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風魔21  作者: 大井 平和
16/24

第16話 コロラドの赤い空

風魔忍軍が束の間の休息を取ります

【2001年7月4日PM12時20分】


 コロラド州のゴーストタウンに戻った風魔忍軍は、束の間の休息を取る。キンバリーがこの町にガールフレンドを大勢連れてやって来た。シカゴでのミッションの際、身内の仇を取ったビリーが落ち込んでいた為である。女好きのビリーは彼女らに囲まれ


「いやー!キンバリーちゃん。いいおねーちゃん友達に持ってるじゃねーか!」


と酒も入り機嫌を戻していった。


 テムジンやモーゼスも加わり、人気の少ないゴーストタウンはパーティーとなっていた。


 一方その頃、小太郎とダグラスは、サリーとヘレンに付き合い州都デンバーへ買い物に出かけていた。年頃のサリーは小太郎を連れて服を買いに行き、ヘレンは新しい武器を開発するためにダグラスとカスタムショップへ赴く。2人共ダグラスのジープに溢れんばかりの荷物を乗せ、ゴーストタウンに帰って行った。


 ロボはというと、コロラド・ナショナル・モニュメントの一角にある崖の上で1人ぼーっとしていた。ロボは休みになると、誰とも関わらず1人でいることが多い。何故ならロボは、先代20代目風魔小太郎に


「次代のお目付役兼七忍将のリーダー」


という重責を任され、曲者揃いの七忍将から離れ、1人の時間を大切にしたいからである。このコロラド州には先住民族が存在するが、危険なミッションをこなすために自ら会いに行くことを禁止されている。せめてこの景色だけでもと癒やしの為に訪れていた。ロボと言えば羽根手裏剣の使い手だが、その鳥たちを呼び寄せ、会話する。ロボには何故か鳥の会話が手に取るように解る。これはロボが暮らしていた部族の習性である。鳥達にアドバイスを聞きながら、羽根手裏剣のバリエーションを増やしていっているのだった。やがて日が傾き、崖の上でコロラドの赤い空を見上げロボは


(・・・ご先祖さんよお、先住民の生まれだった俺が忍者になっちまったよ。世の中ほんと解らねーよな?)


と思いふけり、仲間の待つゴーストタウンへバイクで戻っていった。


【2001年7月4日PM19時30分】 


 ゴーストタウンに戻ったロボは、夜になったというのに何故か赤い空を見る。すると、風魔忍軍達がキンバリーの連れてきたガールフレンド達と共にキャンプ・ファイヤーをしていた。ロボは


(懐かしいなあ。俺の村でよくやってたなあ。)


と思っていると、ビリーが


「お前も入れよ。」


と完全に酔っ払っていた。ロボは


(こいつも、俺も、こいつらも色々あったんだなあ。)


とビリーの肩を担ぐと


「おい!今日はとことん楽しむぞ!朝までパーティーだ!」


とリーダーとして皆に酒を振る舞う。


ロボはその昔、ビリーと同じように村人を全員殺害された。


 モーゼスは所属していた海賊団を船長諸共全員海に沈められ、ヘレンは毒親に男として育てられた挙げ句戦場へ駆り出された。ダグラスはそんな戦場から唯1人生き残り罪悪感と虚無感を持ち、テムジンは一家の銀行強盗に付き合わされ、皆逮捕。全員投獄されている。サリーは魔法を使える特異体質のため、両親や周囲の人間から忌み嫌われていた。


 そんな彼らを拾ったのが先代20代目風魔小太郎であり、兄弟のように共に過ごしてきたのが小太郎と風魔七忍将なのである。彼らは先代が育てたのと同時に、自分が小太郎に倒されたら付くよう言われ続けていた。本来は親の仇とも言うべき小太郎を本来ならば抹殺したい気持ちだったが、先代の遺言である以上従わなければならない。小太郎の人柄もあり、変わらず兄弟のように振る舞っている。そして、SRSCが才九郎を引き取った意味も・・・


 そんな全員の暗い過去をキンバリーは知らずに接している。小太郎も七忍将もこの先話す事はない。キンバリーが天照大御神の化身だからではなく、普通の女の子として生きてもらいたいからである。そんなキンバリーはサリーに小屋の中でメイクを教えていた。買ったばかりの新しい服を着て、キンバリーが教えたメイクを施すと一同


