第1部(2) 第6話【 星を穿(うが)つ断罪の光 】
降伏すら拒絶する絶対の牙。
英雄を裏切った過去から
目を背けてきたオリジン星群の住民たちは、
いまや完全に退路を断たれ、
遅すぎた後悔と真の絶望の淵へと
叩き落とされたのだった。
「こちら第3管区!
上空の敵艦隊から高エネルギー反応!
避難が間に合わない、助けてくれぇぇッ!」
首都星の地表は、
逃げ惑う人々の怒号と悲鳴で
地獄絵図と化していた。
かつて
「全銀河で最も平和で安全な理想郷」
と称えられたオリジン星群の本星。
その街並みを覆いつくすのは、
大サザンクロス星導国が誇る
風と龍の超巨大艦隊だ。
もはや降伏すら拒絶され、
逃げ場を完全に失った市民たちは、
自分たちが過去に目を背けてきた
代償の大きさを痛感していた。
『愚者どもよ、その目に焼き付けるがいい』
全宙域に響き渡るシリウスの声。
旗艦『アストライア』のブリッジにて、
シリウスは片手を静かに天へと掲げた。
その指先から解き放たれたのは、
12星座の頂点たる
「牡羊座・アレス」の戦威と、
「射手座・ゼウス」の貫通力が融合した
絶技の輝きである。
「祖父オリオンが遺した風の神威、
そして父ポセイドンが与えし龍の精霊術
……いまこそひとつとなれ」
シリウスの合図とともに、
空を埋め尽くす数十万隻の艦隊が
一斉に陣形を変えた。
艦隊の放つ青き「風」と黄金の「龍」の
オーラが互いに絡み合い、
首都星の上空に巨大な光の陣円を描き出す。
それは
星一つを容易く丸呑みできるほど巨大な、
古代精霊魔導の真陣であった。
『神威融合超魔法──【龍風天罰光】』
シリウスが振り下ろした手とともに、
天を刺す極大の光柱が
首都星の防衛拠点へと降臨した。
ド……ズズズズズズズズズズオン……ッ!!
爆発音すら遅れてやってくる圧倒的な破壊。
軍の主要基地、かつて
汚職政治家たちが肥え太った中央庁舎、
そして英雄ジャスティスの功績を
書き換えた歴史編纂所──それら
「裏切りの象徴」と呼ぶべき巨大施設群が、
光の柱に触れた瞬間、
分子レベルで蒸発し消滅していった。
民間の居住区には一切の手を出さず、
しかし
国家の枢軸と軍事権力を
跡形もなく消し去るピンポイントな神技。
「な……なんという精度だ……。
星の地殻を傷つけず、
我らの政府と軍だけを
正確に消し去ったというのか……!?」
がれきの中で腰を抜かした残存将校が、
絶望の混じった声で呟く。
『言ったはずだ。命を乞う時間すら与えんと』
煙が灰となって舞い散る中、
空に浮かぶシリウスの巨大な投影が、
逃げ惑う民衆を冷たく見下ろしていた。
『政治家も軍部も消滅した。
これで貴様らを護る「国家」は
完全に終焉を迎えたのだ。
裏切りによって手に入れた偽りの繁栄が、
いかに脆く惨めなものであったか……
その身に刻むがいい』
かつて英雄を謀殺し、その死の上に
ぬくぬくと築かれた国家「オリジン星群」。
その支配構造は、
シリウスの一撃によって完全に崩壊した。
しかし、覇王シリウスの復讐劇は、
まだここでは終わらない。
『絶望の第2幕だ。
……次は、英雄の死をあざ笑い、
その成果を横取りした「民衆」の罪を裁く』
シリウスの宣言が、さらなる恐怖となって
生き残った者たちの胸を締め付けていくのだった。
明朝、7:30 に、投稿します。




