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ダンジョン穴掘り――ストレス発散のためにスコップを手にダンジョンでひたすら穴を掘ってたら奈落に落ちた――  作者: カンチェラーラ


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チャレンジ

 荒野と化した中でも、何事もなかったかのように直立している巨大樹。

 この巨大樹を登ることでダンジョン内の雲一つない空へとたどり着き、そこから地上へと脱出できないだろうか。

 ――名付けて「ジャックと豆の木大作戦」だ。


 そんなわけで、この巨大な木を登り始める。

 が、ここで問題がある。

 それは、この先が見えないほど天高くそびえる巨大樹を、どうやって登るかだ。


 こういうダンジョンにある巨大な木って、なんていうか、もっと親切なものなんじゃないのだろうか。

 例えば、木の幹に洞があり、その中を通ることでまるで洞窟内を歩く感じで木の上までたどり着けるとかさ。

 あるいは、アクションゲームのように人が飛び乗っても平気な太さと長さとバランスを持った木の枝が上部へと登ることができる間隔で配置されている、とか。

 要するに、「登る手段がありますよ」と言わんばかりに整えられているお約束があるのかと思っていた。


 だが、ここはゲームの中の場面ではない。

 僕は確かにダンジョンの中にいるけれど、これは決してゲームではないのだ。

 ゲームは基本的にクリアができることを前提として作られている。

 だから、ダンジョン内で空に行く必要があるなら、行けるように作られて設計されているだろう。

 しかし、ここは現実のダンジョンだ。

 実際問題、ダンジョンを探索する探索者シーカーは数多くいるけれど、ダンジョンを完全クリアした人はいないはずだ。

 歴史上で活躍した人はいても、それはクリアではなくなんらかの偉業を達成しただとか、貴重な物を持ち帰ったとか、なにかを発見したとかそういうことだったはず。


 つまり――どう登ればいいのか、まったく見当がつかない。

 やっぱりやめるか?

 ほかにダンジョン脱出の手がかりを探しに移動すべきだろうか。

 そんな考えが頭をよぎる。


「まあ、チャレンジはしてみようかな。とりあえず登ろう。で、木登りができそうになかったら幹の周りをぐるっと回って、洞とか足場を探してみようか」


 現状を整理し、自分にできることを確認する。

 そのために、一人しかいないのにあえて口に出して情報をまとめる。

 ひとまずは、やれるだけやってみよう。

 まずは登る。

 今までの人生で木登りなんてほとんどしたことがないけど、案外頑張れば登れるものなのかもしれない。

 この巨大樹は幹が太いけれど、枝がひとつもない真っすぐな木ではなく、それなりに枝が付いているタイプの樹木ではある。

 登りやすい配置には見えないが、やってみれば意外とどうにかなるものなのかもしれない。


 そんな淡い期待を胸に、僕は木に手をかけた。

 それは、意外にもうまくいった。

 下を見れば、思わず息が止まりそうになる高さに達した、そのとき――

 僕は空を飛ぶ鳥型のモンスターに襲われた。

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