【Fast Episode.6】ボーイッシュっ!
【Fast Episode.6】ボーイッシュっ!
時刻は12時過ぎ。
学生が毎日待ち望んでる昼休みだ。
俺はリュウトやチヒロ達と学食を食べ終わって教室でのんびり談笑していた。
…余談だが、うちの高校の学食はなかなか美味い。
特に目玉である、とんかつ定食は大人気で、チャイムが鳴ってすぐさま食堂に行って、すぐに並ばなければ、あっという間に完売してしまうほどだ。
そして、2週間に一回だけの為、それはもう倍率が高い。
まぁ、とんかつ定食以外ももちろん美味しいんだが、やっぱ目玉はコレだよな。
あと、他にはコンビニも併設されていて、パンや飲み物、お菓子なども安価で買う事もできる。
なぜそんな話をするかって?それはな…!
俺は今日、実に1年ぶりのとんかつ定食にありつけた。
サクッとした衣に噛めばとろ~りとした熱々の肉汁が口の中であふれ出す…。
そしてセットの味噌汁と…、何よりご飯!!!ご飯が進むこと、進むこと!!
ご飯も大盛にしても金額は一緒だ。
極上の至福とはこのことを言うのか———
…そんなこともあり、俺は今すごく上機嫌だ。
なんせ、リュウトとチヒロもこの学校生活で数えるほどしか食べていないからな。
そうして自慢も交えつつ、リュウトとチヒロと話している時だった。
とある女の子がひょこっと後ろから顔を出す。
???「やっほータク!なになにー?なんの話してんのー?」
すごく聞き覚えのある声だ。
タクミ「おう、ななじゃん。聞いてくれよー!俺、今日とんかつ定食くったんだぜ!!」
なな「マジー?とんかつ定食ってうちの大人気メニューだよねー!私も1、2回くらいしか食べた事ないよー。えーいいなー!」
こいつは片瀬 なな。
俺には昔、西宮 ゆきみという女の子の幼馴染が居たんだが、小学校6年の時に転校してしまったんだ。
ゆきみが転校してほどなくして、親の転勤か何かで、俺の近所に引っ越してきた……それがななだ。
ある意味、入れ替わりの幼馴染という事になる。
ななは昔からスポーツ少女で、うちの高校でも陸上部とテニス部と女子ソフトボール部に(兼任)所属し、他の部活にも臨時助っ人として入ったりと、幅広いスポーツをしている。
聞いたところによれば、陸上部では「俊足のエース」、テニスでは「コートの魔術師」、ソフトボールでは「強肩強打、俊足の麗しき4番」と、色々な異名があり、学年ではそこそこ有名だし、なんならスカウトもたまに来ていて話しているのを見かけた事がある。
そんなななはスポーツ少女らしく、少し褐色で体格もガッチリしているすごくボーイッシュな女の子だ。
…もっとも、胸はあんまりなく、エロさは感じないがな。
ななはリュウトやチヒロにも挨拶する。
なな「チヒロ、リュウト、ちゃっすー!」
チヒロ「こんにちは、片瀬さん。相変わらず元気だね。」
リュウト「おう!片瀬じゃん!ちょうどいいや、お前もこいつ(タクミ)の自慢話に付き合ってくれよ!俺はもう聞き飽きてさー…」
なな「あっははー!君ら3人ほんと仲いいねぇ~!」
タクミ「それでなな、何しにきたんだ?」
ななは少し頬を膨らませた。
なな「んもータク、昨日、一緒に帰ろうとしたのに、教室いないんだもん!今日だって家の前に待ってたのに中々出てこないし…。」
そうだった……。
今日は俺、二度寝して、時間ギリギリだったんだ。
そして昨日は俺が帰る時にはまだ学校にいたらしいんだが、どうやらすれ違いになってしまったか。
タクミ「悪い悪い。今日は少し遅刻しちまってなー」
なな「またぁ~?タク、何回遅刻してんのよ…。」
その話は俺に刺さるからヤメロ……。
遅刻しすぎて内申がやばいんだよ…。
なな「まぁ、それはそうと、今日は一緒に帰ろうよー!借りたい漫画とゲームもあるし!」
タクミ「あいよー…。まぁ、放課後また寄ってくれや。」
…こいつに漫画やゲームを貸すとなかなか返ってこないからあんまり貸したくないんだがな…。
すかさずリュウトが茶化してきた。
リュウト「おっ!デートか~?ひゅーひゅー!」
タクミ「違ぇよバカ!俺とこいつはそんな関係じゃねーの!」
なな「違わないよん!今日はタクとデートだもんねー!」
ななも便乗して話を被せてきた。
そして…
なな「3人ともそんじゃねー!」
…そう言い残すと去っていった。
まったく…嵐のようなヤツだな……。
チヒロ「仲いいよね。ね?来たじゃん。例の彼女が。」
タクミ「彼女じゃねぇ!!」
リュウト「でも、俺らも片瀬とは昔からの付き合いだけど、お前ら特に仲いいじゃん。」
続けてリュウトは言った。
リュウト「そうだ!オリ会、片瀬を誘ってみたらいいじゃん!あいつなら喜んで出てくれるだろ?」
…その発想は無かったな。
いくら幼馴染だからといって俺があいつを…?