「誰?」


と思うほど美人になっていた。いつもミッションでボロボロになるサリーにとって初めて女の子として見られたのであった。キンバリーはヘレンにもメイクしようとするも


「ガラじゃないので。」


と断る。小太郎が


「お前素直じゃねーんだよ。それ出来りゃ変装術はお前が一番なのにもったいねーよ。休日の今日くらい女になってみろよ。」


と勧める。今日は7月4日。独立記念日である。皆に促され


「それじゃあ・・・」


と着替えとメイクを施し、以前先住民の村でキンバリーが作ったドレスを着ると


「おおっ!」


と一斉に目が行く。ロボとダグラスが


「お前せっかく可愛い顔してんだからそれを利用しろよ。笑えばもっと可愛いと思うぞ。」


「くノ一はやっぱ色っぽくねーとな。」


とヘレンの姿に見とれていると、キンバリーが連れてきたガールフレンド達も


「ほんとに綺麗だよ。」


「羨ましい。」


「モデルさんになれるわ。」


と絶賛していた。そこに酔っ払ったビリーが


「今晩俺とどー・・・


と誘うビリーにヘレンが


「触るな!汚らわしい!」


とビンタを浴びせると、一同笑いに包まれた。


 少し離れた所で小太郎が月を見ながら考え込んでいる


(こんな平和が続いてたらいいのになあ・・・)


と思いふけっている。だが、彼らは風魔忍軍。CIAが極秘に雇っているプロの暗殺集団である。そして


(俺がもし日本で生まれ育ったなら、普通の生活送れたんだろーな・・・)


と風魔の掟に静かに恨んでもいた。


【2001年7月5日AM3時40分】 


 風魔忍軍やガールフレンドが酔い潰れる中、小太郎とキンバリーがゴーストタウンの酒場で2人きりで話す。


「小太郎さん。あたし、何て言っていいかわからないけど・・・その・・・今まで守ってくれて有り難う。」


キンバリーは頬を赤くして小太郎に話す。


「あの・・・もしよかったらあなたと、おつ


と話を遮るように小太郎は


「我らは風魔忍軍。他言無用の身だ。俺達は本来闇の中で生き、闇の中で死ぬ運命だ。俺達21世紀の風魔忍軍は動き出したんだ。もう普通の生き方は出来ねーし、後戻りもやり直すことも絶対に許されねー身だ。これ以上の詮索は止めてくれねーか?心配しなくても俺達はやられねーしこれからも守るよ。SRSCの命令だからな。」


と真剣な顔でキンバリーに諭す。すると、キンバリーは


「あたしがアマテラスっていうのと関係あるの?まだ何で謎めいたあの光を放つことが出来るのかあたしにも解らないの。」


と吐露するが、小太郎は


「心配しなくても普通の女の子として生きればいいさ。君にバレないように俺達風魔が守るからよ。」


と話を濁すが、これは小太郎の本心であった。一見普通に生きていた女の子が突然そうなったのだから無理もないだろうと。そしてキンバリーにはこれからも普通の女の子として生きてほしいと願っていたのである。自らが率いる風魔忍軍達の過去と同じような人生を送ってほしくないという配慮を持っていたのである。


【2001年7月5日AM5時21分】


 コロラドのゴーストタウンに朝日が差し、小太郎はキンバリーに


「みんな起こしに行ってくれるか?」


と頼むと、そこにはキンバリーが連れてきたガールフレンド達しかおらず、七忍将の姿はなかった。小太郎の所へ戻ったキンバリーだったが、小太郎もいつの間にか姿を消していた。キンバリーは涙を流し


「何で?・・・」


と悲しみに暮れていた。


【2001年7月5日AM6時33分】


 風魔忍軍はキンバリーに拠点がバレた為、新しい場所を探しに旅立った。サリーが小太郎に


「いいの?あんな別れ方で。」


と尋ねるが、ロボとヘレンが


「しょーがねーだろ。俺達風魔は一見必殺。正体がバレたら自決する掟なんだ。」


「そーいうこと。あたし達はもう後戻り出来ないのよ。」


と振り返らずバイクと車を走らせる。


 一時の休息を取った風魔忍軍は、コロラドの赤い朝焼けをバックに一路アメリカ南部へと走り去っていった。


 






 



基本的に風魔忍軍は忍者だということはバラさないように生きています

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