第19話「余りもんには福がある」
屋台の裏に、馬車が止まった。
土埃を巻き上げながら、荷台が軋む。
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ジェームス:
> “Too many.” (多すぎたな)
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荷台には、角のある小型魔獣が積まれていた。
アルミラージ。
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源太:
> 「売り切れんね、これは」
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ロジャー:
> “…Too much stock.” (多すぎる在庫だな)
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ジェームス:
> “Guild hunt overflow.” (討伐が多すぎた)
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マルコ:
> “Troppi.” (多いな)
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源太は一体を持ち上げる。
軽いが、ただの獣ではない。
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源太:
> 「ラビットたい、ラビット」
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ロジャー:
> “…You’re serious about that?” (それ本気で言ってるのか?)
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源太:
> 「ラビットはラビットたい」
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そのまま迷いなく捌き始める。
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包丁が入る音。
肉が分かれる。
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ロジャー:
> “…You’re used to this.” (慣れてるな)
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源太は淡々と作業を続ける。
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炭火が起こされ、串が並ぶ。
脂が落ちる音だけが響く。
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スライムは足元で揺れている。
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捌かれた骨が置かれる。
そこへ、スライムが静かに触れる。
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カリ。
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小さな音。
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ロジャー:
> “…Did it just eat the bone?” (今、骨を食ったか?)
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マルコ:
> “Forse.” (たぶん)
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源太:
> 「カルシウムたい」
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夜。
屋台には串が山のように並んでいた。
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源太:
> 「多すぎるばい」
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ロジャー:
> “…We can’t finish this.” (これはさばききれない)
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翌日の昼さがり
アントニオが屋台に来る。
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アントニオ:
> “Buon pomeriggio.”” (こんにちは)
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ロジャー:
> “…You again.” (またか)
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アントニオは串を見ている。
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アントニオ:
> “Is this… meat from monsters?” (これは魔物の肉ですか?)
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源太:
> 「アルミラージたい」
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アントニオ:
> “Field-destroying beast.” (畑を荒らす魔獣ですね)
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アントニオ:
> “Yes. Earth magic.” (土の魔法を使います)
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ロジャー:
> “…So that’s why crops fail.” (だから作物が育たないのか)
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アントニオ:
> “These cannot be sold.” (これは全部売り切れないでしょう)
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源太:
> 「売れんね」
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アントニオは少し考え、周囲を見る。
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アントニオ:
> “Then… perhaps we should give them away.” (ならば、配るべきかもしれません)
ロジャーは少し考え込む
ロジャー:
> “…To the orphanage?” (孤児院か?)
アントニオは頷く。
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源太は少し間を置く。
源太:
> 「あぁノーペアレンツチルドレンば育てよるとこやろ?ハングリーかもね」
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アントニオは頷く。
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アントニオ:
> “Yes.” (はい)
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ロジャー:
> “…That might work.” (それはありだな)
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源太は串を返しながら言う。
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スライムは足元で揺れている。
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誰もまだ気づいていない。
この余剰が、街の形を少しずつ変えていることに。




