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【Fast Episode.16】クリティカルヒット!!

【Fast Episode.16】クリティカルヒット!!


どわー!!

中野あげはの鞄(かばん)、踏(ふ)んでたー!!!


タクミ「わっ、ごめ……!」


俺は慌(あわ)てて、あげはの鞄を拾い上げる。


…が、俺としたことが、あげはのその言葉に動転し、鞄の向きはさかさまのまま拾い上げてしまった。


バサバサバサーと虚(むな)しい音を立て、あげはの教科書やらポーチなどの中身が廊下にぶちまけられた。


あげは「……何、してるのかなー…??」


あっ、コレはヤバいやつだ。

声色がド(・)ス(・)の(・)利(・)い(・)た(・)声になってる…!!!!


タクミ「あはは…、そのー…ほら、中身が大事だから、「鞄の中身も」無事かなぁー…と……」


俺はセカセカと散らばった物を鞄に戻しながら、時間稼ぎとは到底言えない、かなり苦しい言い訳をした。


鞄から落ちたものを全て戻したあと、俺は少しでも機嫌を直してもらおうと思い…

そうだ!彼女の持っているものを褒(ほ)めれば少しは機嫌も直してくれるだろう!


…そんな浅い考えを持ち、さっき鞄に入れたあるモノが、特徴的(とくちょうてき)で気になったので…


そして、ここで俺は今日一番の、「最(・)悪(・)な(・)事(・)」を言ってしまった。


あげはに鞄を手渡し…


タクミ「セ、センスの良いエチケットポーチだね!」


…俺がそう言った瞬間、中野あげはの顔がはっきりと赤くなった。


あげは「サイッテー!!!!!!」


そしてあげはは俺から鞄を奪い取り、右に一発、そして上段へと俺に向かって鞄を振り下ろした。


ぐはっ!!!!

返した鞄で思いっきり殴られた———


あげはの綺麗な身のこなしから放たれた一撃は、俺の頭へクリティカルヒットし…。

気付いた時には視界が暗くなっていた。

多分、鞄の中の教科書とか、水筒とか、硬(・)い(・)モ(・)ノ(・)が当たったのだろう…。


くそう…いい…腕…してるぜ…。


そして俺はノックアウトされた。

=========================


……?


なんだここ?

小汚ぇ部屋だ。


スパイクやバットにグローブ…そしてユニフォーム…。

これって…。


ははぁ、これは多分、野球部の部室…か…?


…なるほど、俺、また夢の中に来たのか。

で、今までのパターンからすると———


ほら、やっぱり!!

俺が振り返った先にはやはりと言うか、中野あげはがいた。


中野あげはに殴られて気絶したら、なんと、中野あげはがご出演ですか…そうですか。


…つくづく俺って単純だなぁ…。


そんな事を思いながら、俺はとりあえず、彼女に近づいてみた。


ふよふよ~っと。


そういや、飛んでる時の感覚は独特なんだな。

なんか、自分に羽がある感覚で、違和感満載だが、不思議とクセになる。

人間もこんな風に羽がついてたらこんな気分なんだろな。


そして改めて中野あげはは夢であっても、近くでみたい程の美少女だ。

そんなあげははドアの前にいて、俺の存在にはまだ気づいていない。


あげは「あれ…?開かない…。なんでなんで?」


中野あげはは、扉の取っ手を握(にぎ)って何とか開けようとガチャガチャしている。


これも委員長やゆきみの時と同じパターンだ。

今までの夢とシチュエーションまで一緒だ。


…ななを除いて。


やはりというかなんというか、彼女はここに閉じ込められているらしい。


…って事は、今回もまた彼女の脱出を手助けするって流れになるのか?


しかも、今までの傾向(けいこう)から考えると…。

この夢でもうまいこと彼女を脱出させて感謝されると、現実でもちょっといい感じになるんじゃないか?


…そう思ってしまった。


いやいや!そんなムシのいい話があるか!

俺は自分自身でセルフツッコミを入れた。


だけどまぁ…。


もしかしたらそんな感じになるかもしれないしな。

そもそも、コレ、夢だし。


…そうだよな、ど(・)う(・)せ(・)夢(・)だ(・)。


丁度、目の前にはあの学園アイドルがいる訳だしな!

だったら何事もなく脱出させてあげれば、きっとアイドル様も機嫌を直してくれるだろ!


