【Fast Episode.1】遅刻厳禁!?
【Fast Episode.1】遅刻厳禁!?
きーんこーんかーんこーん
誰もが聞いた事あるであろう、あのチャイムが鳴り響く。
言うまでもなく、本鈴だ。
…予鈴の時は教室はおろか、学校にすら、着いてなかった。
ガラガラガラ!!勢いよく教室の扉を開け教室に入る。
タクミ「セーフ!!!」
リュウト「セーフじゃねぇよ、アウト!!」
タクミ「チッ、マジか?」
改めてだが、こいつはリュウト。
俺の男の幼馴染にして悪友その1。
お調子者な性格で、物事を深く考えることはなく、ノリで生きている上に、超絶ポジティブなヤツ。
リュウト「まっ、ともかく。どーぶらえうーとら!」
…?なんだ?やけに聞き覚えのある単語だ。
タクミ「……あ??」
リュウト「あ??じゃねぇよ。おはようございます、って言ったの。ロシア語で。お前、ちょっとぐらいはロシア語出来るんだろ?」
タクミ「なんで俺がロシア語出来なきゃなんねーんだよ!」
そうか、今のはロシア語の挨拶か。どうりで聞き覚えがあると思った。
…そういや、まりねぇがたまーに言ってるな。
リュウト「だってお前のあの美人のねーちゃん、そっち系のハーフなんだろ?」
タクミ「…まりねぇの事か?」
リュウト「そそ!茉莉菜お姉様の事!」
タクミ「…確かにハーフだけど…家じゃ殆ど日本語だぞ?」
リュウト「マジで!?おいおいおいなんだよ〜初耳だよ〜。タクミぃ、お前、親友だろ?日頃からもっとねーちゃんの情報出してこーぜ、なぁ?」
タクミ「…まさかお前……まりねぇの事、狙ってんの!?」
今話題に上がった、まりねぇこと、「烏丸 茉莉菜」は血はつながっていないが、俺の姉貴だ。
本名は…確か、茉莉菜・イノセント・アナスタシア…だったかな。
我が姉貴の本名がうろ覚えってどうなんだって思うが、なんせ本名で呼ぶ事がないからなぁ。
そして、確かにまりねぇは街を歩いていても目立つ。
贔屓無しで見ても美人で可愛いからだ。
おまけに金髪で身長もそこそこ高い、確か東欧スラブ系のハーフだ。
……家にいるとバカっぽい発言か、説教しかしねーけど。
おおかた、こいつがまりねぇの話題を出してくる時は昨日にでも近所で見たんだろうな。
そして、横からこれまた聞き覚えのある声が会話に割って入る。
チヒロ「…って言うかリュウトは2組の中野あげは狙いだったでしょ?」
タクミ「あ、チヒロ。おっはー。」
チヒロ「おはよう、タクミ。昨日は僕たちと話せず、残念だったね。」
こいつはチヒロ。
リュウトと同じく、俺の男の幼馴染にして、悪友その2。
女っぽい見た目と名前だが俺と同じ男子学生である。
タクミ「まぁな。だけど何?今日はまだホームルーム始まってない訳?」
チヒロ「どうやら担任が遅れてるんだ。隣のクラスもっぽいから、なんかあったんじゃないかな。」
タクミ「へーなんだろうな?」
チヒロ「そこまではわかんない。だけどタクミ、運が良いよね。遅刻カウントされずに済んじゃうね。」
チヒロは少し笑いを浮かべながら話した。
…そうか!先生がいないなら遅刻扱いじゃねーじゃん!!
やった!!本鈴がなって10秒?程遅れて教室インしたけどラッキー!!
タクミ「あ、そうだな!ほらリュウト、俺やっぱセーフだったじゃん?」
リュウト「ほーんとお前はいつも運だけはいいよなー。この間だって俺とカードゲームしてる時もさ、トップで解決したじゃん。」
タクミ「うるせっ!「だけは」ってのは余計だっつーの!!…それにあの試合は最終的にお前が勝っただろーが!!」
リュウト「まっ、運だけじゃ彼女は出来ねーぞ!…ここはやっぱりオリエンテーリングの能力を磨くのが1番の近道だよな!」
タクミ「なんだよ…。またその話かよ。」
チヒロ「ああ、6月の学園祭の目玉の?」
リュウト「そう!我が校を誇る最大のイベント!!修学旅行や林間学校なんかよりも圧倒的人気を誇る!!学園祭オリエンテーリング大会!通称——オリ会!!!」
タクミ「通称になってねぇよ!!…って言うかただの男女ペアで文化祭的な事をやるってだけだろ?それがなんでまりねぇの話から変わって、おまけに彼女の話まで出てくんだよ。」
リュウト「貴様、何を言うか!この大会の過去の実績を知らないのか?」
き…貴様…???
