第1部(1) 第4話【 汝(なんじ)を、全宇宙の王と認める 】
「ヒドラ様、また将が三人、
投降を申し出ています」
報告を受けるたび、
ヒドラの表情は険しくなっていった。
かつて十三氏族を率いた男の艦隊は、
今や見る影もなく痩せ細っている。
それでも彼は矜持を捨てず、
残された忠臣とともに
辺境の小惑星帯へと最後の陣を敷いた。
「使者を送る。
ヒドラに、投降するよう伝えよ」
オリオンは旧友を嬲り殺しにする道を
選ばなかった。
共に歩んだ日々を引き合いに、
降伏を促す使者を送る。
だが返ってきたのは、静かな拒絶だった。
「風は一つの空にしか吹けぬ。
ならば俺は、地に還る道を選ぶ」
それが、使者が持ち帰った、
ヒドラ最後の言葉だった。
決戦は、呆気なく終わった。
抵抗する意志を失っていたヒドラの艦は、
一撃も交えることなく拿捕される。
「頼む……命だけは助けてやってくれ」
オリオンは涙ながらに助命を望んだ。
だがヒドラ自身がそれを拒んだ。
「お前の情けなど、要らぬ」
そう言い残し、
彼は静かに星の海へと消えていった。
宿敵は去り、
荒野に残る勢力は
もはやオリオンに逆らう者なきまでに
一つとなった。
諸氏族の長たちが
大宇宙の果てから続々と参集し、
盛大な推戴の儀が催される。
「汝を、全宇宙の王と認める!」
万雷の歓声が轟く中、
オリオンは静かに拳を掲げた。
星屑の欠片が、
これまでで最も強く輝いていた。
「大宇宙」を統べる至高の座——
蒼天銀河帝国の始祖として、
その名がこの日、刻まれることとなった。
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本日、17:00 に、第5話を投稿します。




