【Second Episode.2】誠意、誠意、誠意!!!
【Second Episode.2】誠意、誠意、誠意!!!
彼女から目を逸らされて少しショックを受けながらも、俺は朝の出来事を思い出していた。
クラスメイトなのに、名前すら出てこない事、夢の少女との関係…
そして、色んな思いが交錯する中で、彼女をオリ会に誘おうというのだから、俺の頭は若干、オーバーフローしていた。
思えば、彼女を除いた今までの女の子達は曲がりなりにもきちんと接してくれて、好感度がマイナスって事は無い。
しいていうなら、少し気まずくなったのは、ゆきみぐらいだが…。
しかし、彼女の場合は違う。
名前は答えられず、おまけにしつこく絡んでしまった。
好感度はマイナスと言っても過言ではない。
はぁ…。
やっぱり、俺、完璧に嫌われてるよなぁ…。
そんなこと、今朝の様子で分かり切ってるはずなのに…。
そうして俺は自己嫌悪にも陥る。
なんだろうな、この気持ち…。
そして、今日の授業は終わり…
…もう放課後か。
なんか、今日は時がたつのが異常に早い。
少しして、リュウトが話しかけてきた。
リュウト「おーい、タクミ!春ボケ、ちょっとは治ったか?」
今にして思うとなんだ?春ボケって。
タクミ「なんだよ、春ボケって!!」
リュウト「おっ、多少は治ったみたいだな。だが、自覚ねーのな。…まぁ、いいや。タクミ、お好み焼き食いに行こうぜ。チヒロ、お前も今日、空いてるだろ?いこーぜ!」
チヒロ「そうだね。今日は確か…、鶏玉が確か特売だったよね。」
しかし、俺は席から立つ気になれなかった。
チヒロ「あれ?タクミ、行かないの?」
タクミ「……うん。俺、今日はいいや。なんか食欲ねぇ。」
すると二人が…。
チヒロ&リュウト「ええーっ!!!あのタクミが、食欲ないー!?」
タクミ「…なんだよ…、そこまで驚かなくても…。」
チヒロ「や、だって、人一倍食べるクセに…」
そしてチヒロは少し考え、改めて口を開く。
チヒロ「そっか。ふぅん。へぇ…。」
タクミ「な、なんだよ!ジロジロ見て!俺になんか変なもんでもついてるのか?」
チヒロ「や、違う違う。タクミさ、大空さんにマジ恋しちゃったんだね。」
なにっ!?!?
チヒロ「だって、今日の授業の後半、常に大空さんの事を見てたし、分かりやすすぎるよ。」
俺はなぜだかわからないが、否定した。
タクミ「し、してねぇよ!!マジ恋なん…て…。」
チヒロ「まぁ、最初は自覚がないもんだよ。うん。」
納得した感じで頷いたチヒロ。
なんだお前は…
その道のエキスパートか??
恋愛コメンテーターか??
チヒロ「そういう事なら仕方ないね。今日はじっくり向き合いなよ。あ、でも日が落ちる前には帰りなよ?じゃ!」
ったく…、なんだアイツは…。
勝手な事ばっか言いやがって…。
…それにおそらく、マジ恋ってのは当たっている。
だからこそ、無性になんか腹が立つ。
チヒロ「あ、そうそう。」
!?!?
まだいたのか!?
チヒロ「一つアドバイスをあげるよ。気のない女の子を口説くには駆け引きは失策だよ。とにかく誠意を見せる事。とことん誠意、誠意、誠意だよ。これはたしかこの前、20歳年下の美人女優と4度目の結婚をした某俳優がトゥイッターで言ってた言葉だよ。タクミ、ファーイト!」
くっそー、チヒロの奴め…!
結局、面白がってやがるな…?
しかし、内容は参考になった。
とにかく、誠意か…。
そうだよな。
もし俺が大空をオリ会に誘うとしても、それは0からのスタート…。
いや、嫌われている分、かなりマイナスからのスタートになるかもしれない。
しかし裏を返せば、チャンスという風にもとれる。
なぜかというと、これ以上、「気のない」状態もないからだ。
ここはとにかく、チヒロの言う通り、誠意を見せるしか方法はないだろう。
チヒロのいう事を鵜呑みにするのは癪に障るが…。
とにかく、まずは行動だ!
