようだ。


 この厚めに切られた「上カルビ」はスタンダードコースからしか注文出来ない品というわけか。


「そうか……なんか釈然としないが、じゃあいいか」


「そうそう、いーじゃん。アタシのお祝いなんだし、固いこと言わないの!」


 そうだな。


 黒豹が楽しそうならそれで良いか。


 到着したカルビを網の上にのせるとジュウ〜っと油の焼ける良い音が聞こえてくる。


 肉の焼ける香ばしい匂いも最高で、食欲をそそる。


 めちゃめちゃ美味そうだな……と思っていると黒豹が「いただきまーす」とパクリと食べた。


 途端に、ほっぺたが落ちそうなくらい幸せな顔になってニマニマしている。


 よほど美味いみたいだな。

 

「ふわぁ~……このカルビ、マジで美味しいよ! ガッチーも食べてみなって!」

 

「どれ……食べてみるか」


 俺もカルビを食べてみたが……美味いっ!


 焼き肉ってこんなに美味かったか?


 この甘辛いタレか?

 

 それとも肉の甘さか?


 はたまた成長期の体が肉を求めているからか?


 よくわからないけど、とにかく美味い!


 はっ!? その前に言っておくことがある。


「黒豹、赤点は回避出来たが気を抜くなよ。最終目的は留年回避なんだからな」


「分かってるって。でもガッチ―がちゃんと面倒見てくれるんでしょ?」


「まあな。とはいえ、頑張るのは黒豹だけどな」


「ガッチー先生、今後ともよろしくお願いします」


「おう。しかし、この肉は美味いな!」


「でしょ? もっと頼んどくね!」


 そう言いながら黒豹は笑顔でタッチパネルを操作し始めた。


「おい、もう頼むな! いくら食べ放題とはいえ、俺たちは2人しかいないんだぞ!」


 もう既に10皿分のカルビがあるのだ。これ以上はやめてくれ。


「あはは、ごめんごめん。でもさ、アタシこんなに美味しい焼肉食べたの久しぶりかも」


「俺も……久しぶりだな」


 黒豹は肉を頬張りながら楽しそうに笑っている。


 もうこの光景に慣れてしまったが、少し前まではずっと1人で飯を食ってたんだよな。


 目の前でニコニコ笑っている黒ギャル。俺には縁のない生き物だと思っていたのに。


 まさか一緒に焼肉屋に来て、取り合って、文句を言い合う仲になるなんてな……


 こんなの……完全にデートの空気だろ。


 客観的に見れば、俺たちは明らかに恋人に見えるかも知れない。


 だが、俺たちは恋人じゃない。ただの……契約上のパートナーだ。


 ……なのに、なんで。


 なんで、こんなに楽しいんだ?


「なあ黒豹。期末テストで赤点なしってことは、このまま行けば進級できるかもしれんぞ」


「え、マジ? やったー!」


「で、3年になったとして。卒業したらどうするんだ。前はキャバ嬢とか言ってたが、ホントはなりたいものがあるんだろ?」


 黒豹の箸が、一瞬だけ止まった。


「うーん…………内緒……」


「内緒?」


「そっ。内緒♡」


「そうか……」


 黒豹は少しだけ寂しそうだったが、でも前とは明らかに違う顔をしていた。


 前は「キャバ嬢でいいし」と投げやりだった。


 それが今は「内緒」になった。


 彼女の中で、何かが変わったのかもしれない。


「……まあ、気が向いたら教えろよ。俺もアシストくらいはしてやれるから」


「…………ありがと、ガッチー」


 ヤケに小さな声だな。


 いつもの黒豹らしくないぞ?


 俺は特に気にせず、大量のカルビ消化すべく網にのせ続けた。


 ◆


「いっぱい食べた〜!」


「お前は一気に頼みすぎだ!」


 焼肉屋を出た俺たちはアーケード街を抜け、家に向かって歩いていた。


 俺の隣では、腹がいっぱいで機嫌のいい黒豹が「しばらく肉は食べたくないなぁ」とかほざいている。


 ……そんなに食うなよ、と叫びたい。


 ――と思っていた時だった。


「おー、アゲハじゃん。久しぶりー」


 1人の男が話しかけてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。