人工惑星
リフライトに来てから1ヶ月が経過しました。
黒騎士との戦いは続いていますがプラチナス国はライトの力もあり戦況は拮抗しています。
彼はラビの頼まれ事も時間を見てはこなしていました。
今日はプラチナス国から遠く離れた遺跡へと来ています。
「……あった、ディスクだ。持ち帰って解析してもらうか」
ディスクを取り出し、アタッシュケースへと収納します。
もうめぼしいものはないと判断し、荷物をまとめて帰る準備をしようとします。
背後に感じる僅かな殺気に反応し、携帯しているレーザーガンを取り出します。
「誰だ!」
扉の向こう側へ向けて叫びます。
すると扉が開き――。
そこには黒い甲冑を纏ったヒトが無防備に突っ立っていました。
「ほう、プラチナス国のメスではないのか」
「帝国の奴か!」
「待て待て、俺は別にあんたと争いたいわけじゃない」
両手を挙げ、降参のポーズをしています。
ライトは気を抜かず、ガンを構えたままです。
「お前、アーマード・ランナーのパイロットか」
「えっ」
「ふふ、驚くことはない。安心しろ、俺は地球人だ」
思いがけない言葉が飛び出します。
彼の名乗りに衝撃を受けます。
「俺はラッド、今はセクト国で兵士をやっている」
「セクト国?」
「ああ、普段黒いマシンとやりあってるだろ?あれは俺たちだ」
「なんだって?」
額から汗が出ます。
「まぁまぁ、さっきも言ったが俺はやり合う気はねえって。
お前と一緒さ、俺は地球に帰りたいだけだ」
「ここへ何をしにきたんだ?」
「帰る手段の模索さ。お前もここにいるってことはこの星のことは知ってるんだろ?」
「この星が宇宙船かもしれないってことか?」
その言葉にラッドはしばらく沈黙。
何かを考え込んだ末、兜をとって座り込みます。
「まぁ座れ、顔を見せたほうがお前も安心できるだろ」
「あ、ああ……だが銃は構えたままにさせてくれ」
「構わん、それでだが結論から言うとこの星は宇宙船ではない」
「俺たちが持っているデータでは宇宙船であるような示唆があったが……」
「この惑星……リフライトは人工惑星だ。クリエイターについては知っているか?」
「ああ、話には聞いている」
「なら早い、銀河系ではない超文明が生み出した惑星だ。何故造られたかについてはわかっていないが、この星自体は地球とそう変わらない環境を持っている」
「じゃああの宇宙船、そしてワープらしいゲートは……」
「俺の目当てはそいつだ。クリエイターはこの星に住まう生命を探すために自らが宇宙船に乗り、あらゆる惑星から生命体を連れ込んでいる、と言うことまではわかっている。そして地球へ行くことも可能だ」
「本当か!」
「ああ、俺は宇宙船がある場所を調べているんだ。どうやら手持ちの情報は残念ながら俺の方が多いってわけか……お前、ここに来てからどれくらいなんだ?」
「名乗ってなかったな、俺は桜井来人、ライトって呼んでくれ。1ヶ月ぐらいかな、だいたい」
ラッドはまた沈黙します。
渋い顔をし、そのまま目を閉じます。
「なかなかの行動力……だな、俺はここに来て5年ぐらいだ」
「5年!?」
「ああ。そしてセクト国の連中に捕まり、1年間拘束の後に軍への強制配備、今に至るって感じだな」
「俺、運が良かったのか……」
「いや、お前はむしろ運が悪いぞ。プラチナス国……あのアマゾネス達と今一緒にいるんだよな?」
ライトは少しこの言葉に引っかかりを感じていました。
彼は先程プラチナス国のイリス達のことをメスと形容していたからです。
「彼女たちはあんた達のことを帝国と呼び、侵略者と見ているようなんだがそちらはどうなんだ?」
「最もな疑問だ。奴らはクリエイターを神と崇拝し、信仰している。セクト国はクリエイターを倒し、この星そのものを支配するという目的があるようだ」
「まんま侵略者だな」
「まあな。宗教観による戦争だとは思っている」
「ラッドもあんまり彼女たちを良いようには思ってない節があるがどうなんだ?」
「俺か?俺も正直良くは見てないな。と言うのも意図的なのか、そうじゃないのかわからないが奴らはリフライトの重軽拠点の真上に街や村を建てる傾向にある。その上で俺は意図的ではないかと見ている」
「つまり彼女たちは知っていてそれをやっている、ってことか」
「ああ、その通りだ。……なぁ、俺と手を組まないか?」
「手を組む?」
「俺のインセクト・アーマードは左腕に白い布が巻いてある。それを見かけたら攻撃せず、互いに牽制するだけで手を退かないか?その上で今後は定期的にこの場所で情報交換をしたい」
「地球へ帰るための……か」
「ああ。信用できないならそれはそれで構わないがどうする?」
少し思考します。
もし、もしも本当に帰れるなら帰りたい。
ライトはそう考えます。
「よし、乗ろう」
「そうこなくちゃ!あと俺のことは奴らには話さないでくれ。そしてお前に頼みたいことがある」
ライトは頼み事を引き受けることにしました。




