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風魔21  作者: 大井 平和
19/24

第19話 南の島の寺院

風魔忍軍が再び南下します

【2001年8月13日PM22時24分】


 アパラチア山脈のアジトに戻った風魔忍軍は、束の間の休息を取っていた。あのジャングルでの激闘から2週間が経っていた。アジトに戻ってから、モーゼスが鉄板で何かを作っている。小太郎が


「お前何作ってんの?」


と尋ねるとモーゼスが


「SRSCの翼を広げた鴉の紋章だよ!また俺の身体のどっかから指令出されちゃ溜まったもんじゃねーからな!」


と怒り混じりで話すと、サリーやヘレンが


「・・・確かにそうよね。」


「ほんと汚らわしい!」


と軽蔑の目で睨むが、ビリーが


「こいつだって不本意じゃねーんだからよ。次は出来ればオメーらのどっちかのおっぱ・・・」


と嫌らしい目で2人を見ると、サリーとヘレンがステッキとサーベルを向け


「あんたマジで殺すわよ?」


と赤面しながらビリーを脅す


「じょ、冗談だって。も、もうそれは閉まっていいだろ?」


と2人をなだめる。


【2001年8月14日AM3時03分】


 風魔忍軍が眠りに付く中、テムジンが持っていた抱き枕のファスナーの隙間からSRSCの指令が届く。


『風魔忍軍に告ぐ!アメリカ領ヴァージン諸島の一島、セント・クロイ島にある仏教寺院で、大量失踪の情報あり!直ちに急行せよ!尚、現地までの移動は特殊行動センター(SAC)が派遣するヘリコプターがそちらへ向かっている。到着次第乗り込め!』


ビリーが


「また逆戻りかよ!バイク乗りてーなー!」


と愚痴をこぼしていると、サリーとヘレンが


「きゃあ!」


と悲鳴を上げる。ロボがテムジンに


「・・・オメー何ちゅー格好で寝てんだよ?」


と突っ込む。テムジンはズボンとパンツを脱ぎ、抱き枕を抱えて寝ていた。


「うるせーな!俺はこーしねーと眠れねーんだよ!」


と弁解するが、ヘレンに


「どーでもいいから早く履きなさい!汚らわしい!」


と叱られる。サリーも


「・・・ほんとこいつら変態ばっかり!」


と怒り出す。小太郎やダグラスは


「おいおい!俺達も一緒にすんなよ!」


と突っ込んでいる間にヘリコプターが到着。夜中に一路アメリカ領ヴァージン諸島へ向かう。


【2001年8月14日AM6時11分】ミッション開始


アメリカ領ヴァージン諸島の1つ、セント・クロイ島、北西部のフレダーリクスティドに到着した風魔忍軍。もう夜明けになっており、海岸から素走りで入っていく。ここでロボが何か察知したらしく


「雁行の陣だ。前は俺。2列目にテムジンとヘレン。次いでビリー、ダグラス、サリー、小太郎、モーゼスの順に並べ。」


と囁く。サトウキビ畑を通り過ぎると、朝とはいえ人の気配がない。だが、何処からか大勢の人々が声を発するのが聞こえてくる。その方角へ雁行の陣で並びながら進軍していく風魔忍軍。何やら大勢でブツブツ何かを読んでいるような声が山の方で聞こえてくる。


【2001年8月14日AM7時45分】


 北部のイーグル山に到着した風魔忍軍だったが、その山中に隠れるように寺院が建っていた。中では僧侶と大勢の信者達がお経を読んでいた。


「破羅抹侘蓮藝卿翫爾催謀薩怨魏潘伽観咜・・・・・」


このお経をいち早く察知したサリーが箒をドンと地面に突き立て


「喝!」


と一喝。僧侶と信者のお経が止まる。ダグラスが


「今日は平日だろ?働かねーのか?」


と信者達に問う。このセント・クロイ島はアメリカ領ヴァージン諸島の中でも面積こそ一番広いが、一番失業率が高いことで有名である。ここの信者は失業者で、まるで何かに取り憑かれているような表情だったが、サリーの一喝で正気に戻ったようだ。だが、再び僧侶がお経を唱え始める。


