第1部(1) 第1話【 オリオンの旗の下に 】
「よくぞ参った」
老将アルゴは、
痩せこけたオリオンの肩に手を置いた。
「汝の父の恩、この老骨、忘れてはおらぬ。
今日からここが、お前の家だ」
かつて離散していた旧臣たちも、
噂に聞くオリオンの風の力を頼りに、
一人また一人と集い始めていた。
「お前、その拳の光……本物か?」
隣の氏族の少年ヒドラが、
興味津々に覗き込んでくる。
オリオンは黙って星屑の欠片を見せた。
「本物だ。
信じるかどうかは、お前次第だが」
「面白い。俺のとも、交換してみるか」
差し出された手を握り返した瞬間、
二人の間に確かな絆が生まれた。
この盟友が、
いずれ最大の宿敵となることを、
オリオンはまだ知らない。
やがてオリオンは、幼き日の約束通り、
隣接氏族の娘ヴェガを妃に迎えた。
「これで、お前もようやく一人前だな」
アルゴは相好を崩したが、その祝いの夜、
宿敵メルキア氏族の急襲を受け、
ヴェガは連れ去られてしまう。
「妻を取り戻す。
それがどれほどの犠牲を強いようとも」
拳を血の滲むほど握りしめ、
オリオンはアルゴとヒドラに助勢を乞うた。
「無論、力を貸そう」
「俺も付き合ってやる。退屈しのぎにな」
三者の艦隊が束ねられ、
初めて風下に集った兵は千を超えた。
夜陰に乗じて
メルキアの本拠を強襲したこの一戦は、
後に「風起こしの夜襲」と呼ばれる。
炎に照らされた陣営で、
オリオンはついにヴェガを奪い返した。
「もう、離さない」
「ええ……もう、大丈夫」
この勝利を境に、
荒野の氏族たちはこぞって
オリオンの旗の下に
馳せ参じるようになっていった。
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本日、12:50 に、第2話を投稿します。




