違和感
暗がりの森を駆ける影。
リフライトは闇に溶け込み、城へと近づきます。
目の前には少し前までに見た美しい城……ではありませんでした。
「マジかよ」
「本当に落とされたっていうのか」
穴だらけの城壁。
人が住まう城にはとても見えない姿。
ルールは体を震わせています。
「一体何があったっていうんだ」
「おかしい、これはおかしいぞ」
ラッドは興奮していました。
脇にある小型端末に何かを入力しはじめます。
「ビートルもそうだがカイザーにもあの城を外側から破壊することはできん」
「というと?」
「こいつを見てくれ」
正面モニターに破壊された壁のズーム映像を出します。
「壁の石レンガやらが内側にあるだろ?と言うことは外側から破壊されたことになる。ビートルやカイザーはあそこまで登るのはさすがに苦労するし、登ることができる機体は既にお前たちに破壊されている」
「新型って線はないのか?」
「あるっちゃある、がこの壊されようは一機って話じゃねえ。それにおかしいのは白騎士があたりに転がっている様子もないってことだ」
「それが何か気になるのか?」
「つまり白騎士は交戦して倒されたってわけじゃなさそうだ。もちろん城の向こう側や森のどこかで倒された可能性もあるとは思う。それでもここは最後の砦、一機ぐらいは転がっていてもいいだろ」
「まぁ納得のいく話ではある。その上でお前はどうするべきだと思う?」
「俺はこのまま引き下がることを提案するぜ。さすがに気味が悪すぎる」
ルールが睨みつけていますが、ライトは一旦それはスルーすることにしました。
このまま内部を調べに行くか、それともラッドの言う通り引き下がるか。
「俺は引き下がるのには半分反対だが、半分賛成だ」
「ほう、半分とは随分と優柔不断だねえキミ」
ルールが嫌味を言ってきます。
最近何かと突っかかってきたり、皮肉を言ってくるルールに少し苛立ちをライトは感じています。
そのためか思わず舌打ちが出てしまいました。
「お前が舌打ちなんて珍しいな」
「あっ……」
ラッドに言われてはっとしました。
すぐルールを見てみると、今にも泣きそうな顔をしています。
「す、すまん!そういうつもりじゃないんだ」
だんまりです。
機嫌を損ねたのか三角座りをして後ろを向いてしまいました。
「やれやれ。んで半分反対の理由を聞こうか」
「……言っちゃあれだが俺は元々プラチナス国のみんなに助けてもらった恩義がある。今はまぁ十分なぐらいにその恩は返せたとは思っている。だがそれではいさよならってのは違うかなって」
「なるほど、ならそれを踏まえて賛成の理由も聞いていいか?」
「お前が言ったとおり、白騎士が一機もないのがおかしいと思ってな」
ルールが涙を拭ってこちらに振り向きました。
「一機もないのが一体どう不思議なんだよ」
「ホワイトロード、それが見当たらいのがそもそもおかしい話なんだよ」
「ホワイトロード?」
「プラチナス国の女王と言うべきか。イリスって女の子が乗るこの国最強の機体さ。他の白騎士と違いあれは専用機で他の人が乗ることはできない。ここが最後の砦だと考えてもし倒されたのであればここに残ってないとおかしい。その上で勝ったのであればここにないのは理解できる」
「逃げた可能性は?」
「可能性としてはある、がその場合はもっとあたりに戦った跡があってもいいと思うんだ」
この城の周辺は森で覆われています。
しかしどこもかしこも戦った形跡はなく、むしろ綺麗なままでした。
破壊の跡が目立つ城と違い、その周辺はとても綺麗です。
「お前の見解を聞こうか」
「……退こう」
「正気か!」
ライトの胸ぐらをルールが掴みました。
そのまま殴りそうな勢いでしたが、拳を止めます。
「自分の故郷がこうなってしまっていても立ってもいられない気持ちはわかる」
「じゃあどうするんだよ!」
「リズに会いに行こう、そろそろ彼女も目覚めているはずだ」