「破羅抹侘蓮藝卿翫爾催謀薩怨魏潘伽観咜・・・・・」


すると、正気に戻ったはずの島民が再び操られ、風魔忍軍に襲いかかる。


「やべーぞ!こいつら操られてる!」


「一般人だから手が出せん!」


小太郎が全員に


「オメーら!風魔忍法・耳抜き地蔵の術だ!とにかくあのお経を聞くな!」


と命じると、8人全員で自分の両耳に中指を一瞬入れ、引っこ抜く。この忍法を使えば仲間の声しか聞こえなくなるのである。サリーは


「・・・あの僧侶、どーやら魔法使いのようね。それならあたしの出番ね。ロボ!あたしと最前列交代よ!」


と志願する。ロボは


「確かに魔法使いだな。だったら衝軛の陣に移れ!モーゼス!オメーがサリーと最前列だ!横から援護しろ!俺は殿に回る。」


と八方陣を組み直すが、サリーが


「えー?あたし1人でいいよ!何でこいつと・・・」


と不満を漏らすが、


「オメーは攻撃に専念出来んだろ?防御はモーゼスがやる。盗賊同士仲良くしろよ?」


とモーゼスを差し出すが


「こいつと一緒にしないでよ!」


と愚痴るサリーに


「終わったら何か買ってやるからよ。文句言わねーでやれ!」


とダグラスが嗜める。サリーは


「全く子供じゃないんだから・・・」


と言いつつ最前列に入ると同時に再び箒を地面に突き立て


「喝!」


と叫ぶと、島民が力を抜いた瞬間風魔忍軍は衝軛の陣で僧侶を包囲する。


「あんた何者?」


とサリーが質問すると


「我はこの珠徳寺の僧侶、雲海の祓恩。この島を救いにやって来た。」


と話す。だがダグラスが


「今日平日だろ?あいつら働かなくていーのか?」


と質問すると、祓恩が


「この教典を全て読み終えれば幸福が訪れる・・・」


と長い巻物を風魔忍軍の目の前にずらっと広げる。テムジンが


「・・・こんなん最後まで読んでたら1日でも足らんぞ?」


と突っ込むが、祓恩が


「彼らの表情をよく見てみるがいい。安らかな顔をしておろう?」


とニコニコしながら話すが、最前列にいたモーゼスが


「なーに言ってやがる!テメーの背中の裏で燃やしてるヘロインに酔ってるだけじゃねーか!」


と言いながら風魔大斧を振りかざすと、祓恩が人差し指1つで怪力モーゼスの大斧を止める。


「ふふふ・・・何を言っておられるのやら・・・」


と笑顔を絶やさない祓恩。するとサリーが


「徐!」


と一喝し、動きを封じられたモーゼスを解放する。サリーは


「だから言ったじゃない。あたしに任せなよ。」


と前に出る。そして


「あたしは風魔七忍将・陣忍のサリー。あんたと同じ魔法使いよ。隠したって無駄だからね。あんた魔法使いでしょ?」


とサリーが問いただすと


「何の事でしょう?我はこの島に住む一介の僧侶。この島に幸福をもたらすためにやって来ただけ。」


と取り合わない。すると、ロボが背後の煙に向かって羽根手裏剣を投げる。


「風魔鷲手裏剣。」


すると、煙が立ちこめ寺院内に充満する。防護マスクを付ける風魔忍軍と祓恩。サリーが


「何であんたもマスク付けてんのよ?おかしいじゃない!」


と問い詰めると、ようやく本性を現した祓恩が錫杖を持ってサリーに襲いかかる。


「こんな小娘の相手をする事になるとは・・・我もまだ修行が足りないということですか?」


と不敵な笑みをこぼし、お経を唱え始める。


「陀羅鋒喬裂催禅妨奏癪曼了丞閣仙汶奬托・・・・」


すると、風魔忍軍全員の身体が下から石化していき身動きが取れなくなる。だがサリーが


「滅!」


と叫ぶと、石化が止まる。そして


「お遊びはここまでよ!ここからがあたしの番だからね!」


「風魔魔法忍法・大百足の術!」


と地面に突き立てていた箒を地中に打ち込む。


「ふふふ・・・やはり子供ですねえ。箒を地面に埋めた所でどうなるのやら?」


と笑ってはいるが、風魔忍軍達は


「・・・また得意のアレ出るぞ。」


「ほんとオメーも好きだよな?これ・・・」


「おい!ハゲ!にょろにょろ出て来んぞ!」


と忠告すると、祓恩が


「ふふふ・・・にょろにょろ?」


「・・・ってこれ!ぎゃあー!」


祓恩の全身の至る所から百足が大量に飛び出てきた。耳、鼻、口、爪の間や毛根、肛門に至るまで全身から百足を発した祓恩は、口腔内に大量の百足を出しながら


「ほ!ほへへふへー!(と!止めてくれー!)」


と叫ぶ。サリーがフィンガースナップを決めると百足は一瞬で消えた。ヘレンに


「きったないわねー!ちゃんとお尻拭きなさいよね!」


とポケットティッシュを投げられる祓恩。そんな哀れな僧侶を軽蔑のまなざしで見る島民達。


「俺達はこんな奴に騙されてたのか・・・」


と呆れている様子。だが祓恩は


「ふふふ・・・我はただの下級僧だ!お前らは我の邪琉教団に滅ぼされるがい・・・」


《ボン!》


と言い残し爆死。だが、風魔忍軍が背後から気配を感じ


「これ遠隔爆破だろ?口封じだ!」


とロボが言い放つ。この一言で島民はパニックに陥り


「俺達も殺されるー!」


と寺院を走り去っていった。ロボは


「おい!ビリー。俺と来い。あいつら避難誘導だ。」


と2人で島民の後を追いかけ、小太郎は


「サリー。こっからはオメーが仕切れ。」


と陣を再編成する。


空になった寺院が音を立てて崩れ落ちていく。本当の敵を探しに小太郎達6人は遠隔爆破を放った方を頼りに島を進んで行った。


魔法忍者のサリーは大体高校生くらいの年齢です

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