夜戦
ライトの初の出撃はプラチナス国へ来てから翌日のことでした。
近隣の村が夜に襲撃を受けた、という知らせが入りました。
「こんなに早く初戦かぁ」
幸い、カンガルーのエネルギー補充は目処が立ちました。
彼女たちの魔法によりエネルギーの供給が可能。
フルパワーとまではさすがにいきませんが宇宙での戦闘ではないため支障はそこまでありません。
「武器は結局どうするのですかライト」
「今はこいつに頼るしかない」
サブマシンガン、弾薬はもう頼りない数量。
敵は2機という情報があったため、それであればなんとか持ちこたえるだろうと。
「……すみませんが力をお借りします!」
「なーに、2対2の戦いだ。互角だろう」
彼は軽口を叩いて不安にさせないようにします。
仕事仲間にも同じことをしていました。
「……そろそろ件の村です」
「2機目視、迎撃に移る!」
敵機がこちらを振り向きます。
互いに気づいたようです。
イリス機とライト機は左右に展開します。
(サブマシンガンの弾薬の残り数を考えて無駄撃ちはできない……、乗り気はしないが初見の利を使わせてもらう!)
初めての機体との戦闘、情報があるとは言え相手側もこちらの能力は十分に把握していない。
その考えを軸に動き、一気に間合いを詰めます。
「もらった!」
腹部にサブマシンガンの銃口を押し付け、トリガーを引きます。
ダダッ――
数発撃ち込めます。
するとぐったりとしたように黒騎士は倒れます。
「……よし、あと1機!」
イリス機は黒騎士と交戦していますが鍔迫り合いをしています。
互角――ではなく、かなり押されているように見えます。
「やはり例の装甲か、よし!」
バーニアを吹かし、一気に背後へ詰め寄ります。
そのまま背中に銃口を突きつけ……撃ち込みました。
「あ、ありがとうございます!」
「ホワイトナイトじゃやっぱ分が悪いんだな」
「しかしあなたのおかげで2機も倒せました!」
イリスははしゃいでいました。
彼女たちは1機落とすことも非常に困難だと話していたため、2機倒せたことは非常に喜ばしいことのようです。
「……おかしいです、まだ敵がいる気配があります」
「えっ」
「1機……、来ます!」
背後から凄まじい速度で何かが迫ってきます。
「あれは……カイザー!」
「カイザー?」
「ええ、指揮官と思われるインセクトアーマードです」
両腕に黒い爪、ライトへ向かって一直線です。
ホワイトナイトの剣を無言で奪い取り、蹴飛ばして距離を開けます。
「きゃっ!」
「すみません、剣をお借りします!」
突撃を剣で受け止めます。
かなりの衝撃があり、機体の関節部から煙が吹き出します。
(や、やべえこのパワー!き、機体が持たない!)
横に力をかけて崩れるように倒れ込みます。
深刻なダメージとまでは言っていませんがかなりの負担がロボットにかかります。
直ぐに追撃が来ます。
「な、南無三!」
腰に装着されていたサブマシンガンを取り出し、コックピット付近へ銃口を突きつけます。
カシュン――
弾切れ。
あまりにも無慈悲な弾切れ。
ライトの頭は真っ白になりました。
だが、敵は一歩も動きません。
「ふっ、どうやら引き分けのようだな」
カイザーから声がします。
「お前は何者なんだ」
「私が聞きたいくらいだ……まずは先に名乗ったらどうなのだ?」
「俺は桜井来人だ」
「聞き慣れない名だな。私はシャドウ、君たちの言う黒騎士を束ねるものだ」
「……このまま引き金を引くとどうなる?」
「どうもしないさ、だが君も無事では済むまい?」
「こいつ……」
「この戦いの続きはまたの機会だ」
彼は爪を収め、暗闇へと消えていきました。
少し離れたところで転がっているホワイトナイトからは「反応はありません、大丈夫です」と。
「ふぅ~~~助かった」
思わず本音が漏れました。




