荒野を駆ける
白龍の尻尾肉を入れた革袋をリュックに入れて、背負う。
そして、手にはマイスコップを持ち、荒野を歩く。
この場所から脱出する手がかりを探しながら、周囲を見渡して進んでいく。
スーちゃんが僕の全身を包むようなスライムスーツになって引っ付いている。
透明で自在に大きさや形を変えられるようになったスーちゃんは、僕の頭の先から手足の先、そして胴体までもをすっぽりと覆うように包み込んでいる。
僕の全身を覆っているけれど、邪魔には一切なっておらず、視界も良好で息をしづらいといったこともない。
むしろ、スーちゃんのおかげで身体機能が高まっている気がする。
体を動かすのもやりやすい。
僕を包むスライムのぷよぷよした半液状の体が、筋肉を補助してくれているのだと思う。
走るときも、足裏にかかる負担はスーちゃんの柔らかい体が吸収してくれる。
その一方で、地面をけりだす力はむしろ強くなっていて、軽やかに速く走ることができる。
まるで別人の体みたいに、軽い。
それだけじゃない。
視界も、妙にクリアだ。
僕の顔も覆っているスーちゃんの透明な体が眼鏡のレンズのような働きでもしているのか、普段よりずっと遠くまで見通せていた。
そんなスーちゃんのスライムスーツのおかげで、僕は疲れ知らずで走り続けながら荒野を移動する。
脱出のヒントがないかを懸命に探しながら、ひたすら走り続けた。
かつてはここが草原だったとは思えないほどに何もなくなってしまった荒野。
ひたすら走り続けると、そのとき、遠くに一つ、気になるものが見えた。
「……あれって木が生えているのかな? そういえば、草原だった時は遠くに木がある場所がいくつかあったっけ。超巨大なモンスターの戦闘でも倒れていない木があったってことか」
荒れ果てた土地に遠くからでも見つけることができた一本の木。
遠くからでも見えることから、かなり巨大な樹木なんじゃないだろうか。
青々とした葉を広げた立派な気が、そこに立っていた。
この荒野の中で、そこだけ異様なほど青々としている。
行ってみるか。
今のところ、手がかりがなにもなさすぎる。
あの木に脱出のヒントがあるのかどうかはわからないけれど、もしかすると何かあるのかもしれない。
それに、もしかすると食べられる木の実や果物があの木に生っている可能性もある。
白龍の尻尾でたんぱく質は確保できたけれど、食物性の食べ物もあればうれしい。
そうして僕は、僕はスーちゃんに包まれながら、遠くに見える巨大な樹木目指して走り続けた。
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