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EP 28

悪徳警官の錬金術と、タローソン救済計画

「俺たち『警察権力』という最強のカードを使えば、タローソンを救い、なおかつ俺たちの懐も極限まで潤す、完璧な中抜きビジネスが展開できる!」

ルナミス学園の保健室。

ベッドの上でから揚げの衣を噛み締めているリーザを前に、リアン・シンフォニアは、まるで歴史的な大発明を成し遂げた悪の天才科学者のような、邪悪で光り輝く笑顔を浮かべていた。

「り、リアン君……? 警察権力を使ってビジネスって、どういうこと?★」

婦警のコスプレをしたルナが、リアンのあまりの悪人面にドン引きしながら首を傾げる。

「簡単なことだ。……おい鑑識、さっきリーザが食ってた『タローソンのから揚げ弁当』、お前も匂いを嗅いだな?」

「ふへへ……はい。強烈なニンニク醤油と、揚げ油のジャンクな香り……購買部で売っている上品なオーガニック弁当とは真逆のベクトルですぅ」

白衣姿のキャルルが答える。

「そこだ! そこが狙い目なんだよ!」

リアンがバンッと手を叩いた。

「このルナミス学園の購買部は、確かに超一流の品揃えだ。だがな、毎日毎日ペガサス肉だの、無農薬の温野菜だの、そんな意識の高い『お上品なメシ』ばかり食ってたら、育ち盛りの学生の胃袋はどうなると思う?」

リアンは、前世で三ツ星フレンチの副料理長を務めながらも、まかないのジャンクフードをこよなく愛していた己の経験から導き出した【食の真理】を語り始めた。

「……たまには、カロリーと脂質と塩分が暴力的に詰まった、ギトギトのB級グルメ(ジャンクフード)が死ぬほど食いたくなるんだよ!!」

リアンの熱弁に、クラウスがハッと目を見開いた。

「な、なるほど……! 確かに僕も、毎晩の実家でのフルコースディナーに食傷気味になり、こっそり抜け出して屋台の串焼きを齧った時の、あの背徳的な美味さが忘れられない時がある……!」

侯爵家の嫡男であるクラウスですら、その呪縛からは逃れられないのだ。

「つまり、今の学園の生徒たちは、無自覚のうちに『ジャンクな味』に飢えている。そこに、安くて美味くてカロリー満点の【タローソン弁当】を正式に流通させれば、間違いなく飛ぶように売れる!」

リアンは白板(保健室のパーテーション)を指差し、見えない図表を描くように熱く語る。

「だが、あの強欲な購買部の店長が、自分の店のブランドを下げるような大衆弁当を素直に置くはずがねぇ。……そこで使うのが、俺たち『学園交番』の【警察権力】だ!」

「ほう……。風紀を取り締まる我々の権限を、どう使うというんだい、相棒?」

クラウスが、エリート刑事の顔のまま、悪徳ビジネスの片棒を担ぐ気満々で尋ねる。

「あの店長、さっきリーザにクリームパイを投げつけただろ? あれは立派な『過剰防衛』であり、『生徒への不適切なしつけ(暴行)』だ。……その事実をチラつかせて、弱みを握る。そして【タローソン弁当の独占販売契約】を無理やり結ばせるんだよ!」

リアンの目に、冷酷なマフィアのような光が宿る。

「タローソンの工場長は、大口の取引先(ルナミス学園)ができて経営危機から脱出できる。学生たちは念願のB級グルメが食える。店長は暴行罪を見逃してもらえる上に、バカ売れする弁当で結局は儲かる。……そして俺たちは!」

リアンは、両手の指を嫌らしく擦り合わせた。

「タローソンと購買部を仲介した【コンサルタントピンハネ】として、売上の何割かを永続的に中抜きする! 何もせずに、チャリンチャリンと金貨が雪崩れ込んでくる『最強の不労所得システム』の完成だ!!」

「「「おおおおおおっ!!」」」

保健室に、S組ポリスたちの歓声が響き渡った。

「す、すごいよリアン君! それなら工場長さんも助かるし、私も毎日タローソンのお弁当が購買で買えるってことだよね!?」

リーザがベッドから身を乗り出して目を輝かせる。

「ああ。しかもお前は『おとり捜査の協力者』として無罪放免にしてやる。……どうだエリート? この完璧なシナリオは」

リアンが水を向けると、クラウスはトレンチコートの襟を正し、満足げに頷いた。

「フッ……。権力を笠に着た恐喝、そして私腹を肥やす癒着ビジネス。刑事ドラマに出てくる『最も腐敗した警察上層部』のやり口そのものだね。……だが、結果としてタローソンという弱者を救うのだ。侯爵家の正義(ダークヒーロー的解釈)として、乗らない手はない!」

完全に設定キャラが迷子になっているが、クラウスのノリの良さは相変わらず最高だった。

「ふへへ……店長の暴行の証拠となる『クリームの付着したジャージ』は、すでに証拠保管袋に入れてありますぅ……これで逃げ道は完全に塞げますね……」

鑑識のキャルルが、嬉々として証拠品を掲げる。

「よし、全員の意思は固まったな! これから俺たちは、正義の味方じゃねぇ。権力と情報を武器に、シノギを巻き上げる【悪徳警官ダーティ・ポリス】だ!」

リアンが、ニヤリと極悪な笑みを浮かべて宣言する。

「行くぞ野郎ども! ターゲットは購買部の店長だ! 徹底的に絞り上げて、俺たちのアーリーリタイア資金(不労所得)の礎にしてやる!!」

「「「了解ラジャー!!」」」

かくして、リーザの逮捕劇から始まったドタバタ交番コントは、リアンの強欲な頭脳によって、学園の経済を裏から牛耳る『巨大中抜きビジネス』へと変貌を遂げた。

「ウー! ウー! 悪徳ポリスが通りまーす! お金持ちの店長さんは震えて待っててねー!★」

婦警ルナの、全く緊張感のない口頭サイレンが再び学園に鳴り響く。

保健室を後にした『1年S組・悪徳ポリス』の面々は、意気揚々と購買部(売店)へと向けて行進を開始した。

これから彼らが繰り広げるのは、正義の取り締まりではない。

【警察のバッジ(腕章)】をチラつかせた、合法的な(?)カツアゲである。

前世でブラック企業に搾取され続けた男が、ついに「搾取するプラットフォーム」へと回るための、反撃の狼煙が上がった!


読んでいただきありがとうございます。

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