【Fast Episode.5】脱出、そして…?
【Fast Episode.5】脱出、そして…?
みどり「はぁぁ、良かったです……。やっと出られます。ありがとうございました、エルフさん。」
みどりは安堵の表情を浮かべ、エルフ状態の俺にそう言った。
そして、みどりはにっこりと微笑んだ。
俺はハッとした。
委員長…いや、華咲みどりのこんな顔、初めて見た。
…その笑顔は思いがけず、あどけなくて…何だか妙に可愛い。
みどりのその可愛い笑顔を見たその瞬間、俺は何故か眩暈を覚えた。
……しかし、なんだかとても心地の良い眩暈だ…。
そして視界もユラユラと揺れている。
と言うか、全身がユラユラと揺れて———
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みどり「———君、烏丸君。」
タクミ「んあ……?」
ふと気が付くと、誰かが、俺の肩を控えめに揺さぶっている。
……やべっ!俺、本格的に眠ってた!!
ガバッと顔を上げると———
そこには華咲みどりがこちらを見て心配そうにしていた。
…華咲…みどり!?
あの委員長が…俺を見下ろしていた。
タクミ「いいいい…委員長!?なんで!?」
咄嗟の出来事で俺の声が裏返る。
みどり「あ、やっと起きましたね。授業はもう終わりましたよ?」
やば…委員長に居眠りを見つかってしまった。
…これはまた先生に報告されるやつだ。
現国の先生こと「お経」は授業だけではなく、説教もクソ長い。
しかも大体は生徒指導室に呼ばれて対面での説教の為、「お経」の延々と長い説教、もといお経を聞かされた生徒は説教中でも立って眠りについてしまう奴もいる。
…かく言う俺もその1人だ。
ふいに華咲みどりを見る。
今の夢といい、別の意味でも、何だかやましい様な気分だ。
……そう、だって俺はつい今しがたまで、この人の…バスタオル姿を夢に見ていたわけだからな。
そういや、俺が眠りこける前に委員長がいなかった事を思い出し、委員長に聞いてみる。
タクミ「うーーんと、あ、あ、そういえば!!さっきの授業中、席にいなかったけど、体育の授業で何かあったの?」
するとみどりは…クスッと笑った。
その笑顔は、どこかあどけなくて、凄く可愛かった。
夢で見た通りのあの笑顔だった。
その笑顔が俺の顔に近寄って———
みどり「烏丸君…大丈夫ですか?熱とか、病気とか……?」
あれ??なんか別の心配されてる…?
って、それより!!!
あの委員長の顔がドアップ…!!!
はわ~なんかいい匂いもするー…。
そう思った時、続けてみどりは口を開く。
みどり「さっきの授業なら最初からいましたよ。私の朗読…聞いてくれなかったんですか?……あ、クスクス。寝ちゃってたんですね。ダメですよ。」
みどりはにっこり笑みを浮かべながら俺に言った。
これは…説教なのか?だとしたらもっと受けたい気がする…。
タクミ「はあ、すみません……。」
するとみどりは俺の顔の近くから離れて。
みどり「でも…本当は、私も眠かったです。…あ、これは内緒ですよ。」
混乱する俺をよそに、みどりは人差し指を口元に当てて、クスクスと笑って見せた。
…委員長?なんか変だぞ…!?
みどり「あっ、そうでした私、烏丸君に用事があって。」
用事!?
……なんだろう?愛の告白…?いやいや、そんなわけないか。
思い当たらない…と言った顔をしていると…
みどり「朝の遅刻報告カードですが、もう書きましたか?」
あっ…そういやそうだった…やべ、完全に忘れてた…。
つい3時間前くらいの事だが、俺の感覚では既に昨日のような感覚で、すっかり忘れていた。
これはいけない。
俺も今日、どこか変だ。
それはともかく、とにかく謝ろう…そう思って。
タクミ「あ!ごめん!!まだ書けてなくって———」
するとみどりから予想だにしない言葉が返って来た。
みどり「あ、いいんです。書かなくて。」
…え?…なんで?
みどり「あの時、先生はまだいらっしゃらなかったですし。そのまま返して下さい。」
タクミ「委員長、見逃してくれるの!?」
みどりは頬を赤らめながら…
みどり「ええと…。その……。うん、はい、特別ですよ。」
少し言葉に詰まった様子だが、小声で言いながら、イタズラっぽい様な表情をしてみせる委員長。
すると委員長は俺の持っていた遅刻報告カードを手にし、俺の元を後にした。
なんだコレ……?一体…なんだったんだ?
