ウェアウルフ村落制圧戦 4/5
「ラプラス様、この通り勝利して参りました」
「ああ、よくやった。素晴らしい動きだったな」
世辞は無い。純粋な本音での称賛だ。
「……! ありがとうございます。より一層の精進を致します!」
そのやり取りを横目に、ルゥナがウォーミングアップを始めている。“私が大将なのは絶対にダメでしょ”とは本人の弁。
別に順番に拘りは無いし、そもそも勝つ必要があるわけでもない。もちろん負けて構わないと言うつもりはなく、完勝することが好ましいのも確かだが。
「それじゃあ頑張ってくるわね」
ルゥナはこちらにウインクを送り、フィールドに進む。常にマイペースを崩さない、というのもステータスと無関係の強さ……なのだろうか。
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□ウェアウルフ 種族ランクC-
Lv36
・HP 109/109
・筋力 79
・耐久 68
・魔力 49
・抵抗 56
・敏捷 79
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これがルゥナの相手のステータス。ミストが相手した男と比較してみるが、種族,性別,レベルが同じでも全く同じ能力値ではないようだ。考えてみれば、個人の素質や鍛え方の違いがあるから当然の話だな。
「お手柔らかに頼むわねぇ」
「いや、全力で行かせてもらう!」
第一試合を見て、ルゥナはともかく、対戦相手の方はこちらの陣営への警戒度を引き上げたと見える。
「第二試合、開始ぃ!」
ウェアウルフ側の2人目は、両腕に籠手のような装備をしている。恐らくは格闘術を修めたインファイター。
対するルゥナだが、選んだナイフは仕舞ったまま。ミストのように構えてすらいない。あくまで自然体を維持している。
「その余裕、崩してみせる!」
意気込んで拳を前に出すウェアウルフだが、何故か突然その動きが止まる。ミストも含め、ギャラリーが僅かに騒然となるが、犯人も手口も大体が理解できた。この魔術は……後々使うことがあるかもしれんな。
「ゴメンねぇ? 私が技術を見せるとなると、どうしても絵面がツマんなくなっちゃうのよ」
ルゥナは相手に近付き、耳元で囁くように声を出した。
「グッ、グゥゥッ……!」
ウェアウルフの男は抵抗を見せるも、出来たのは辛うじて呻き声を漏らすことのみ。
「十分“魅せた”とは言えないけど、“見せる”のには十分かしら?」
ルゥナはそう嘯くと、一言二言呟いて小さく指を動かす。変化はすぐに表れた。
「ヌッ、グッ……? オ、ァ…………!?」
硬直していたウェアウルフの男が膝を突いた。上半身が折れ、腕すらも地面に突き、最終的にそれでも体を支えられずに地面に倒れ込む。
「……。…………?! ……!」
意識はある様子だが、彼の体はピクリとも動かない。
「しばらく休めば元通りよ。それで? 私の勝ちで良いのかしら?」
異を唱えられる者は誰もいなかった。




