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【Fast Episode.2】委員長からのラブレター。

【Fast Episode.2】委員長からのラブレター。


うわっ!!ここにいたか!?


チヒロやリュウト達に囲まれててわからなかったが、丁度この2人の後ろにいた様だ。

委員長は二人に挨拶をして俺の前に礼儀正しく立った。


タクミ「は、華咲———みどり、……さん。」


そう、彼女が華咲(はなさき) みどり。

我がクラスの委員長にして、2年から生徒会役員として、正書記(せいしょき)を務めているらしい。


ちなみにこの学校での生徒会へ入会の倍率は非常に高く、1年生からでも生徒会に入れるが、その為には現生徒会による学力問題に加え、コミュニケーション能力、生徒会業務における適正等…色々な難問をクリアしないと入れない。

その為、いわば「選ばれたエリート」のみといった、かなりの狭き門になっている。


俺も1年の時に目立ちたいのを良い事に生徒会に立候補したが、学力問題でほぼ解けずに見事に玉砕してしまった。

そして書記と言うだけで字の綺麗さや、経歴までいるのだからさぁ大変。


しかし、最近の生徒達から見て生徒会は全生徒の中でも倍率があまりに高すぎるので、あまり立候補したがらなくなっていた。

なので俺が立候補した2年前と違って倍率は多少落ちたと噂されている。


…話が逸れたな。戻そう。


彼女、華咲みどりは品行方正、成績優秀。微妙(びみょう)に世間知らずで、おっとり調子だ。

おまけに地元じゃ有名な旧家(きゅうけ)の娘ときている。


…まぁ絵に描いたようなお嬢様(じょうさま)だ。当然ながら俺とは、ほぼ接点がない。

会話を交わしたのも一緒に当番になった時くらいだ。

だけど……結構可愛い……と思う。

こんな「ラ(・)ノ(・)ベ(・)の(・)正(・)ヒ(・)ロ(・)イ(・)ン(・)で(・)す(・)よ(・)」みたいな華咲みどりが、おもむろに俺の前に立って言った。


みどり「烏丸君、おはようございます。」

タクミ「オ、オッス……?」

みどり「あの…コレ、書いて下さい。」

タクミ「え!?あ、はい——」


俺が手渡されたのは、委員長からのラブレター…ではなく、遅刻報告カード。

特別な事情がある生徒や、やむを得ない事情がある時以外はこれを書かなくちゃいけなくて、クラス毎の委員長がその目を厳しく光らせている。

クラスによっては5分前の予鈴が鳴る時に席に着いてなくちゃ遅刻扱いにする極悪非道(ごくあくひどう)なクラス委員長もいる様だ。


それはそうとこの遅刻報告カード…1枚や2枚だとまだ仕方ないと思って許してくれるが、年間に4枚も5枚も出してしまうと内申に関わってしまう。

かく言う俺も1年~2年の今までで覚えてる限りは10枚以上は書いている。


…内申?高校卒業すれば働くからいいのさ!!なんて思ってはいるが…。

果たして今まででどんだけ書いたのか…。


タクミ「げ……。」


…遅刻、委員長にバレてたのか…。


確かに間一髪(かんいっぱつ)のタイミングだったが自分でもアウトだとは自覚している。

…ちなみにウチのクラスの委員長、そう、華咲みどりはそこまで厳しくないものの、本鈴が鳴ってクラスにいなければ遅刻と言う考え方で、鳴ってる間にクラスに入っても遅刻と見なす様でそこんとこだけは妙に厳しい。


みどり「そこに遅刻理由、記入して下さいね。私、委員だから先生に報告しないといけないんです。」


それだけ言うと……

髪をふわりと揺らし委員長こと、華咲みどりは自分の席に戻って行った。


タクミ「うぐぐ……。何にも反論出来なかった……。」


すっかり華咲みどりのペース。

そう、ぐうの音も言わさないあの端的(たんてき)かつ冷静な言葉遣い。

出来過ぎだろ。


…おっとり口調ってのは、意外と口を挟めないものなんだな。

そして、隣から笑い声が聞こえてきた。


リュウト「ぷぷぷぷ…!」

チヒロ「プッ…くくく。」


二人が笑いを堪(こら)えながら…いや、寧(むし)ろ、もうリュウトに関しては普通に笑っている。


タクミ「おまえら、何笑い堪えてんだよ!!」

チヒロ「ごめんごめん。でもタクミってさ、華咲さんの事、割とイケると思ってるでしょ?」

タクミ「え、えぇ…!?な、無いよ!!ないない!」


心を読まれた!?


