第1部(1) 第9話【 大サザンクロス星導国を建国 】
「デネブ様は……兄上の慈悲を、
受けぬとのことです。
自ら艦もろとも姿を消されました」
報告を聞いたシリウスは、
しばらく何も言わなかった。
「……そうか」
ただそれだけを呟き、
遠い星の海を見つめ続けた。
血で血を洗う継承争乱は、
こうして真の終わりを迎えたのだった。
「新たな国号を、掲げようと思う」
玉座の間に集った将たちの前で、
シリウスは静かに告げた。
「大サザンクロス星導国——
祖父オリオンが荒野を制した『風』と、
南方に千年続いた龍脈、
その双方を導きとする帝国だ」
「風の氏族の誇りは、どうなるのですか」
古参の一人が声を荒らげる。
「捨てはしない。だが、
龍脈勢力の官吏や術士も、
これからは我らの一員だ。
風と龍、双方の血を引く
新たな貴族階級を築く」
反発の声は、次第に収まっていった。
「残る敵は、大サザンクロス
龍華星界の残存艦隊のみです」
「陸だけでなく、海でも勝てる艦隊を作れ」
シリウスは
龍脈術士から学んだ水脈操艦の技術を、
風騎兵に取り込ませた。
「風の一族が、
水の上で戦えるようになるとは……」
将たちの間に、静かな驚きが広がる。
決着の時は、崖江の海戦で訪れた。
「陛下、皇族もろとも、
敵艦隊が追い詰められています」
「……逃げ場は、もうない」
シリウスの言葉通り、
旧龍華星界の艦隊は、
星の海に没していった。
灰燼と化した敵の都を前に、
シリウスは静かに口を開く。
「征服する者ではなく、
継ぐ者として、私はここに立つ」
その言葉を聞いた将兵たちは、
誰も声を発しなかった。
かくして南方は、完全に
大サザンクロス星導国の版図に
組み込まれたのだった。
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「東瀛からの返答は?」
玉座に座るシリウスが問うと、
使者はうなだれたまま答えた。
「拒絶にございます。彼の地は
独自の地脈信仰と太陽神を奉じ、……
明朝、7:30 に第10話を投稿します。




