【Fast Episode.12】早い!やすい!どろどろ!
【Fast Episode.12】早い!やすい!どろどろ!
そして、ゆきみはバタバタと足音を立てて走り去ってしまった。
リュウト「おまえ…。言っていいことと悪いことがあるぞ…。さすがに今のは…」
チヒロ「そうだよ、タクミ。それは言い過ぎだよ…。」
続けてチヒロは。
チヒロ「でも、ゆきみちゃんも図星みたいだったよね…。タクミの言った通り?タクミ、何で知ってたの?」
タクミ「い、いや……。夢のお告げというか、なんというか…?」
俺は茫然としながら呟いた。
リュウト、チヒロ「は?」
リュウトもチヒロも怪訝そうな顔でそう言った。
だけど、驚いたのは俺の方もだ。
さっきの夢ってもしかして、予知夢なのか?
それに、さっきのゆきみのあの態度…いったいどうしたんだ?
なんであんなに機嫌が悪かったのだろう…。
俺、なんか嫌われることしたっけ…?
い、いや、さっきは感情のまま言ったけど、その前からだったし…。
思い当たる事と言ったら…
さっきの夢で頭から牛乳被ったせいか?
……って、いやいやいや!アレは夢だし!
クッキー食べて気絶したのも夢、ゆきみと調理室にいたのも夢…
どれが夢でどれが現実で…
俺は訳が分からなくなっていた。
委員長やななの時も似たような感じだったし…。
「現実」と思っていた事が周りには「夢」と言われ、俺すらもいつの間にかそう思っている…。
俺に対する態度も、夢の前と後じゃ全く違っていた。
しかし、そこで俺は少し考えたら、ある疑問と答えを思い付く。
そこで、カチッと頭の中でダイヤルが合った気がした。
あの夢…、ただの夢じゃないのか…?
もしそうだとしたら、夢であった事が少なからず影響している…?
そこまで考えたが…
いやいや!!…と俺は頭を振った。
所詮は夢だ…。
現実とリンクするなんて、そんなことがあってたまるか。
そう思い、俺はこれ以上考えるのをやめた。
その後、数日間はゆきみと廊下や帰宅の際にすれ違っても気まずかったことは言うまでもない。
しかし、1週間後くらいして、ケロッとしていたところを見ると今日は機嫌が悪かっただけだろう…。
また、今度改めて、謝るか。
ゆきみとの一件があったその後の授業は色々疲れて、身が入らなかった。
そうして俺はとぼとぼと帰路につく。
時刻は16時を超えても太陽からの日差しは健在だ。
それはそうと、そろそろ暑くなってきたな。
うちの高校では原則夏服は6月からだ。
あーあ。
早く6月になんねーかなー。
この暑さで長袖なんか着てたら死んじゃうよー。
6月と言えばオリ会か…。
そろそろ誰を誘うのか決めていかないといけない時期だな…。
まぁ、6月と言っても後半の事だし、まだいっか!
帰宅途中に俺は行きつけのカードショップの前を通りがかり、チヒロとリュウトを見かけた。
タクミ「よお!!おまいら何してんの?」
チヒロ「タクミじゃん。今はリュウトとゆきみちゃんからもらったクッキーのお返しを考えながら、新デッキの調整をしていたところだよ。」
またゆきみの話か…。
もう今日は聞きたくなかったんだがな…。
チヒロ「あ、タクミ。そういや、今期のカードは強いカードが多いよ。ほら、このカードとか。」
俺はチヒロから「時空の超越」なるカードを見せてもらった。
タクミ「なになに…?効果はっと…。」
俺はその効果を見て仰天する。
その効果とは…「このターンの後、自分の追加ターンを行う。その後、このバトルに敗北する。」
!?!?!?!?!?
はぁー!?!?!?!?!?