チヒロは時々、妙に鋭い。

確かに説教?(と言うか遅刻カード渡されただけ)されてる時も不思議と嫌な感じはしなかった。


チヒロ「だけど、タクミ。これは噂(うわさ)だけど…生徒会の会長がオリ会の相手に華咲さんを誘ったって話だよ。」


何だって!?生徒会長だとー!?


現生徒会の会長、扇谷(おうぎや) 勝(まさる)だ。


こいつは確か5組?かなんかのクラス委員長で、華咲みどりと同じだ。

確か一年の時から生徒会で副会長をしていて俺は当時同じ学年だったが、見ている感じでは受け答えも良く、頭脳明晰(ずのうめいせき)でおまけにイケメンと来た。


噂ではあるが、どっかの議員の息子という説まである。

ちなみに俺との接点は殆どない!!


…何故なら一年の時から個人的に嫌いで、俺自身が関わろうとしないからだ。

って俺、何一瞬殺気立ってんだ?誘うつもりもないくせに……?


チヒロ「でも華咲さんが断ったんだってさ。」


ホッ。


って俺!?何で今、ホッとしたんだよ!?

俺の今の反応を見て、チヒロはまた笑いを堪えきれず笑う。


タクミ「…な、なんだよ。」

チヒロ「やっぱタクミ、華咲さんを誘った方が良いんじゃない?」


すかさずリュウトが。


リュウト「そうだそうだ!それでお前も玉砕(ぎょくさい)だ!」


クッソー。

……玉砕前提かよ。

こいつら楽しんでやがるな?


タクミ「誘わねぇって!!」


誘いたくても、誘(・)う(・)勇(・)気(・)な(・)ん(・)て(・)あるわけない。

寧ろ、委員とか以外で声をかけるだけで変に思われてしまうだろう。

委員長は俺には高嶺(たかね)の花すぎるってのー。


チヒロ「まぁ華咲さんは旧家のお嬢様だしね……。僕達じゃ相手にもされないかもね。」


だよなー…やっぱし。


改めてだが、華(・)咲(・)家(・)というのは近所なら殆ど知っている、名家(めいか)だ。

どうやら何代か前の当主が天皇陛下と親交があったとかなんとか…

うちとは近所付き合いしかないが、町内のPTAとかもやっている。


うちは昔から父と母がいなかったから、小学生の時はおばさんには随分(ずいぶん)と気にかけてもらった。


…けど、どうでもいいんだが、俺あのおばさんあんま好きじゃないんだよなー…

何て言うの?オーラってやつ?あれがめっちゃでてて怖いんだよなぁ…。

おじさんの方は最初見た時はヤ〇ザかと思ったくらいだ。

まぁ、あんまり人の家の事に興味がない俺でも知ってる名家のお嬢様が華咲みどりって事だ。


そして悶々(もんもん)とした気持ちが続く中、先生が10分程遅れてやってきた。


先生「おーみんなーおはよう!遅れてすまん!少しあってなー」


…等と言い訳しながら入ってきたこのふくよかなおっさん。

このおっさんこそウチのクラスの担任だ。


…ちなみに隣の2組は新任の美人な先生。

くっそー……自分の運を呪うぜ…。


先生「それではー出欠とるぞー。出欠とったら男子も女子も移動だからなーささっととるぞー」


そうか。1時限目から体(・)育(・)じゃないか。

俺は部活動こそしていないが、運動神経だけは良い方だ。

え?学力はってか?…聞くな…。。。


さっきの華咲みどりの事も気になるが、まずは授業だ。


サクッと着替えて行くか!!

体育は俺の得意分野だしな、考えたら楽しくなってきたぜ!


そして全員の出欠が終わり、俺達3人は急ぎ足で向かった。

今日も長い長い授業が始まった。


次回へ続く。

ご閲覧頂き、ありがとうございます♪

次回更新は…8/18日です。

よろしければ次回の物語も見てくださいね!

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