【Second Episode.1】大空かすみ。
【Second Episode.1】大空かすみ。
リュウト「で、誰を誘うんだよ?」
決めた。
俺は大空かすみを誘う。
さっき教室から出て行ってしまったが、確か、大空かすみって言ったっけ。
自分でもなぜ、彼女を選んだかはわからないが…。
なぜか…なぜか、彼女の事が凄く気にかかる。
可愛かったから…とか、そういう感情じゃない。
なんか頭にモヤがかかる様な…。
本当に大空かすみにするのか、俺…?
いや、決めたんだ。
俺はあの子を誘う。
タクミ「大空さん…。」
俺は掠れた声になりながら、その言葉をひねり出した。
リュウト、チヒロ「え?今、なんて?」
タクミ「俺、「大空かすみ」をオリ会に誘う……。」
二人は大層、驚いた。
チヒロ「えぇ!?ど、どうして!?」
チヒロがそういう反応になるのも当然だ。
しかし、リュウトは。
リュウト「マジか!ダークホースじゃねぇか!!大空ってさっきも言ったけど、うちのクラスの女子だろ?あの、結構地味で目立たない。…ってか、お前、いつの間に目ぇつけてたんだ?接点あったっけか?」
チヒロ「そうだよ、タクミ。どうしてまた急に…?もしかして、さっき逃げられたからって、意地になって誘うって決めた訳じゃないよね?」
……そんなんじゃねぇよ。
リュウト「えっ?何々?逃げられたってどういう事だ?その話、聞きたい!!」
そんなリュウトを制止するかの様にチヒロが。
チヒロ「ちょっとリュウト、うるさい。後にして。タクミ、大空さんを選んだのは何で?」
そんなの…。
俺にだってわからない…。
なぜか急に口をついて出てきたんだ。
だけど…。
「大空かすみをオリ会に誘う。」
そのフレーズを口に出した途端、なんだか不思議な感覚に襲われた。
俺は当然、そのセリフを言うだろう。
そんな考えがどうしても脳裏にあった。
自分でもなぜだかは分からない。
わからないけど———
それと同時に俺、どうしていきなり大空を誘おうなんて思ってしまったんだ?
って全くもって不可解な考えも同時に感じている。
…いったいどうしてしまったんだ、俺。
チヒロ「タクミ…?タクミってば!」
ふと、我に返る。
タクミ「ん…あ?…ああ、なんだ?」
チヒロ「なんだ、じゃないよ。今度はなんなの?ぼーっとして…。昨日も言ったけど、タクミ、なんだか最近、変だよ」
自覚はあった。
最近の俺はなにかおかしい。
授業中しょっちゅう眠りこけたり、頭が痛かったり…と思えば頭がぼーっとしたり…。
タクミ「うん…。そうなんだよ、俺、変なんだよな…。」
今の事だけじゃない。
しょっちゅう変な夢を見たり、その度に現実が変わったような気がしたり…。
夢……?
あれ?
夢と言えば、あの夢に出てきた見知らぬ女の子の顔って…?
…だめだ、頭が回らない。
脳が考える事を拒否してる感覚だ。
そんな様子が二人にも伝わったのか…。
チヒロ「あぁ…。またボンヤリしだした…。ホントに大丈夫かな…?」
リュウト「おーい!タクミぃ、大丈夫かー??」
俺は二人の呼びかけすら応じなかった。
チヒロ「ダメみたい。いったいどうしちゃったんだろ…?」
リュウト「春ボケじゃね?人生の春の。」
チヒロ「まぁ、僕らもオリ会誰を誘うのかって急かしてしまったし、知らず知らずのうちに負担やストレスが溜まっていたのかもしれないね。リュウト、少しそっとしておいてあげよう。」
リュウト「そうだな。」
そうして二人は自分の席に戻っていった。
二人が離れたのにも関わらず、俺はそのことすら気づかない有様だ。
やはり、なにかおかしい。
いったいどうしてしまったんだ…。
その日の授業は全くもって身が入らず、一日中、そのことばかり考えていた。
そのことってのは夢の中の少女の事、そして…
大空かすみ。
大空かすみ……夢の中の少女…。
似ている…ような、気がする…。
もしかしたらあの夢の中の少女は大空かすみなんじゃないか…?