…「当たるも八卦(はっけ)」って言う、ことわざがあるくらいだし。

とりあえず、全力でやってみっか!!


俺は更に曲芸(きょくげい)飛行で、目一杯自分の存在をアピールしながら、あげはの元に近づく。


あげは「!!」


俺を見つけた瞬間、彼女の大きな目がさらに大きく見開かれた。

そして…。


あげは「アハハー!!何コレー!?なんか変なの来たー!」


…いきなり笑われた。


あげはの斬新な反応に俺も少し困惑する。

一瞬たじろいで、動きが止まった俺を見て、彼女はあれ?という顔をした。


あげは「もしかして…、あたしの言ってる事がわかるの?」


あ、はい…。

状態はこんなんだけど、中身は人間なんですよ…。


そして俺はぴょんぴょん飛び跳ねて、わかってるよ!の意思疎通をした。

すると…。


あげは「うわー!マジで通じてるんだー!すごーい!ふっしぎー!」


やったぜ!あげはちゃんと意思疎通できたぜ!

そして俺は「あげは」と伝えてみた。(念じてみた。)


すると…。


あげは「…?今、あ(・)な(・)た(・)が(・)あ(・)た(・)し(・)の(・)名(・)前(・)を(・)呼(・)ん(・)だ(・)の(・)?」


俺はそうだよ!って感じでくるっと回って見せた。


あげは「あはっ、すごーい!!…でも、なんであたしの名前を知ってるの?」


うっ、それは…。

さすがに、現実世界であなたにぶん殴られた張本人です。


…とは言えないしなぁ…。


あげは「まぁ、いいわ!つまりキミは知的生命体だよね?妖精…いや、エルフみたいなもの…なのかな…?」


そうです!そうです!…と俺は再度、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。


あげは「そうみたいね!あはっ!それじゃ、エルフサン。あたし、ここに閉じ込められちゃって困ってるんだけど…。出る方法を探すの…協力してくれない?」


なんとスムーズな流れだ!!

よし!お兄さん、頑張っちゃうぞー!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さて、例の如(ごと)く、俺は辺りを見回した。

きったねぇ部屋で、少し気分はのらないが、そんな事を言っている場合でもないしな。


まずはでっかい場所から潰していくのが定石だな。

俺はロッカーとあげはに伝えてみた。


あげははロッカーを一つずつ、調べていった。


…が、殆どのロッカーは開かない。


そんななか…


あげは「このロッカーだけは開けられそう!」


あげははロッカーを開けた。

すると———


ピカーっと光が溢れ、鍵が正体を現した。

よし!!でかいとこには、何かキーになるアイテムとかがありそうだと思ったぜ!


【鍵、ゲット!!】


さて、次はどこだろう?

俺はあるモノが目に留まる。


ベンチだ。


…こいつのせいで部屋が狭く感じるんだよなー。

真下とかには何か落ちていないのだろうか?


俺はあげはに「ベンチ」と伝えた。


するとあげははベンチに座った。


あげは「なかなか座り心地がいいベンチじゃない。ついつい長居したくなっちゃう!」


確かに、公園のベンチとかは一度座ったら長居したくなっちゃうよな。

気持ちはわからんことはないが、早く出た方がいいんじゃないか…?


まぁ、付き合ってあげるか…と思い、俺はあげはの横にちょこんと座った。

目線を下に向けると…


おや?こんなところにボールが落ちてる。

委員長なら真っ先に片付けるだろうな…と思い、ボールの方を見ていたら…


あげは「エルフさん!何を見てるの?……ん?コレは…、ボール?」


あげははボールを調べた。


あげは「特におかしいところはないみたい。何かに使えそうだから持っておきますか。」


そう言うとあげははボールをポケットにしまった。


さすがにベンチの下に鍵はなかったか。


次は…。


ん?


これは…まさかと思うけど…。


俺が振り向いたその先はピッチングマシーンだった。


……これ部室にあったら絶対邪魔だよな…。

まぁ、もしかしたらマシンのどこかに鍵があるかもしれないし、一応調べてみますか!


次回に続く。

ご閲覧頂き、ありがとうございます♪

次回更新は…10/9日です。

よろしければ次回の物語も見てくださいね!


※作中であげはがタクミに対して鞄で殴るといった暴力行為がありますが、あくまでフィクションです。

現実での行為は暴行罪などに問われる可能性があるので、絶対におやめください。

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