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第1部(2) 第4話【 愚者の要塞 】

次なる標的は、

英雄の死を嘲笑あざわらい、その遺産をむさぼった

軍部のアドミラル共だ』


絶叫するヴァルガスを置き去りにし、

覇王シリウスは、次なる「復讐の舞台」へと

足を進めるのだった。

「ヴァルガスが失脚しただと!? ぬぬ

……政治家どもめ、役に立たん豚どもが!」


オリジン星群の東方領域。


極秘宙域に潜む超大型機動要塞

『アレス』の作戦室で、

軍最高司令官グレイブ元帥げんすいは毒づいた。


彼こそがかつて、

ジャスティス・オリジンを謀殺すべく、

背後から毒殺の引き金を引かせた

軍部の黒幕である。


ヴァルガスが失脚し、民衆の暴動が広がる中、

グレイブは

星群の最新鋭ブラックホール兵器

「特異点砲」を稼働させていた。


「シリウスめ、いくら艦隊が強大だろうと、

空間そのものをつぶす特異点砲の前には無力!

ジャスティスの血脈など、

二度までもこの軍部が叩き潰してやるわ!」


グレイブの指令とともに、

要塞アレスの砲身が怪しくゆがみ、

黒い光を放ち始める。


事象の地平線を作り出し、

周囲の宇宙空間ごと

敵を飲み込む絶対不可避の壊滅兵器。


だが、アレスの目前に空間の歪みが生じ、

たった一隻で現れたのは──

大サザンクロス星導国の旗艦

『アストライア』であった。


『……愚かな真似を、グレイブ』


ブリッジに立つシリウスの瞳に、

黄金の12星座の紋章が浮かび上がる。


シリウスの中に眠るジャスティスの記憶が、

かつて背後から自身を刺したこの男の顔を、

鮮明に捉えていた。


「ハハハ!

たった一隻で乗り込んでくるとは

跳梁跋扈ちょうりょうばっこも大概にせよ!

喰らえ、『特異点砲』発射ぁぁぁッ!!」


暗黒の特異点が放出され、

光すら逃げ出せない絶対の重力波が

旗艦アストライアを襲う。


しかし──シリウスは不敵に微笑み、

静かに左手をかざした。


『12星座が一つ、

山羊やぎ座の守護神クロノスがことわり

──【時空凍結】』


次の瞬間。


全宇宙を飲み込むはずだった

ブラックホールの拡大が、ぴたりと停止した。


重力波も、光の歪みも、空間の崩壊すらも、

シリウスの絶対的な権能によって

「時間の概念」ごと完全に停止させられたのだ。


「な……なにいぃぃッ!?

特異点が

……兵器の現象そのものが止まっただと!?」


『時空すら統御する神の威光の前に、

科学の悪あがきなど止まった刻の砂に過ぎん』


シリウスが右手に宿す

「風と龍」の神威を解放する。


くだけよ』


シリウスが

掲げた拳を握り締めると同時に、

停止していた特異点が逆流。


グレイブたちが誇る超大型機動要塞

『アレス』の内部で、

過剰圧縮されたエネルギーが一気に暴走を起こした。


「ヒッ……やめろ!

待て、ジャスティス! 許してく──」


グレイブの命乞いは、

要塞内部からの大爆発によってかき消された。


特異点砲の暴走により、

要塞アレスは内部から歪み、

自らが作り出した重力の渦へと飲み込まれ、

影も形もなく圧縮されて消滅していった。


軍部の誇る最強要塞の無惨な最期。


通信映像を通じて

その光景を目撃していたオリジン星群の残存勢力は、

もはや言葉を失い、

ただただ震え上がるしかなかった。

明朝、7:30 に、第5話を投稿します。

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