だけど…
どちらかの顔を思い出そうとすると、もう一方の顔の記憶が曖昧になる。
なぜだ…。
夢の少女ならわかる。
しかし、現実の大空かすみのイメージが俺の中では凄く希薄だ。
そうして、休み時間になった時、ななが俺の元にやってきたが、俺はこの調子だ。
不思議に思ったななはチヒロとリュウトの二人に話を聞く。
なな「ねぇねぇ、タク、どうしちゃったの?なんか今日はいつにもまして上の空じゃない?なんか…心ここにあらず…っていうか。」
チヒロ「そうなんだよね…。今日の昼、同じクラスの大空かすみさんをオリ会に誘うって言ってからずっとこの調子なんだよね。」
なな「かすみ…?もしかして、大空かすみちゃんの事!?ちょっと、大空かすみって…!」
ななは何かを言いかけたが、途中で口をつぐんだ。
リュウト「まぁ、アイツは多分、春ボケ真っ最中だ。少しほっておいてあげようぜ。」
なな「春ボケって…。そんなんじゃない気がするけど…。」
そんなななの心配など、俺は一切気にならず、相変わらず、頭にモヤがかかった様にぼーっとしていた。
授業で、先生からなんか当てられて答えた気がするけど、それすら記憶にない。
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なな「(やっぱり、タクの様子がいつもと違う。それになんでかすみちゃんをオリ会に…?やっぱり、あの時の出来事を…。)」
いや、考えるのはよそう。
考えるだけで私ですらゾクッとしてしまうような事件だった。
しかし、なぜかすみちゃんが…?
かすみちゃんはあの時…。
私もかすみちゃんの記憶がなくなっていたが、今日、あの二人から「大空かすみ」という単語を聞いた途端、脳裏に急に浮かんだ。
タクミと次いで、私の大切な大切な同性の幼馴染であり、部活以外での貴重なお友達…だった。
もしかして、私も「あの場所」にいたから、記憶が…?
……いや、もうこれ以上考えるのはよそう。
とにかく、一刻も早くタクミがいつも通り、へらへら冗談を飛ばすいつもの感じになってもらわないとね…。
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そうして俺は授業がもう6時間目に差しかかろうとするのに相変わらず、ぼーっとしていた。
かすみ…大空かすみ…。夢の中の少女…。
俺は視線を後ろにずらした。
何故かというと…俺は彼女の顔を確かめる為、授業中にもかかわらず何度もこっそり後ろの隅の席を盗み見た。
そこには一生懸命、ノートを取って教科書を見つめている大空かすみの姿が俺の瞳に映った。
こうやって、実際に彼女を見ている時は夢の少女の顔が思い出せない。
だけど、いったん目を離してしばらくすると、今度はクラスメイトの方の大空かすみの顔が思い出せなくなる。
いったいなんなんだろうな、コレ。
そして、何度も彼女の顔を盗み見ているうちに気が付いた。
大空って…かなり、可愛い?
普段の俺は可愛い子を見たら即座に反応するくらい、顔を見ることには自信を持っていたはずなのに…。
今回はそれすらなかった、不思議でたまらない。
自分で言うのもアレだが…
あの顔にうるさいこの俺が…?
彼女はあげはちゃんの様に、すごい美人…って言うわけでもない。
そして委員長の様に凛としたお嬢様…って雰囲気でもない。
ゆきみは…、中身はともかく…、子猫っぽい愛らしさがあるって訳でもない。
ななみたいにボーイッシュって感じでもないし…。
なんだろうな、「透明感」…っていうのかな?
俺の知っているどの女子とも雰囲気は違い、独特な感じがする。
だからこそ、心の中で彼女を選んだのかもしれない。
俺、本気で彼女をオリ会に誘いたくなってきたぞ…。
あの時は口から咄嗟にでたが、改めて思い返してみると、いつしか本気だった。
そんな事を思いながら彼女を見つめていたら、たまたま顔をあげた彼女と目があった。
…だけど、朝の時と同じく、気づいた彼女にプイっと目を逸らされてしまった。
女の子に目を逸らされるのは割と日常茶飯事だが、なぜだか彼女だけに目を逸らされるのは心が激しく痛む。
どうしてだ…?
次回に続く。
新章もご閲覧頂き、ありがとうございます♪
次回更新は…11/3日です。
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