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第1部(1) 第6話【 大地と対話するという精霊術 】

「殿下、伯父上たちの艦隊が

また衝突したとの報せです」


従者の声に、シリウスは

窓の外へ目をやったまま答えなかった。

継承争乱の炎は、

もう何年も銀河を焼き続けている。


「参戦なさらないのですか」


「しない」


短く言い切ると、

シリウスは執務机に向き直った。


「父上は、争わずして

富み栄える術があると仰った。

俺はそれを、自分の手で確かめたい」


辺境の小さな領域で、

シリウスは実力主義の統治を始めた。


「お前、元は敵将だったな。

だが功があるなら、

その地位はそのまま与える」


「よろしいのですか……」


「才ある者を腐らせる理由がない」


降伏してきた者、流民、亡命者——

身分を問わないその姿勢は、

荒廃した銀河の各所から

人を引き寄せていった。


いつしかその領域は、

争乱下で数少ない「安寧の地」として

知られるようになる。


そんなある日、一人の老人が漂着した。


「大サザンクロス龍華星界から参りました。

争乱を逃れて、ここまで……」


「休むといい。ここでは、誰も争わない」


老術士は深々と頭を下げると、

静かにその手を宙にかざした。


地に伏していた枯草が、

ゆっくりと蘇っていく。


「これは……何をした?」


「精霊術と申します。

力でねじ伏せるのではなく、

大地と対話するのです」


シリウスは、

その光景から目を離せなかった。


「……父上が言っていたのは、これのことか」


初めて目にする技に、

彼は長らく抱えていた問いの答えを、

ようやく見つけた気がした。


©2026 [風風風]. All rights reserved.

明朝、7:30 に、第7話を投稿します。

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