異世界
「聞こえますか!応答してください!……駄目か」
桜井来人は必死に通信をしますがまったく返事がありません。
苛立ちのあまりにガンと計器類を叩きます。
「誰だよ銀河系ぐらいなら余裕で通信できるとか言ったバカは!」
彼が乗っているロボット……、アーマード・ランナーには高性能通信機が搭載されています。
仕事柄危険が多く、宇宙で遭難した際にどこからでも通信をできることを想定した高性能通信機が搭載されていました。
製作者曰く、銀河系ならどこからでも通信ができるという触れ込みでした。
しかしその謳い文句に粗ぐわぬ結果となってしまいました。
「仕方ない、か」
トリガーを握り、尻もちを付いたランナーを立ち上がらせます。
見覚えのない惑星の大自然に溢れた森へと不時着していました。
立ち上がるとちょうど森から上半身が出ます。
「鳥が飛んでいる……、それにこの音は!」
遠くから何かが争っているような物音がしています。
携帯しているサブマシンガンを構え、そちらへと向かいました。
「やはり……」
ロボット同士が戦っています。
黒い、カブトムシのようなビジュアルの機体が3機。
そしてロボットとは言い難く、騎士のようなビジュアルの機体が1機。
騎士は明らかに形勢が不利でした。
「となれば劣勢に力を貸すまでだ!」
バーニアを点火させ、一直線にカブトムシ型ロボットへと突進していきます。
バラバラと銃撃で牽制――、懐へと潜り込むとヒートナイフで胸元の装甲を斬ります。
「よし、通用する!聞こえるか、そこの白いの!加勢してやるぜ」
騎士型ロボットは突然の出来事に動きがピタリと止まっています。
それはカブトムシ型のロボット達も同様でした。
攻撃したロボットに対して足蹴り。
距離を開けたところでサブマシンガンで腕部を破壊します。
「よし、あと2機!…ってあれ?」
1機が中破したタイミングで2機がそれを抱えて引いていきました。
「ふう…引いてくれたか、あんたは大丈夫――」
話している途中、銀の剣が鋭く振り下ろされます。
咄嗟にヒートナイフで受け止めますが、呆気なく折れますが斬撃は逸れます。
「な、なにしやがる!」
叫びますが戦闘態勢を解く気配がありません。
桜井来人は内心かなり焦っていました。
彼が乗るロボットの装備は後はサブマシンガンしか残っていないからです。
この危機を乗り切るにはどうするか、思考…ひたすら思考。
(弾薬もあまり残っていない、どうする、どうする、どうする―)
騎士がさらに剣を振り上げ――ませんでした。
コックピットと思わしき腹部から開き、中から女性が出てきました。
そして何か叫んでいます。
来人もハッチを開け、外へ顔を出します。
「助けてやったのに何するんだよ!」
思わず叫びましたが、相手も叫んでいます。
しかし、何を喋っているかまったくわかりません。
「こ、言葉が通じない……ま、まぁそりゃそうか。しかしわかんねえな。
ただ降参のポーズはどの世界も共通ってことか」
両手を挙げると、相手は叫ぶのをやめ、ジェスチャーで指示を出してきました。
武装解除し、彼は騎士にどこかへ連れて行かれます。
「ちょっと、今の状況軽く見過ぎだったかもしれねーな」
来人は助けに入ったことを少し後悔しました。
「はぁ、美人なのはちょっと嬉しいけどこういう状況じゃなければなぁ」
青髪の美少女が瞳に焼き付いていましたが、今の状況がそれを楽しむことを許してくれませんでした。




