魂と器の分離
「……何も見えない」
男は暗い部屋で1人横たわっていました。
「俺はどうなったんだ?ここはどこだ?クリエイター、聞こえてるなら返事をしてくれ」
呼びかけをしますが何も聞こえません。
虚無の空間に声が反響します。
「クソッ、開いてからの記憶が曖昧だ」
起き上がれない体でありながらも声には元気がありました。
男は必死に体を動かそうとしますがビクともしません。
拘束されているわけでもなく、目隠しをされているわけでもなく。
「ライト!ルール!聞こえるか!返事をしてくれ!」
さらに呼びかけを続けます。
しかし返事はありませんでした。
「体は動かねえ……どうなってしまったんだ俺は」
状況がわからず、時間だけが過ぎていきます。
「どんな気分だ、地球人よ」
「誰だ!」
何者かが男に声をかけてきました。
身動きがとれないが、語気を強めて威嚇をします。
「そう慌てるな、私は賢人マックス。この惑星で何百年もの間守ってきた魔術師だ」
「その魔術師が一体何のようだ」
「お前はクリエイターの指示に従い、門を開いた。その記憶はあるな?」
「あ、ああ。それは覚えている」
「不幸にも魔法力を持たないお前はこの星に眠る生命力に飲まれ、魂と器が分離されてしまった」
「魂と器が分離?」
「ああ、だがどういうわけかお前の魂は器から解放されていない。私はこれを不思議に思ってここへとやってきた。非常に興味深いのでな」
「な、なにを言っているんだ」
「お前の肉体は恐らく何者かの手によって魔法を通さない体へと改造されているようだ。その影響で魂そのものが肉体から離れることができずにいる。言わば魂の牢獄とでも言った所か」
「ふ、ふざけるな。お、俺は俺の体は普通だ」
「今私がお前の体を杖で突いているが何も感じないだろう?」
「……なんだって?」
「その上私は今お前の魂に話しかけている。お前の声など誰にももう届いていない」
「う、嘘だ」
「ふむ、やはり魔法を通さない肉体か。ケテルはお前を媒体にするつもりでその体に改造したのだろうな」
男は何も話しません。
マックスと名乗る男が今何をしているのか、今ここはどこなのかすらわからず言葉が出なくなっています。
「安心しなさい、私はお前をここに置いていくなんてことはしない。ではいこうか」
男は悟りました。
自分は死んでしまったのだと。
もう地球へは帰ることは叶わないということを。
「畜生……」




