ウェアウルフ村落制圧戦 3/5
ウェアウルフ達を従える為の最終条件。彼女らが納得するだけの力を見せるエキシビションマッチだ。
「何でもアリの3本勝負だ。実力さえ見せて貰えれば、勝つ必要はないぜ?」
「心配は無用。むしろ、優秀な駒を失わないように加減する必要がありそうだ」
コルミィと挑発を交わす。そこに悪感情はなく、自陣営への信頼を見せ合うパフォーマンスのようなものだ。
「一応、訓練用の武器も用意した。使いたけりゃ好きなのを使いな」
コルミィが示した先には、剣や槍、それに弓といった一般的なものから、双刃刀やハルバードのような使い手を選ぶ武器までもが用意されてあった。
「折角だから、ありがたく使わせてもらおうか」
ミスト,ルゥナの両名も、幾つか手に取って自身に合うものを吟味していた。
「……こちらの準備は整った。いつでもいいぞ」
「よっし、ならサッサと始めようぜ!」
◇◇◇
第一試合。こちらの先鋒は、本人の希望によりミストが務めることになった。
「槍か」
「はい。徒手空拳での修練も積んでいますが、私はどちらかと言えば槍の方を得手としていますので」
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□ウェアウルフ式・訓練用スピア
・クリティカル発生率:+15%
ウェアウルフが訓練に用いる槍。訓練用とは言うものの、実戦にも耐える最低限の性能は有している。
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ウェアウルフ達は広場を囲むように円になっている。その内側が試合のフィールドだ。
「参ります。ラプラス様に勝利を」
ミストが前に出た。フィールドの反対側からもミストの対戦相手が出てきている。
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□ウェアウルフ 種族ランクC-
Lv36
・HP 108/108
・筋力 82
・耐久 66
・魔力 49
・抵抗 57
・敏捷 78
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「……“しっかりと鍛えられてる”といった具合か」
ミストのステータスとは大きな差があるが、レベルの割には悪くない数値なのではないだろうか。魔法特化のデーモンロードと比較すると、筋力と敏捷を重視しているようだが、能力のバランスもそれなりに整っている。
「んじゃ第1試合……始めぇ!」
コルミィの宣言で戦闘が始まった。ミストの相手が装備しているのは2本の短剣。片刃であることも相まって、もう少し短ければナイフと呼ぶ方がしっくりくるような得物だ。
槍を持つミストに対しリーチの差で不利なのは明白。本人もそれは理解しているようで、開始の合図とほぼ同時にミストへと接近することを選択した。懐に飛び込めば、長い得物は逆にハンデとなる。迎撃される前に勝負を決める腹積もりなのだろう。
「……どうした! 臆したか!?」
対戦相手が叫ぶように、ミストは槍を構えたまま動かない。2人の間の距離は既に短剣の届く範囲となっていた。
「もらったぁ……あ?」
胸元を狙う刺突と首を狙う斬撃。一度に2つの急所が脅かされ――――困惑の声を挙げたのは、短剣を振ったウェアウルフの男の方だった。
「至近距離が槍の弱点なのは理解しています。だからこそ……対応できるようになっておくべきと思いませんか?」
彼女は槍の中ほどを持ち、柄の部分を使って、短剣を受け止めていた。異なる2つの軌道に合わせ、纏めて防御する槍捌きは、ステータスには表れないミストの技術であった。
「やはり、数字だけで判断するのは愚行だな」
ミストの動きを見ながら独りごちる。今の彼女は槍を地面に突き立て、それを支柱に相手の上を取ったところだ。
「弄ぶような真似はどうかとも思うのですが、今はラプラス様に私の技術をお見せするべきだと判断しましたので。もう少し……お付き合いください」
まるで処刑宣告の様じゃないか。
そしてミストの宣言通り、ウェアウルフの男はしばらく彼女の技の標的にされ、疲労困憊のところで首に槍の穂先を突き付けられて降参した。




