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絶体絶命

下層に降りてすぐ、スキルを使い辺り一帯の探知をする。


「あれ?これって・・・」


魔物ではない人の気配がある。問題はその近くに下層に出るはずのない魔物の気配がすることだ。


「どうしよう・・・」


ダンジョン内では基本的に他者の獲物をとる行為は禁止されている。それはドロップ品の横取りになり争いに繋がるからだ。


でも探知に引っかかっている人達だと絶対にあの魔物には勝てない。


「と、とりあえず近くで様子を見てから決めればいっか」


私は道中の魔物を殺しながら現場に近づいた。


ーーーーーーーーーー


「えー今日は下層に来てるわけだけど・・・これから更に下の階層に潜っていこうと思います!」

「いぇーい」「どんどんぱふぱふ〜」


私たちは3人ユニットのダンジョン探索系アイドル【LAVOLA】


今日はこれから下層ボスの所に向かう予定だ。


配信もつけているので目で追えないほどのコメントが流れていく。


「ユキ、道中の魔物は省エネで行くよ」

「らじゃ!」

「楓は魔力を温存しておいてね」

「りょ〜」


ユキが近接、私がミドルアタッカーで楓は魔法使い。バランスの取れたパーティ。


これまで危ないこともあったがここまで来た。ダンジョンは『上層』『中層』『下層』『深層』に分かれていると言われていてそれぞれ下の階層に行くときにはボスと戦わなければならない。


慣れた手つきで魔物を倒していく私たち。


省エネモードで。


その一言がなければこんなことにはならなかったのかもしれない。


「ユキ!!」「え?」


ドゴォォォォォン!!


土煙が舞う。


3人の中では一番防御力の高いユキが吹き飛び、動けずにいる。


「風刃!!」


ガキン!!


「そんな!?」


普通の魔物なら両断できる楓の魔法が弾かれた。見た限りオーガ系の魔物。肌の色は赤で中層にいるレッドオーガに酷似してるが体の模様と角の片方が異質な形をしているのがこいつが単一個体の可能性を示唆している。


「こいつ・・・イレギュラー!?」

「・・・『火炎刃』!!」


火と風の混合魔法ですらイレギュラーは動きすらしない。


「・・・楓はユキを連れて撤退!殿は私がする!!」

「・・・了解」


即座に身体強化の魔法が私に流される。体が羽のように軽い。これで2人が逃げるまでの時間は稼ぐ!!


「はぁぁぁぁ!!」


ガンガンガンガン!!


ミスリルの剣で殴ることになるとは思わなかった。


「がァァァ!!」

「っ!?」


咆哮1つで私の体が吹き飛ぶ。レベル差がありすぎる。それでも私は倒れる訳には行かない。


「魔法剣・・・『冰剣シグレ』」


氷の魔力を纏わせたミスリルの剣。切れば氷の魔力で相手が凍る特殊能力のある魔法だが・・・。


「すぅぅぅ!!」

「ガガ?」


地面を切り裂き、氷上を作る。少しでも2人が逃げる時間を作らなきゃ行けない。


「ふふ・・・さぁ、私を殺しなさい」

「グルァァァァァ!!」


イレギュラーが近づいてくる。1歩。また1歩と近づいてくる。


「あぁ・・・配信は切らないとね」


そう言って心配するコメント欄を見た。


『死ぬな!』『必ず助かるから頑張れ!』『にげてー!』『特定班まだ特定できてないの!?』『新宿のダンジョンなのは分かってるけど下層まで行くのには間に合わない!』『誰でもいい助けてあげて!』『死んじゃやだ』『たのむ!にげてくれ』










「しにたくないよ・・・」


目の前のイレギュラーが腕を振り上げた。身体強化の魔法も切れている。今の私はこの一撃で肉片になる。


「助けて」


「はい!助けます!」

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