動かない事には事態も好転などしないしな!!
…とは言ったものの、もう放課後で大空かすみはおろか、クラスには俺を含め、数人しかいない。
今日の所は帰るか…。
そして、次の日の授業中も俺は大空かすみの事を見ていた。
当の本人は俺に見つめられている事も知らず、せっせとノートにペンを走らせていた。
そして昼休み、大空かすみは自分の席で弁当を食べようとしていた。
女子っぽい可愛らしい模様の包みを開いて、いかにも女子っぽいちっちゃい弁当箱を広げ、律儀に手を合わせて食べようとしていた。
くそ…!
変に意識してしまって、弁当を食べる何気ない所作ですら、俺の心が揺れ動く———
俺は思った。
彼女は一人で弁当を食べている。
…コレって、今がチャンスなんじゃないか?
もしかして、今なら声をかけられるんじゃないか…?
もし逃げようとしても、弁当箱を開いているなら、簡単に逃げる事も出来ないし。
しかし、無策のまま話しかけてもあしらわれる可能性が高い…。
何かいい方法はないか…。
数秒考えた後、俺の脳内にビリビリっと電流が走る。
これだ!!!
これならもしかして…!!
俺はダッシュで購買に行き、お茶のペットボトルを2本買い、ダッシュで教室に戻った。
俺の名案…もとい、作戦はこうだ。
お茶を間違えて2つ買った事にして、一つを彼女に渡す事によって、自然に話しかけられる雰囲気が作れる。
どうだ?名案だろ?
そして、俺は両手にお茶を抱え、意を決して彼女に話しかけにいった。
タクミ「って訳で、なぜかボケーっとしてて同じお茶を二つ買っちゃったんだよね!さすがにこの時期でも2つもいらないしさ、ほら、それに最近アレが近くて…。だからさ…大空さんに一本あげる!」
客観的に見ればこの上なく怪しさ満点だが、今の俺にはそんなことを考える思考すらない!
少し驚いた様子で彼女は…
かすみ「…………。」
俺のいっぱいいっぱいの小芝居を前にして、固まっていた。
ちょっと怪訝そうな…
そして、警戒するような瞳でこっちを見ている。
思い返してみれば、そりゃそうだ。
友達同士ならともかく、今日の朝知り合ったばかりの人からいきなり飲み物を渡されても、困惑しかない。
俺なら嫌がらせにすら思える…。
そして、彼女は少し考えた後。
かすみ「あの…。その…、いいです。」
やっと…という感じでそれだけを言うと、俺の差し出すお茶をそっと押し返してきた。
その時。
かすみ「きゃっ!!」
何かが机から落ちた。
辺りにはからんからん…という軽やかな音が響く。
何が落ちたのかというと、彼女の弁当箱の上に置いてあった箸が、おそらく彼女の袖に触れてしまい、机から落ちてしまったのだ。
かすみ「あっ…お箸が……。」
大空かすみは少し悲しそうな顔をした。
俺は咄嗟に謝った。
タクミ「あっ……。ごめ…、俺が余計な事をしたから…!」
そして俺は落ちた箸を拾う為、屈もうとした。
すると、今度は俺が…
ごとん!!ごとん!!…と立て続けに2本ともペットボトルを落としてしまう。
かすみ「あ………。」
彼女に便乗するかの様に俺も。
タクミ「あー………。」
そして両者ともしばしの沈黙が続く。
…何やってんだ…今日の俺…。
しかし、沈黙のあと、彼女が。
かすみ「……ふふ。」
へ??
かすみは再びクスクスと笑う。
こらえきれないといった様子で、心底おかしそうに笑っていた。
わぁ……。
笑った彼女はあまりにも可憐で可愛くて、花が咲くような笑顔。
俺の中で地味だった印象が、嘘の様にパッと眩しくなった。
…そして、そんな彼女の笑顔は俺の中の理性すら崩れそうになるほどだった。
そんな彼女の姿に俺は見とれていた。
自然と俺は口を開いた。
タクミ「初めて笑った…!」
次回に続く。
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次回更新は…11/6日です。
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