革袋
食事を終えたからか、スコップを操る体が軽く感じる。
マイスコップでザクザクと荒野の地面を掘り進め、やがて食べ残した白龍の尻尾を収められるほどの穴になった。
掘った穴は白龍の尻尾のすぐそばまで伸びているので、後は尻尾を押せば穴に落ちるところまで準備が進んだ。
だが、そこで一度手を止める。
これから僕はこの荒野を歩き回り、ダンジョン脱出のために行動する。
この場所に尻尾を埋めるのは、食料が見つからなかった時の保険としてキープしておくためだ。
しかし、本当にそれでいいのだろうか。
食べ残した尻尾肉を全部埋めてしまっていいのかと考えた。
お弁当が必要だ。
今は満腹で、しばらくはこのお腹が空くことはないだろう。
だが、いつかはお腹が空く。
その時に、食べられる食料を持ち歩いておいたほうがいいかもしれない。
尻尾を持っていこう。
大部分はこの場に埋めて保管しておくにしても、一部だけでも持っていこう。
幸い、僕にはリュックがある。
そのリュックに入る分くらいの尻尾肉を持っていくべきだ。
そう考えた僕は、スーちゃんにお願いしてお肉を切り出してもらった。
包丁やナイフは持っていないし、スコップでは肉を切り分けることはできない。
だが、スーちゃんならばきれいな切断はできなくとも、リュックに入る分だけのお肉を分けることはできる。
尻尾の先から、リュックに入る量をおおよそ見積もり、その量になるようにスーちゃんが尻尾に張りついて食べ分ける。
尻尾の先端が、三角錐のような形で分けられた。
さらにその先端部分を今度は皮膚や鱗部分とお肉の部分に分かれるようにスーちゃんに溶かしてもらう。
この時、表皮などをスーちゃんが食べてしまわないように言い聞かせた。
そうしてできたのは、三角錐の形をした肉と、それを入れるための袋のような白龍の皮だ。
僕のリュックに肉を入れるにしても、生肉を直接入れるのはさすがにどうだろうと思ったからだ。
なので、スーちゃんにお願いして、白龍の皮で簡易的な革袋を作ったというわけだ。
皮膚の下の脂肪分みたいな脂身はきちんと食べてもらったので、おそらく腐ったり痛んで臭いを放つことはないはずだ。
本当はその革袋の出し入れする部分の口を閉じる紐なんかもあればよかったのだろうけれど、それを作る技術は僕にはないし、スーちゃんにも無理だ。
なので、白龍の尻尾肉を包むためだけの革袋としてしか機能しないものだけれど、それでもお肉をしっかりと包んで持ち運べる状態にすることはできた。
これがあれば、しばらくは生き延びられる。
そう思うだけで、少しだけ安心できた。
準備はこれで十分だろう。
というか、これ以上できることはないだろう。
お肉を革袋で包んでリュックに入れ、いよいよ僕は脱出の手がかりをつかむためにこの荒野を歩き始めることにした。
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