チヒロ「たしかに僕らも片瀬さんとは古い付き合いだけど、僕らよりタクミと話す事が多いよね。これはもしかしなくともワンチャンあるかもよ?」
ないないないない!!!!
それにアイツは昔から知ってるから、恋愛対象として…
…い、いや?確かに胸こそないが、スポーツをしている事でついたがっしりとした尻…。
スポーツをしている時の足首やうなじ、そして男ほどじゃないが、腕や足の筋肉…
そして、い、意外と太ももまで俺好みの曲線美なんじゃないか…?
そんなことを想像した時だった。
チヒロ「タクミ、また妄想中?クスッ。」
またしてもチヒロに見破られた。
タクミ「ち、ちゃうわーい!!」
何故か関西弁が出てしまった。
…そうこうしているうちに昼休みは終わった。
しかし、ななか…。
ななと俺は中学の時、親同士が仕事の付き合いで交流があったんだ。
たしか…、もう一人、別の女の子もいたような…。
どんな子だったっけなー……だめだ、思い出せない…。
まぁ、それはそうとして、オリ会にななをねぇ…。
…いいや、今は授業に集中しよう…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、今朝から色々あったが、無事今日の授業はすべて終わった。
俺は部活にも入っていないし、あとは帰るだけだ。
リュウトとチヒロは「デート、楽しんでね~」と言い残し、先に帰ってしまった。
…あれ?よくよく考えてみれば、あいつ、部活じゃね!?
げっ………マジか…。
あいつの部活終わるまで待たなきゃいけないのかよ…。
そう思った矢先にななが教室に姿を出した。
タクミ「あれ!?お前、今日部活なんじゃないのか!?」
なな「はぁ~………タク、本気で言ってる?まだ2日目だし、なんなら新入生の仮入部すらまだだよ…。」
ななは続けて。
なな「それに、レギュラーは各自、自主トレだね。グラウンドもまだ使えないし。」
…そうだったのか。
なな「って事で私は今日はおやすみっ!さあさあお待たせしましたっ!じゃあ帰ろっか!まずさ、私の家にきてよ!タクに借りてた漫画とか色々あるし!」
家近いんだから持って来いよ…。
まぁ、今日は特にやる事もないし、いいか…。
ななの家で時間つぶして晩飯前くらいには帰るか…
そうして俺はななと一緒に帰った。
ほどなくしてななの家に着き、上がり込んだ。
家の中は静かで、ななと俺以外、誰もいないようだ。
そしてななとなんだかんだ楽しく雑談や、ななの家の漫画とかを読んでいた。
…しっかし、こいつの家、相変わらずスポーツ漫画が多いな…。
クイーンのエースとか、おおきく振り上げてとか、テニスのお姫様とか、ミドリのハコとか…。
少し古いもので言えば狂人の星とか、涼男とかもある。
そして別の本棚にはバリバリ伝統とか、スポーツ漫画ではないがキャンデーキャンデーとかもある。
…こいつ一体何歳だ?
そんなななの家のスポーツ漫画を読むこと数時間。
そろそろ尿意が近づいてきた。
タクミ「なな、トイレ借りるぞ。」
なな「どうぞぉ~」
ななは漫画に集中していて生返事だったが、俺はトイレへ行こうと階段を下りたその瞬間———
ズルっ!!!ズルズルズル…!!!!!
階段から足を踏み外し、派手に滑り落ちた。
そして、滑り落ちたと同時に、俺の意識も滑り落ちた。
次回へ続く。
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次回更新は…9/4日です。
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