白騎士
白銀の世界と表現できる場所。
そこは美しく、洗礼された西洋の城です。
アーマード・ランナーを取り上げられ、顔が見えないほどのフードを被った何者かに囲まれた部屋へと押し込まれました。
聞いたことがない言葉で彼女たちは会話をしています。
話がまとまったようで、腕に金属の輪っかを取り付けられました。
「……私達の言葉はわかりますか?」
「えっ?」
突然の出来事で何が何だかわからない、という顔。
きょろきょろとあたりを見ますがクスクスと笑い声。
突然言葉がわかるようになりました。
「まさかこれを使うときが来るとはね」
「どういうことなんだ?」
「これは魔法の道具でこれを身につけた人は我々の言葉を話せるようになるのです」
「べ、便利だな」と思わず言葉が漏れました。
「……あなたは何者なのですか。何故、黒騎士と戦ったのですか」
「まぁいや、多勢に無勢というか」
「確かに私はそれで助かりましたが、それはそれで我々はあなたの方がよっぽど恐怖の対象です。あの武器といい、あのナイトといい……」
「ナイト?」
ナイトは騎士、って意味なんだろうな、そしてあの巨大な白騎士のことなんだろうなと考えます。
あれはロボットだろう、と思考。
しかしこの城といい、彼女たちの装備といい、機械らしさは感じません。
「私達は黒騎士……インセクト・アーマードと言うのですが我々はホワイトナイトと呼ばれる巨兵で彼らに対抗しています」
「あ、ああ」
「あなたはあのナイトで黒騎士の一体を見事撃退しました。それが極めて異質なのです」
「どういうことだ?」
「彼らの鎧は魔法を一切受け付けない金属が施されています。そのため、我々の剣では傷をつけることができず、非常に難儀な戦いを強いられていました。しかしそれをいとも簡単に倒しました。あなたのナイトは一体どれだけの力を秘めているのか……その疑問ばかり浮かびます。しかもあなたの剣は私の剣を受け止めることすらできなかった……」
「と言ってもどこから説明したらいいものか」
実際、説明できるものではありませんでした。
自分が何者であるか、どうしてここにいるのか、どうやってきたのか、そして駄目元で帰る方法について、様々な話をしました。
青髪の美少女の隣にいた金髪の女性が非常に渋い顔をしながらこちらを睨みつけます。
「異世界……からの来訪者というべきね」
「そうですね、見慣れない服装、見たこともないナイト……なるほど」
「あと帰る方法についてはないとしか言えないわ、だって地球なんて場所聞いたことがないですもの」
「地球を知らない……?」
地球以外に生命体がいる――。
この事自体がこれまでにない発見だと考えていました。
しかし彼らにとってはその逆も然りであることを思い知らされました。
「ここは惑星リフライトと呼ばれる星です」
「リフライト?やっぱり聞いたことがないな」
「しかしこの近辺にはこの星以外の星はありませんよ?」
「……そういえばここに来て思ったのだが太陽がなかったな」
「太陽?」
この星は太陽によって明るくなっているものではありません。
夜も当然やってくるらしいですが、その理由はまだ明らかになっていないと聞かされます。
その後も様々な質疑応答をしました。
「一番気になったのはそちらのナイトの残された稼働時間でしょうか」
「……仕事の途中ってこともあったのと、正直地上での活動も考慮されて作られているわけじゃない。
この世界でエネルギーの代わりになるものが見つかればいいんだが」
「何で動かしているのですか?」
「アンタ達のナイトと違って魔力とかそんな大層なもんじゃない。……さっき話していた太陽の光なんだ」
「光、光か。もしかしたらなんとかなるかもしれない」
「どういうことだ?」
「魔法さ、光を放つ魔法がいくつかある。それを使うことはできないか?」
「……試す価値はありそうだ。次は武器だが……」
「武器については我々の武器を携帯すればいい。贅沢を言えばそちらの武器を使いたいところだが」
アーマード・ランナーに残された武器は残りわずかの弾数しか残っていないサブマシンガン。
たったこれだけしかありませんでした。
「どうやらいろいろ問題がありそうだ。武器の成分など調べさせてもらってもいいか?」
「ああ構わない。もしそれで代価となるものがあればいいんだけどな」
期待はしない、彼はそう心に決めました。