何を言っとるんだ…こいつは…。。。
リュウト「優勝したペアのカップル成功率は100%なんだぞ!一緒に大会に出て優勝出来れば、100%その子と付き合えるって事だ!」
タクミ「…お前、それよく言うけどさ、大体さー本当なのかよ?…その100%ってのは。」
チヒロ「確かに100%って言うのは大袈裟かもだけど……。でも、過去のデータを見る限り、優勝してその後に付き合ってるペアが凄く多いってのは事実だよね。ジンクスにしたって、もの凄い高確率って事には間違いないよ。」
リュウト「ほらな!データ魔のチヒロがこう言ってんだ。信憑性が高いジンクスだろ?」
タクミ「ま、まぁ…チヒロが言うんなら、信憑性はあるけども…。」
確かに高すぎるジンクスだが、そんなに高ければこの学校はカップルでいっぱいになっててもおかしくないんじゃないか?
…だが、クラスでもカップルは1〜2ペア程度…。
殆どが1~2年の間に告白してカップルになったパターンが多い。
去年のオリ会だって、前3年の人が優勝してたが、特段付き合っていたなんて話は聞かなかった。
やっぱこいつが言ってる事、アテになんねーんじゃねーのか?
チヒロ「まぁ、ジンクスって言っちゃうのもおかしいくらい、当たり前と言えば当たり前の事なんだけどね…。」
タクミ「当たり前?」
チヒロ「二人とも良く考えてみてよ。まず大会に出場する為にはペアを組む相手を誘わなければいけないよね?この大会自体、今となってはカップル成立の為にある様なものなんだから、誘う方は「付き合ってください!」って告白してるのとおんなじだよ。…でも、今年からはカップルじゃなくとも、同性同士でも誘えるようにはなったけどね。」
…なるほど。さすがチヒロ。そう言う事か。
相変わらずチヒロは分かりやすく説明してくれる。
あと、今年からは同性も誘えるのか…知らなかったぜ。
同性同士もOKなら、同性の友達を誘うヤツも出てきそうだな。
もっとも、例年通り、女の子を誘う子が圧倒的に多いだろうが…。
チヒロ「女の子に限っては、当然誘われて出場を承諾した方も「はい、こちらこそ!」って感じで付き合ってもいいです!って、言ってる様なものだからね。実際は完全に出来レースって事。」
リュウト「うおおおーい!!何冷めた事言ってんだよ!!夢ねぇな!!…要は優勝すれば良いんだよ!!そうすりゃ、狙い通りの彼女ができるの!!」
こいつ…。今のチヒロの話聞いてたのか?
チヒロ「いや……だからリュウト……。意中の人と大会に出場出来た時点で———。」
チヒロの話を遮ってリュウトは勝手に喋りだす。
リュウト「俺は中野あげはちゃんと出るぜー!!」
タクミ「あ〜……また始まっちゃったよ…。」
チヒロ「…だね。」
俺は深々とため息をついた。
続けてチヒロも同じく軽いため息をつく。
タクミ「なぁリュウト。その自信って、一体どっから来るんだよ。」
チヒロ「2組の中野さんは競争率高いよぉ?学校のアイドル的存在だからね。」
リュウト「ぐぬぬぬ………!」
タクミ「まっ、お前にゃ無理だな。相手にもされねーよ笑」
リュウト「なんだその冷めた言い方!そう言うお前は誰を誘うんだよ!!」
俺か…。
そういや決めてなかったな。
…なんせまだ2か月も先の事だし、1年、2年と誘った事もないし…。
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司会「優勝は———烏丸&○○ペア!!!」
???「タクミくんと一緒にオリ会に出れて…。優勝できて嬉しい…!」
タクミ「ああ、俺もだ。○○ちゃん…いや、○○さん。俺と…付き合ってください…!」
???「タクミく———」
タクミ「君の事が、ずっと…。好きだったんだ。」
???「———!私も……、私も、あなたが好き……。ずっと、好きだった…!だから…嬉しい。ありがとう……。」
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!?
なんだ今の一瞬の記憶…?
俺は1年も2年もオリ会に出ていなかったはず…。
それに、この子は誰だ…?
名前が聞き取れなかった…。
リュウト「おおい!タクミ!何ぼーっとしてんだ!!それで、お前は誰を誘うんだよ!」
チヒロ「…ウチのクラスの新委員長、華咲みどりさんなんてどう?」
え!?!?なんでいきなり華咲みどり!?
タクミ「お、おう、ぼーっとしてた…。で、その話だけど、ないわーそれ。その考えは無かった!」
…と言いながらも俺は無意識に華咲みどりの姿を探してしまった。
しかし、どこかから声が聞こえてきた。
みどり「…私の…何が「ない」んですか?」
次回へ続く。
ご閲覧頂き、ありがとうございます♪
次回更新は…8/14日です。
よろしければ次回の物語も見てくださいね!
ちなみに冒頭でリュウトがタクミに向けて発言した、「どーぶらえうーとら」(Доброе утро)とは実際にあるロシア語です。
ロシアに行く際がありましたらお使い下さい。
意味は「どーぶらえ」は優しいと言う意味合いで、「うーとら」は朝という事になります。
直訳すると「優しい朝」って形になります。
それをさらに訳してロシアでの「おはようございます」って事になります。
英語だとgood morning!(良い朝ですね)と言った様に、ロシア語でのおはようございます!になります。




