第1部(1) 第7話【 後継の座を巡り、…… 】
「精霊術と申します。
力でねじ伏せるのではなく、
大地と対話するのです」
シリウスは、
その光景から目を離せなかった。
「……父上が言っていたのは、これのことか」
初めて目にする技に、
彼は長らく抱えていた問いの答えを、
ようやく見つけた気がした。
「継承争乱に、ついに終止符が打たれた」
使者の報告に、
シリウスは静かに息を吐いた。
「伯父上たちを退け、
新たな盟主となられたのは、
兄上……アルタイル様です」
数日後、シリウスは兄の前に召し出された。
「シリウス、お前の統治手腕、
そして南方の
龍脈勢力に通じているという噂、
耳にしている」
アルタイルは
真っ直ぐにシリウスを見据えた。
「南方戦線の総指揮官を、お前に任せる。
大サザンクロス龍華星界を
制することができれば、
銀河の富はすべて我らのものとなる」
「承知しました、兄上」
戦線に立ったシリウスは、
武力だけに頼らなかった。
「降した領域の術士や官吏は、
そのまま登用する。
彼らの知識は、我らにとって財産だ」
「しかし殿下、
敵だった者を信用してよいものか」
「信用するかどうかではない。
使うかどうかだ」
龍脈の民から得た知識を駆使し、
風騎兵だけでは崩せなかった防壁を、
次々と突き崩していく。
占領地の民の反発すら和らげるその統治は、
着実にシリウスの勝利を積み重ねていった。
だが快進撃の最中、一報が届く。
「兄上が……アルタイル様が、
陣中で急死されたとのこと!」
シリウスは言葉を失った。
「後継の座を巡り、末弟のデネブ様が、
性急にも
自ら盟主を名乗り即位を強行なさいました」
旧来の
風の氏族に支持されたデネブの即位は、
あまりに性急だった。
「……南方に釘付けにされている今、
俺はどう動くべきか」
シリウスの脳裏に、
これから始まるであろう新たな、
そしてより苦しい戦いの気配が過った。
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「南方戦線は、現地の将に預ける。
俺は本拠へ戻る」
シリウスの決断に、副官が息を呑んだ。
「殿下、それは……」
「血を分けた弟の簒奪さんだつを、
黙って見ていられるか。
父上の理想もろとも、消え去ってしまう」
本拠に戻ったシリウスは、……。
本日、12:30 に、第8話を投稿します。




