表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/17

第5話「腹減っとるやろ?」

市場から戻る頃には、昼前になっていた。


屋台「源ちゃん」は、昨日と同じ場所にある。


石畳。


古い建物。


その中で、赤提灯だけが妙に浮いていた。



---


源太:


> 「シッダウンプリーズ」



バンコを手のひらで指す。


---


男は屋台を見回す。


調理台。


鉄板。


炭火。


見たことのない道具ばかりらしい。



---


男:


> “…Interesting.”





---


源太:


> 「インタレスティング?」





---


男:


> “Strange. But… not bad.”





---


源太:


> 「変わっとるって言いたいっちゃろ」





---


なんとなくニュアンスで分かった。



---


男は屋台の椅子へ腰掛ける。


だが背筋は真っ直ぐなままだ。


剣も手放さない。


完全には警戒を解いていない。



---


源太は炭を整える。


パチ……パチ……


赤く熾った炭の上へ、串を並べた。


ジュウゥ……


肉から落ちた脂が炭へ弾ける。


白い煙が立ち上がり、


香ばしい匂いが一気に広がった。


男の視線が、わずかに動く。


源太は小さく笑う。


源太:

「腹減っとるやろ?ハングリー?」


---


男:


> “…A little.”





---


源太:


> 「絶対もっと減っとるたい」





---


串を返す。


玉ねぎ。


キノコ。


肉汁が落ち、炭火が赤く弾ける。



---


煙が立ち上る。


香りが屋台の外まで流れていく。



---


通行人が足を止め始める。


昨日と同じだった。



---


男はその様子を不思議そうに見ている。



---


男:


> “People gather because of smell?”





---


源太:


> 「飯は匂いが大事やけんね」





---


もちろん全部は通じていない。


だが“smell”には反応した。



---


焼き上がる。


源太は軽く塩を振った。



---


男:


> “…Only salt?”





---


源太:


> 「塩ばなめたらいかんよ」





---


串を差し出す。



---


男は少し警戒しながら受け取った。



---


一口。



---


動きが止まる。



---


炭火の香り。


肉汁。


玉ねぎの甘み。


そして塩。



---


男:


> “…What is this?”





---


源太:


> 「焼き鳥たい」





---


男はもう一口食べる。


今度は迷いがなかった。



---


源太はその様子を見ながら、次の串を焼き始める。



---


男:


> “…Good.”





---


短い。


だが、かなり本気の声だった。



---


源太:


> 「そらよかった」





---


男は串を見つめる。



---


男:


> “Inns serve meat. But not like this.”





---


源太:


> 「あー、レストラン?」





---


男:


> “Similar.”





---


どうやら、この世界にも食堂のようなものはあるらしい。



---


男は二本目へ手を伸ばす。


さっきより動きが早い。



---


源太:


> 「気に入ったね」





---


その時だった。



---


屋台の外から、聞き覚えのある声がした。



---


> “Buono…!”





---


昨日、最初に串を食べた男だった。



---


さらに後ろにも人がいる。



---


昨日より多い。



---


男は少し驚いた顔で外を見る。



---


源太は炭を見つめたまま、小さく笑った。



---


源太:


> 「なんか、客増えてきたばい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