不思議な違和感を抱く。
今の、華咲…みどり…か?なんか、いつもと態度が全然違うんだけど…。
俺の中で何かが引っ掛かる。
そう、何かが———
するとそこにリュウトとチヒロが来た。
リュウト「たーぁーくぅーみぃー!」
タクミ「な、なんだよリュウト。やらし〜にやけ面で。」
チヒロ「見たよ、タクミ。華咲さんと何かいい感じだったよね?」
タクミ「おまっ……!ナニ言ってんだよ、あれは———」
リュウト「「あれ」って何だー!?お前いつの間に、委員長と急接近したんだよ〜?」
タクミ「急接近!?…いや、遅刻届の事を言われただけで……。もごもごもご…」
ここで俺の言葉が詰まる。
それを狙い撃つが如くチヒロは。
チヒロ「本当にそれだけ?」
俺は平静を装いつつ…
タクミ「ま、まあな。あーそれよりさ、お前ら。さっきの授業中に委員長はいたか?」
するとリュウトとチヒロが心配そうな顔で俺の方をみた。
リュウト「はぁ〜?タクミ、ついに頭がおかしくなっちゃったのか?」
チヒロ「タクミ……大丈夫?」
えっ…?なんでこんな反応なんだ?
俺は今、何かおかしい事言ったか…?
タクミ「え??あ、ああ…。ちょっと寝ぼけてるせいかな?」
チヒロ「タクミ、漢字読めなくなって朗読を途中で降りたじゃない。その後、続きを読んだのが華咲さんだったでしょ?………ホントに覚えてないの?」
タクミ「え……?あ!!」
そうだった!思い出した!!
俺の頭の中に、その時の記憶がドッと湧いて出て来た。
…何で俺はそんな事をド忘れしてたんだ?
ん?まてよ…?
じゃあ…委員長が席にいなかったってアレは、夢……?…なのか?
リュウト「おいおいお〜い。しっかりしろよ〜!」
なぜ、二つの記憶があるのかは謎で、少し気がかりだが、まぁ、ひとまずそれは置いておこう。
タクミ「あ、ああ。もう大丈夫だ。うん、寝ぼけてたんだよ。」
リュウト&チヒロ「だろうな(ね)」
少し間をおいてリュウトが話しだす。
リュウト「だけどさー、お前、マジでいけそうじゃん?」
タクミ「何が?」
リュウト「だからー、華咲みどり!!…さっきの感じからするとさ……。お前オリ会に、マジで委員長誘えば?きっといけんじゃね?」
タクミ「はあ!?!?…何言って———」
続けてチヒロもリュウトの後から話しだす。
チヒロ「うん、いいかもね。」
タクミ「チヒロまで!?」
チヒロ「だって、さっきの委員長の様子、本当にタクミに好意的だったよ?」
思い返してみれば、確かにそうだった。
怒られている感じもなく、ただただ、普通の仲の良い人同士の会話だ。
タクミ「あのなぁ、お前ら!それは俺の玉砕が見たいだけなんじゃねぇの!?」
と、呆れ顔をしつつも、俺の脳みそは違う事を考えていた。
…あの高嶺の花を…俺が……?
華咲みどりとの幸せな日々…という妄想が、一瞬で脳裏を駆け巡る。
昼休みの俺と委員長、放課後の俺と委員長、デートでの俺と委員長、海や買い物での俺と委員長…。
そしてあんなコトやこんなコトも———
チヒロ「あ、妄想中?」
タクミ「ち、違うわい!!」
鋭すぎるぞ…チヒロ…。
チヒロ「うーん。だけどダメだよね。」
俺はその言葉の意味がわからず、疑問に思った。
え??な、なんで??
すかさずチヒロは口にした。
チヒロ「でも、タクミには、可愛い「彼女」がいるじゃない。」
「彼女」…?俺の頭に?が浮かぶ。
タクミ「は?…俺、自分でも知らない間に、誰かと付き合ってたわけ???」
チヒロ「またまた……。昨日は午前授業だったからともかく、今日からは普通の授業だし、いつも通り、昼休みに会えるでしょ?」
次回に続く。
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次回更新は…作者都合(遅めの帰省の為)により1週間後の9/1日になります。
※今週の金曜日の更新がない形となります。
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