たった一文のシンプルな文言。
しかし、効果はびっくり仰天。
ようするに、2回俺のターンドロー!!ができるのだ。
もちろん、追加ターン内で決め切らなければ敗北といったリスクはあるが。
タクミ「うおおおおお!!!なんだコレ!!超つえーじゃねーか!!」
チヒロ「でしょ?タクミもどう?調整していかない?今日はゆきみちゃんと嫌な事があったし、気分転換に。」
リュウト「そうだぞ!タクミも俺様の超最強デッキに付き合え!!」
…そうだな、気分転換にはちょうどいい。
あんがとな、二人とも。
そうして俺は、2時間弱、二人のデッキの調整に付き合った後、俺達の大好物であるいつものお好み焼き屋に向かった。
タクミ「おばちゃーん!「早い!やすい!どろどろ!ミックスモダン」1つー!」
リュウト「俺は「エビマシマシトリプルエビ玉」で!」
チヒロ「じゃあ僕は「健康一直線!セロリ&ゴーヤの苦々豚玉」で。」
…決してふざけている訳ではない。
店のメニューがコレなのだ。
…きっと、先代の店主がふざけて思いついたのだろうけど、学生達からはウケが良い。
そして、相変わらず、リュウトはエビ尽くしだし、チヒロはなんか食欲が失せそうなお好み焼きだな…。
あと、ここのお好み焼きは小さい老舗の個人店だけど、学生がかなり多く、値段はかなり安い。
実際に俺のやつは300円ほどだ。
採算取れないんじゃないか?と思うが、何十年もやっているからなんとかなっているのだろう。
待つこと数分。
具材が来て、かき混ぜて焼き始める。
今では少なくなった、自分で焼ける店だ。
ジュージュー焼けるあの音はいつ聞いても良い!
…もっとも、今日は俺はモダンだからべっとべとだが、長年俺達はお好み焼きを焼いているので、二人とも手際が良い。
そうして、なんだかんだあり、出来上がった。
タクミ「んー!この汁べったべたがまたクセになるんだよなぁー!!」
チヒロ「タクミは最近ずっとそれだよね。僕のはあっさりしてておいしいよ。」
リュウト「俺のは外も中もエビでぷりっぷりだぜ!!」
そうしてなんだかんだ時間は過ぎていき…。
俺達はおいしいお好み焼きを食べて帰った。
そこから時は過ぎ、既に猛暑となる6月の半ばに差し掛かった時。
今日「は」いつもと変わらない日常。
俺はチヒロとリュウトと休み時間中にいつも通りだべって話していると…
別のクラスから用事か何かでうちのクラスに来ていた、他クラスの一人から話しかけられた。
そいつは他クラスの為、あまり交流がなかったが、俺達がやっているカードゲームの話を聞いて声をかけてきたのだ。
男子生徒「君たちもデュエルシャドーバースターズをやってんのか!?」
デュエルシャドーバースターズとは俺達がハマっているカードゲームだ。
丁度俺達が高校に入学した頃にリリースされたんだ。
相手のシールド5枚とライフを20削れば勝ちといった、少し長くなるけど、戦略性があるゲームだ。
カードの中にはシールドを無視してライフを削るデッキやシールドを強固なものにするデッキもある。
クラスではやってるやつはおろか、カードゲームに興味がないやつらが多かったからな。
俺達は嬉しくなり、カードゲームの事で盛り上がった。
そんな中、その男子生徒はある事を聞いてくる。
男子生徒「なぁ、君たちって妙に仲良いよなー。高校からの友達なのか?」
タクミ「いや、俺らは幼馴染でさ。小学校からの付き合いだよ。」
するとその男子生徒も食い入るように…
男子生徒「マジで!?その話聞かせてくれよ!」
タクミ「いやでもなぁ…喋る程の事でもないしなぁ…。」
男子生徒「頼むよ!ちょっとだけでいいから!」
そしてチヒロとリュウトは。
チヒロ「いいじゃない。タクミ、話してあげなよ。聞いててあげるからさ。」
リュウト「俺もかまわないぜ!!!俺様の勇姿を話してやってくれよ!」
…お前に勇姿の勇の字もないけどな…。
まぁ、二人がそう言うなら…。
タクミ「…仕方ないなぁ。チヒロ、リュウト、お前らも俺が忘れてる事があったら説明頼むな!」
リュウト「おう!」
チヒロ「もちろん!」
そして俺は、チヒロとリュウトとの始まりを赤裸々に語り始めた。
次回に続く。
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次回更新は…9/25日です。
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